「人間標本5・6 ー三面怪人ダダ登場ー」
『ウルトラマン』制作第28話
1967年1月22日放送(第28話)
脚本 山田正弘
監督 野長瀬三摩地
特殊技術 高野宏一
三面怪人ダダ
身長 190cm~40m
体重 70kg~7千t
コードネームはダダ271号。
ミクロ化器で人間を縮小させて標本にしていた。
バスを転落させた幻覚、人間の動きを止める、壁の通り抜け、逃げ出した人間を連れ戻す物質転送、人間に乗り移る、瞬間移動、姿を消すと多くの能力を駆使する。
A・B・Cの三つの顔を持っていて3人いるように見せているが実際は一人だった。しかし、通信機で上司が登場している。
ウルトラマンと戦うが歯が立たず、最後はスペシウム光線で撃墜された。
名前の由来は芸術運動の「ダダイスム」から。
物語
事故が続発する場所の調査に赴いたムラマツキャップ。それは人間標本を集める宇宙生物ダダの仕業であった。
感想
人間を標本にする宇宙生物ダダが恐い話。
人は人間からかけ離れた怪物より人間に近い怪物の方を恐れると言う話があるが、ダダはおかっぱ頭に見えるデザインのせいでバルタン星人やザラブ星人よりも人間に近くなったので怖さが増幅されたのかもしれない。
大人になってから見るとダダは「恐い」と言うより「大変そうだな……」と言う印象になる。
特殊重金属の壁が通り抜けられなくて焦ったり、ウルトラマンに歯が立たなくて「駄目だ……。ウルトラマンは強い」と弱音を吐いてしまったり、それなのに上司に人間標本を早く集めろと仕事の催促をされるし、さらにはムラマツキャップにもボコボコにされてしまう……。
ダダは三つの顔を使う事で本当は一人なのに3人いるように見せていたが、これもダダの人手不足を補う為の苦肉の策に見えてくる。
戦えるのは自分一人だけで、さらにスーパーガンも途中でエネルギー切れになると言う絶体絶命のピンチのはずなのに、最後までダダ相手に優勢に戦えたムラマツキャップに驚く。ムラマツキャップが強いのか、ダダが弱いのか……。
ムラマツキャップが不在なので代わりにハヤタ隊員が科特隊の指揮を執る事になる。ハヤタ隊員は科特隊のサブリーダーと言う設定で、明確に語られる事は無いが、これまでの話でも皆に指示を出す場面が多々ある。
今回のハヤタ隊員は科特隊基地の中で変身したがウルトラマンは科特隊基地の外に登場した。やはりテレポーテーションを使ったのだろう。
事件解決後にウルトラマンからハヤタ隊員に戻るが、その為、先行したアラシ隊員達より先にハヤタ隊員が現場に現れる事になってしまった。どうやって説明したんだろう?
建物から転落したムラマツキャップ達を間一髪のところでキャッチするウルトラマン。ムラマツキャップ達が助かってからBGMが雄々しく鳴ってダダとの戦いが始まる流れが最高に盛り上がる。
今回は珍しく人間大のウルトラマンを見る事が出来る。ミクロ化器の光線を弾いた後なので人間大のダダと戦う為に自分から縮小したのだろう。律儀だね。
そしてウルトラマンが人間大になったのを見たダダはいきなり巨大化。卑怯だね。
今回のウルトラマンは活動時間がかなり長かった。
あまり動いていない時間があったからかな?
『ウルトラマンパワード』の「侵略回路」は今回の話のリメイクとなっている。
今回の話は2022年6月に『シン・ウルトラマン』大ヒット記念として『庵野秀明セレクション『ウルトラマン』(4K)特別上映』で劇場公開されている。