帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「カネゴンの繭」

カネゴンの繭」
ウルトラQ』制作第20話
1966年4月10日放送(第15話)
脚本 山田正弘
監督 中川晴之助
特技監督 的場徹

 

コイン怪獣カネゴン
身長 2m
体重 200kg
他人の落としたお金を黙って拾うとなるお金亡者。
金男の父親によると、頭は金入れ、体は火星人、目はお金の方へ向いてピョコーンと2本飛び出し、口は財布のジッパーなら、体は銅貨の銅みたいに赤光りする怪物で、ゴジラみたいな尻尾にはギザまで付いているとの事。
ご飯の代わりにお金を食べ、胸のカウンターが0になると飢え死にしてしまう。
おたすけ教の巫女が告げた通りにヒゲオヤジが逆立ちすると人間に戻れた。
名前の由来は「お金」かな。

 

物語
お金にがめつい少年・加根田金男はお金の音がする不思議な繭を手に入れるが、大きくなった繭に喰われてお金亡者のカネゴンになってしまう。

 

感想
今回の話はいつものテーマ曲もナレーションも無く、レギュラーキャラクターの万城目達の登場も無いと言う不思議世界『ウルトラQ』の中でもさらに不思議で特別な世界をとなっている。

 

山田さんと中川監督のコンビ作を見ていくと、「鳥を見た」では子供の願いも空しく怪獣は飛び去ったが、「育てよ! カメ」では子供が怪獣に乗って旅立ち、今回の話では遂に子供が怪獣に変身してしまう。それに合わせて怪獣も古代の生物から空想的な存在へと変わっていき、怪獣と言う存在が子供に近い存在になっていくのを感じる。

 

金男が人間の時は金集めの才能でガキ大将として振る舞っていたが、カネゴンになって金食い虫になると子供達のグループの下っ端になってしまうところにお金を基盤とした現在の人間社会が見えてくる。
その一方で人間の子供の時は絶対に敵わなかったヒゲオヤジをカネゴンになったらやっつける事が出来たと言うところに怪獣と言う存在の面白さも見える。

 

「怪獣」とは何か?
ヒゲオヤジ、おたすけ教の巫女、カネゴン。子供にとって周りにある不思議全てが「怪獣」となる。大人から見れば空想的なものも子供にとっては現実の一部なのだ。

 

ラストシーンでは金男の両親もカネゴンになってしまっていた。
日本人は皆、カネゴンなのか? いいや、お金とは他の動物は持っていない人間のみの価値観だ。人間は皆、カネゴンなのだ。

 

「日常シーンに怪獣がいる」と言う今回の話を元にして後に『快獣ブースカ』が作られたらしく、ブースカスーツアクターカネゴンを演じた中村晴吉さんが担当している。

 

今回の話は2014年2月に「『ネオ・ウルトラQ』特別上映part4」の1本として総天然色版が劇場公開された。

 

今回の話は中川監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。
中川監督はフィルムを使い過ぎる事から「フィルム食いのハルゴン」と言うあだ名を付けられたらしい。

 

ウルトラQ dark fantasy』の「カネゴンヌの光る径」は今回登場したカネゴンの女の子バージョンの話となっている。