「緑の恐怖」
『ウルトラセブン』制作第2話
1967年10月8日放送(第2話)
脚本 金城哲夫
監督 野長瀬三摩地
特殊技術 高野宏一
生物Xワイアール星人
身長 180cm~150m
体重 100kg~1万3千t
チルソナイト808の中に石黒隊員を閉じ込め、電送に似た方法で姿を借りていた。擬態を維持するのが難しく、夜になると正体を晒していた。
人間大の時は同化液を、巨大化した時は全身から緑色の光線を出す。
石黒隊員に成りすまして夜の街で人間を襲って仲間を増やす。ウルトラ警備隊に妨害されると箱根に向かうが電車の中で正体を晒した。ウルトラセブンのアイスラッガーで真っ二つにされ、エメリウム光線で燃やされる。ワイアール星人が倒された後、同化された人々は元の人間に戻った。
名前の由来は「YOU-RYOKU-SO(葉緑素)」からと意外と単純。
物語
宇宙ステーションV3の石黒隊員が休暇の為に地球に戻ってきた。
しかし、その夜から謎の怪物が街を徘徊するようになる。
感想
人間とは違う宇宙生物の恐怖を描いた話。
ワイアール星人は自分から正体や目的を話す事が無かったので地球人側から推測するしかなく、その結果、いくつかの謎が残る事になり、それがまた不気味な怖さを生んでいる。
石黒隊員をポインターで家まで送るダン。
元々、ダンはポインターの運転手と言う設定だったが演じる森次浩司さんが運転免許を持っていなかったのでウルトラ警備隊の隊員に変更となったらしく、制作初期の話ではダンがポインターを運転しているシーンが多い。
ところで、ダンが石黒隊員の車を石黒家に届ける時にアンヌ隊員も一緒に付いて行っている。それならアンヌ隊員が帰り用のポインターを運転していれば良かったのにしていなかったので2人は歩いて基地に帰る事に……。
制作初期なので透視能力を使う時にダンの目が青くなっている。
アンヌ隊員がパラライザーで怪物化した人間を撃つとソガ隊員達が「何故撃った?」と詰め寄る。
おそらくパラライザーには色々な用途があり、アンヌ隊員はその内の一つである神経を麻痺させる機能を使ったのだが他の隊員達は相手を倒す機能を使ったと勘違いしたのだろう。
地球防衛軍のタケナカ参謀が登場。幹部が登場する事でウルトラ警備隊が地球防衛軍に属するチームである事が強調された。
タケナカ参謀はワイアール星人の行いを「挑戦か侵略」と語った。本編を見るにワイアール星人は単に獲物を求めていたに過ぎなかったように思えるが、ワイアール星人に襲われた人間はワイアール星人に同化させられ、わずか数ヶ月で地球上の人間全てがワイアール星人に変えられてしまうと言う事態はたとえワイアール星人にそこまでの気持ちが無くても人間から見たら立派な侵略となる。
ワイアール星人にはあまり知性を感じられず、電子頭脳を使った擬態もあまり良いとは言えない状態だったが、それでもワイアール星人が擬態した石黒隊員の演技は完璧だった。宇宙人が入れ替わった人間は喋り方等があまりにも露骨におかしくなるのだがそのような事は無く、妻や家政婦に不審がられた際も宇宙ステーションでの習慣や地球防衛軍の隊員としての見栄等を使って上手く切り抜けていた。
ワイアール星人は最後に巨大化するが、それまでの話の展開から巨大化する必要性はあまり感じられない。どうせなら人間大のウルトラセブンとワイアール星人に電車の中で戦ってほしかった。
最後に二人が巨大化して戦ったのは『ウルトラマン』の影響だと思われ、これ以降も『ウルトラセブン』では巨大化する必要が無い宇宙人が巨大化してウルトラセブンと戦う話が出てくる。
ワイアール星人との戦いで、巨大化したウルトラセブンが地面に潜ったりしていたが、戦いの直前に山のトンネルに避難させられたおじいさんは無事だったのかな?
事件が解決して、今度こそ休暇を楽しむぞと言う本物の石黒隊員だが、おそらく今回の事件の報告書を書かなければいけない気がする。
感謝ならウルトラ警備隊ではなくてウルトラセブンに言ってもらいたいと言うキリヤマ隊長。確かにウルトラ警備隊はワイアール星人の謎を解明したが戦いでは活躍が無かった。
今回の話はチルソナイトと電子頭脳が『ウルトラQ』の「ガラダマ」と「ガラモンの逆襲」、植物の怪物が人間を襲うのが『ウルトラマン』の「ミロガンダの秘密」と「来たのは誰だ」、エンディングナレーションが『ウルトラQ』の「バルンガ」と過去の話を思い出す部分が多かった。