帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「魔の山へ飛べ」

魔の山へ飛べ」
ウルトラセブン』制作第12話
1967年12月10日放送(第11話)
脚本 金城哲夫
監督 満田かずほ
特殊技術 的場徹

 

宇宙野人ワイルド星人
身長 220cm
体重 150kg
老衰で滅びかけている種族を救う為に生命カメラで人間の若い命を奪っていた。
触覚から赤い光線を発して人間を操る。
ウルトラ警備隊に追い詰められ、ナースに逃げ込もうとしたがソガ隊員に射殺されて炎上した。

 

宇宙竜ナース
全長 120m
体重 15万t
ワイルド星人の円盤で、ワイルド星人が呼び出すと岩見山の火口から姿を現した。円盤形態と怪獣形態を持つ。
光弾を撃ち、不思議な動きでウルトラセブンの意識を朦朧とさせた。ウルトラセブンに巻き付くが逆にバラバラに引き千切られてしまった。 

 

物語
岩見山で続発する若者達の変死事件を調査していたダンも謎の死を遂げてしまう。
ウルトラ警備隊はダンの弔い合戦として事件の謎を解こうとする。

 

感想
アンヌ隊員は前回の「アンドロイド0指令」では台詞が無い1シーンのみの出番で今回の話では全く出番が無い。
アンヌ隊員を演じたひし美ゆり子さんの話によると、ひし美さんが役作りをしてこなかったから、満田監督の話によると、ひし美さんがアフレコの前日に強いお酒を飲んでいるので注意しても聞かなかったから、満田監督はアンヌ隊員の出番を無くす事にしたらしい。
満田監督の気持ちも分からなくはないが、ダンが死ぬ話にアンヌ隊員がいないのはやはり不自然だったので、そこは何とかしてほしかった。

 

今回は西部劇のイメージがあちこちにあるが日本には合わない世界観なのか妙に寂しい雰囲気になっていた。

 

13日の金曜日」を気にするソガ隊員。この頃から「13日の金曜日」は不吉な日だと言われていたのか。因みに殺人鬼ジェイソンで有名な映画『13日の金曜日』が公開されたのは1980年である。

 

今回はアンヌ隊員が不在でダンが途中で死亡してしまう為、人手が足りなくなってキリヤマ隊長自ら現地に調査に赴いている。

 

前回の「アンドロイド0指令」と今回の話ではアンヌ隊員が不在だった分、他の隊員の描写に割かれる時間が多くなり、特にアマギ隊員は謎を解く係でかなり印象に残った。

 

人間の命を吸い取る生命カメラ。
ウルトラシリーズでは生命と肉体は別個の扱いになっている事が多い気がする。
生命カメラの中にあるダンの命がウルトラセブンではなくてダンの姿だったのが意外だが、おそらくこれは「地底GO! GO! GO!」で語れているようにダンが薩摩次郎の姿だけでなく魂もモデルに変身しているからと考えられる。

 

よく考えたら実は今回はウルトラセブン最大の危機だったのかもしれない。

ワイルド星人は自分達の種族を救う為に活動していて、多くの命を奪ってはいるが「悪」とは言い切れないところがあった。人間を操る事が出来るのにまずはソガ隊員に事情を話して許しを得ようとしたし、ウルトラ警備隊との人質交換でもちゃんと約束を守ってソガ隊員を解放したし、ナースと言う切り札もウルトラ警備隊が約束を破るまでは使わなかったしと出来るだけ誠実に対応しようとしていた。ただし、どんなに誠実に対応しようとしても、地球人の、それも大切な仲間の命を奪ってしまった時点でウルトラ警備隊にとってワイルド星人は「敵」となり、ソガ隊員は躊躇無くワイルド星人を射殺するのであった。

 

ナースは円盤形態と怪獣形態があって『ウルトラマンレオ』に登場する円盤生物の先駆けのような存在となった。
ナースとの戦いでウルトラセブンのビームランプが点滅しているが、エネルギーが減ったと言うより意識が遠のいていくのに反応しているようであった。

 

いきなり退場してしまう主人公や相手の目的が人間の若さを手に入れる事等、『ウルトラQ』の「2020年の挑戦」を思い出す内容だった。しかし今回は「私の星で皆が待っている」と懇願する宇宙人や主人公の弔い合戦に燃える仲間達と言った「2020年の挑戦」では扱わなかった部分を取り上げている。