帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「海底原人ラゴン」

「海底原人ラゴン」
ウルトラQ』制作第24話
1966年5月15日放送(第20話)
脚本 山浦弘靖・大伴昌司・野長瀬三摩地
監督 野長瀬三摩地
特技監督 的場徹

 

海底原人ラゴン
身長 2m
体重 100kg
2億年前に地球を支配していた海底原人。外見は人間に似ているが爬虫類が進化したもの。
メスで乳房がある。音楽に反応を示す。
普段は5000m位の深海に棲んでいるが漁師によって地上に運び込まれた卵を取り戻す為に岩根島に上陸して暴れる。孵化した子供を返されると海底へと帰っていった。

 

物語
海底火山爆発の取材で由利子達は岩根島に住む石井博士を訪ねる。
地殻変動でもうすぐ日本が海の中に沈むと訴える石井博士。一方、島の漁師は不思議な卵を手に入れる。

 

感想
1964年から執筆された小松左京さんの『日本沈没』を思わせる話。

 

脚本の大伴昌司さんは小松左京さんも参加している日本SF作家クラブの会員で『UNBALANCE』時代からウルトラシリーズに関わっている。ウルトラシリーズの色々な設定を考案し、それらを紹介した「怪獣図鑑」のシリーズで怪獣ブームの一翼を担い「怪獣博士」と呼ばれた。

 

夜の暗闇に爛々と輝く目が印象的なラゴン。
そぉーっと忍び寄ってくる場面が怖いが、実はラゴンは子供を取り戻す為に地上に現れたので人間を襲うのは本意ではなかった。人間はラゴンを恐れていたが、ひょっとしたら、ラゴンも人間を恐れていた可能性がある。
人間もラゴンも住む世界が違うだけの同じ地球の生き物で、ラゴンが地上に現れた為に「怪獣」として人間に恐れられたとしたならば、もし日本が沈没して人間が海底に迷い込む事になったら、その時の人間は「怪獣」としてラゴンに恐れられるのかもしれない。

 

石井博士は周りの人達と信頼関係を構築するのが苦手なようで、途中からは岩根島が海の中に沈む事が分かっていても、それを島の住民に説明する気力を失っていた。そんな石井博士と周りの人達の諍いを収めようと頑張っているのが妹の文子で、彼女は最後にラゴンの子供を返す事で地上の人間と海底原人のラゴンの間に起きた争いも収めている。

 

海の中に沈む岩根島に取り残された万城目と由利子だが、そこに一平が操縦するヘリコプターが!
遂に一平の操縦訓練が役に立った。これまでの話を見ていると今回の一平の活躍は感慨深いものがある。

 

今回の話は2013年12月に「『ネオ・ウルトラQ』特別上映part2」の1本として総天然色版が劇場公開された。