「蒸発都市」
『ウルトラセブン』制作第35話
1968年5月26日放送(第34話)
脚本 金城哲夫
監督 円谷一
特殊技術 高野宏一
発泡怪獣ダンカン
身長 40m
体重 1万5千t
一時的な宇宙乱流から逃れる為に地球への避難を要求し、ビルの一区画を移動して自分達の居住区とした。
人間に変身する。霊媒師ユタ花村の口を借りて地球防衛軍と交渉を行う。ダンを洗脳してウルトラセブンを自分達の戦力にする。
フルハシ隊員に撃たれて怪獣に変身するが、正気を取り戻したウルトラセブンのエメリウム光線を受けて粉になって風に舞った。
正体は泡状の何にでも変身できる宇宙生命だった。
物語
ビル街がいきなり蒸発してしまった。
一方、地球防衛軍にユタ花村と名乗る霊媒師が会見を申し込んでくる。
感想
今回の話はウルトラ警備隊にとって最強の敵が現れる。その名はウルトラセブン!
よく考えたら、かなり凄い事をやっているぞ、ダンカン!
ウルトラマンとハヤタ隊員は一心同体ではあるが元々は別人なので『ウルトラマン』の「地上破壊工作」でハヤタ隊員が洗脳されてもウルトラマンは洗脳されていなかったが、ウルトラセブンとダンは同一人物なのでダンが洗脳されたらウルトラセブンも洗脳されてしまう。
気のせいか今回は野次馬(エキストラ)が多かった。
ユタ花村は幻想的な雰囲気と演じる真理アンヌさんの美しさで印象的に残る人物ではあるが、霊媒師の存在はSF要素が強い『ウルトラセブン』にはあまり合っていなかった。(逆にSF要素が弱い『帰ってきたウルトラマン』では「暗黒怪獣 星を吐け!」で占い師が宇宙生命の伝言役をしても違和感を感じなかった)
フルハシ隊員やナレーションが「ビル街が心を持ったら蒸発したくなる」と言っていたが、『ウルトラセブン』は宇宙人の存在を前提としているので、ビル街が消えても心を持ったとは思えず宇宙人の仕業だと見てしまうし実際にそうだった。このテーマは『ウルトラQ』の方が上手く扱えたかも。
ユタ花村や心を持つビル街の部分を見ると『ウルトラセブン』は「宇宙人」と言うテーマが一貫していたのでそれ以外の話は描きにくいのかなと感じた。
今回の話は円谷監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。
円谷一さんは1970年にTBSを退社して円谷プロの社長に就任すると以降はプロデューサーとしてウルトラシリーズに関わったが、1973年に41歳の若さで亡くなられた。