帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「消された時間」

「消された時間」
ウルトラセブン』制作第6話
1967年10月29日放送(第5話)
脚本 菅野昭彦
監督 円谷一
特殊技術 高野宏一

 

宇宙蝦人間ヴィラ星人
身長 180cm~40m
体重 100kg~1万t
時間停止光線で時間の進行を止めた間にユシマ博士に「ヴィラ星人の心」を植え付けた。
「全宇宙の征服者」を名乗り、ユシマ博士に地球防衛軍基地を混乱させた隙に宇宙船団で地球を侵略しようとした。
口から光線や黄色いガスを吐く。
ウルトラセブンとの戦いで光線を防がれると逃げようとしたがストップ光線で動きを止められた間にアイスラッガーで切断され、宇宙船団もウルトラ警備隊によって全滅させられた。 

 

物語
「地球の頭脳」と呼ばれているユシマ博士がユシマダイオードを持って南極からやって来た。
しかし、既にユシマ博士はヴィラ星人の心を植え付けられていて……。

 

感想
宇宙人に対して警戒の目を光らせている地球防衛軍とそれをかいくぐって作戦を進めるヴィラ星人の話。
地球防衛軍が基地の警戒は厳重であるとどんなに訴えても宇宙人であるダンがウルトラ警備隊の隊員になれたと言う事で全て台無しになってしまっていると言う構図が面白い。
主人公ウルトラセブンの存在によって地球防衛軍の無力さが浮き彫りになり、結果、ウルトラセブンは自力で事件を解決する事になる。

 

ヴィラ星人の能力は「時間停止光線で時間の進行を止める」なのだがタイトルは「消された時間」となっている。おそらくある一定の場所の時間の進行を止める事で他の場所との時間の進行に差が生じる。その差の部分が「消された時間」なのだろう。
時間停止光線を地球防衛軍ウルトラセブンに使えば良いのにと思うが、地球防衛軍にはあらゆる光線を防ぐバリアーとかありそうだし、人間に効いた光線がウルトラセブンには効かなかったと言う事もあるので、使わなかったと言うより使えなかったのかもしれない。

 

「ヴィラ星人の心を植え付けた」とは洗脳したと言う事であろう。「心を植え付ける」と言う言い回しが良い。

 

ユシマ博士をポインターで送るダンがいきなり「博士は何故あんな事を言ったんだ? 僕が宇宙人だと言う事を知ってたのだろうか?」と心の中で呟くが、これはその直前にあったユシマ博士の「地球防衛軍に一人だけ宇宙人が紛れ込んでいる夢を見た」と言う台詞がカットされた為。
ユシマ博士の台詞がカットされたのでダンの心の中の呟きが唐突になったが、この時点で既にユシマ博士はヴィラ星人の手先になってダンを陥れようとしている事が視聴者に明らかになっているので、ユシマ博士が何か言ったんだろうなと言う事が視聴者に伝われば話に支障は無いと思う。
ところで29歳には見えないユシマ博士だが、演じる山本耕一さんはこの時32歳でした。

 

ユシマ博士の罠に引っかかって独房に入れられてしまったダン。
まぁ、ダンは宇宙人としての能力を使ってユシマ博士の正体を暴いたので、他の隊員に上手く説明できなかったのも仕方が無いかな。
因みに似た状況だった『ウルトラマンレオ』の「飛べ! レオ兄弟 宇宙基地を救え!」ではアトランタ星人相手に上手く対処をしていて成長した事が分かる。

 

独房に入れられたダンはウルトラセブンに変身すると独房を破壊して脱出する。
監視カメラが無ければ真実を知っていたウルトラセブンに助け出してもらったと説明できるが、独房に監視カメラが無いと言うのはちょっと無理があるかな……?

 

ウルトラセブンがユシマ博士に向かってエメリウム光線を撃ったのには驚いた。後にユシマ博士が無事だった事が分かるので、おそらく威力をかなり弱めて撃ったのだろう。

 

地球防衛軍のレーダーが破壊されたのでヴィラ星人の宇宙船団は容易に地球に侵入できた。宇宙ステーションは一体何をしている?

 

ヴィラ星人が巨大化する理由は無かったが、操演宇宙人で格闘を行うと言うのが面白かった。
今回の戦闘場所は鳥居があるなど日本的なものになっていて印象的だった。

 

今回はウルトラセブンとヴィラ星人、ウルトラ警備隊と宇宙船団の戦いを交互に描き、最後に倒れたヴィラ星人の上に宇宙船団が落ちて全て炎上すると、今までの話ではウルトラセブン登場後は出番が無くなっていたウルトラ警備隊を最後まで活躍させる事に成功している。

 

ユシマダイオードを使えば地球防衛軍の超遠距離レーダーはこれまでの4倍も遠くにいる敵をキャッチする事が出来るようになる。今回はヴィラ星人の妨害によって失敗に終わったが、この後の話でも地球防衛軍は侵略者の地球侵入を阻止する為に様々な方法を探っていく。

 

脚本の菅野昭彦さんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。