帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「恐怖のルート87」

「恐怖のルート87 ー高原竜ヒドラ登場ー
ウルトラマン』制作第20話
1966年11月27日放送(第20話)
脚本 金城哲夫
監督 樋口祐三
特殊技術 高野宏一

 

高原竜ヒドラ
身長 60m
体重 0
ムトウ・アキラのデザインをモデルにした大室公園の像と関係しているらしい謎の怪獣。
有史以前から日本に棲み着いていた始祖鳥、アキラ少年の魂が乗り移った存在、自動車事故で不幸な死を遂げた多くの少年達の化身、遠い昔からの子供達の守り神と色々語られたが真相は不明。
口から吐く炎と鋭いクチバシが武器。
国道87号線を走る車を襲うが、ウルトラマンとの戦いの最中にアキラ少年の魂と一緒に空へと消えていった。
今回の舞台となった伊豆シャボテン公園にある荒原竜の像をモデルにしている。

 

物語
高原竜ヒドラが暴れると謎の少年アキラがフジ隊員に告げる。
調べてみると、アキラ少年は半年前に国道87号線でトラックに轢き逃げされていた。

 

感想
何とも不思議な話。
既に死んでいた少年の魂がメッセンジャーとして登場するのは『ウルトラセブン』の「ノンマルトの死者」に繋がる。

 

ヒドラは有史以前から日本に棲み着いていた始祖鳥で、子供達の守り神でもあるヒドラの存在をアキラ少年が感じ取って絵にして、その絵をモデルに大室公園のヒドラの像が作られたと言ったところかな。なんとなくだが『となりのトトロ』のトトロやネコバスに近い存在かなと思う。

 

科特隊基地の守衛が登場。
無断で侵入したら非常ベルが鳴るらしいが「遊星から来た兄弟」ではザラブ星人が侵入しても鳴らなかったような……。
イデ隊員は「科特隊基地は子供の遊び場ではないぞ」と言っていたがホシノ君の扱いはどうなっているのだろうか?

 

たとえ怪獣に同情すべき部分があったとしても科特隊は人間社会の秩序を守らなければならない。この問題は後の話でも何度か触れられる事となる。

 

ウルトラ作戦第一号」のベムラー戦以来となる「ウルトラ作戦第二号」が行われるが、どういう作戦なのかイマイチよく分からなかった。

 

ハヤタ隊員が左腕を怪我したが、ヒドラとの戦いでウルトラマンが左腕を気にしていた描写は無い。おそらくハヤタ隊員とウルトラマンは肉体的なダメージは共有していないのだろう。(そう考えると、「科特隊宇宙へ」でハヤタ隊員が仮死状態になっていたのはウルトラマンが分離して地球にテレポーテーションしたからなのかな)

 

今回は当時の社会問題であった「交通戦争」を取り上げた話。
因みに交通事故で多くの子供達が命を落としたので、その対策の一つとして導入されたのが「緑のおばさん」らしい。

 

最後に轢き逃げ犯が自首したらしいが、それはドラマの中に入れてほしかった。(それとも劇中でヒドラに襲われたトラックの運転手が轢き逃げ犯だったのかな)
因みに本物の国道87号線は現在は欠番になっているらしい。

 

今回の話は1989年4月に『ウルトラマン大会』の1作として『ウルトラマンUSA』等と同時上映で劇場公開された。

 

今回の話からナレーションが石坂浩二さんから浦野光さんに代わっている。

 

今回の話はTBSのプロデューサーである樋口祐三さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。