「バラージの青い石 ー磁力怪獣アントラー登場ー」
『ウルトラマン』制作第4話
1966年8月28日放送(第7話)
脚本 南川龍・金城哲夫
監督 野長瀬三摩地
特技監督 高野宏一
磁力怪獣アントラー
身長 40m
体重 2万t
5000年前にノアの神に倒されたが実は生きていた。
すり鉢状の巣に潜み、磁力光線で獲物を引き寄せる。
スペシウム光線にも耐える強豪だがノアの神が持って来た青い石が弱点だった。
名前の由来は「アント・ライオン(アリジゴク)」「アントラー(鹿の角)」「アント(蟻)」と諸説ある。
物語
不思議な事件が次々と起こる魔の地点に調査に向かった科特隊。
怪獣アントラーに襲われ、辿り着いた先は謎の町バラージだった。
感想
1966年に公開された『奇巌城の冒険』のオープンセットを借りて撮影された話。
バラージの町にあるノアの神の像を見て科特隊は「5000年の昔、ウルトラマンの先祖は地球上に現れ、その時もやはり人類の平和の為に戦っていた」「我々人類にとってウルトラマンは平和の為の大切な神なのかもしれん」と語る。初代ウルトラマンは2万歳なので5000年前にバラージの町に現れたノアの神は先祖ではなくて初代ウルトラマン本人かまだ存命している別のウルトラマンの可能性が高いが人間の感覚だとご先祖様の時代かな。
実際にウルトラマンが神なのかどうかは色々な意見があるが、「神話」と言う極めて長い時間を使った事で初代ウルトラマンとハヤタ隊員と言う個の繋がりをウルトラマン達と地球人類と言う大きな繋がりへと広げ、その後のウルトラシリーズに大きな影響を与える事となった。
ノアの神の正体は初代ウルトラマンなのか別のウルトラマンなのかは劇中では明らかにされなかったが、この話で初代ウルトラマンの他にもウルトラマンがいる可能性があるとしたのが「さらばウルトラマン」のゾフィ登場に繋がったと考える事も出来る。
現在はチャータムの一族にだけ頭の中を読み取る力が伝わっているが、かつては皆がこの力を持っていたらしい。ウルトラシリーズでは他の星の出身者は特殊な能力を持っているが地球人だけは何の能力も持っていない事が多いが、かつては地球人も他の宇宙人と同じように色々な特殊能力を持っていたのかもしれない。
5000年前にノアの神に倒されたと思われていたアントラーは実は生きていた。冒頭に登場した隕石に乗って宇宙に行っていたのかと思ったが、シルクロードの時代にもバラージの町の周りにいたらしいので違うか。
おそらくアントラーは昔からずっといたが人々がバラージの町に行かなくなったのでその存在を外の世界に知られる事が無かった。それが隕石事件によって外の世界から人が来るようになったのでその存在を知られるようになったと言うところかな。
ウルトラマンのカラータイマーが赤く点滅するのを見てイデ隊員は「あと30秒だ!」と叫ぶが、どうやってウルトラマンの活動時間を知ったのだろうか?
ウルトラマンによってアントラーは倒されたがバラージの町が廃れていくのを止める事は出来なかった。今回は「神」と言う言葉を使う事でウルトラマンの偉大さを語る一方、そんなウルトラマンにも限界があると語った話でもあった。
今回の話はこれまで特撮の撮影を担当していた高野宏一さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。
又、今回の脚本を担当している南川龍(竜)とは野長瀬監督のペンネームである。
『ウルトラマンパワード』の「闇からの使者」と『ウルトラマンマックス』の「バラージの預言」は今回の話のリメイクとなっている。