「恐怖の怪獣魔境 ー岩石怪獣サドラ 地底怪獣デットン登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第3話
1971年4月16日放送(第3話)
脚本 上原正三
監督 筧正典
特殊技術 高野宏一
岩石怪獣サドラ
身長 60m
体重 2万4千t
霧吹山で人間を襲っていた怪獣。デットンと争っているが、力を合わせてウルトラマンと戦う。最後はウルトラマンのウルトラスラッシュで首を切られて倒された。
当初の名前は「サソラー」でサソリがモデルの怪獣だった。
地底怪獣デットン
身長 55m
体重 2万t
霧吹山でサドラと争っている怪獣。サドラと力を合わせてウルトラマンと戦うがスペシウム光線で倒された。
当初は『ウルトラマン』の「地上破壊工作」のテレスドンを再登場させる予定だったが、着ぐるみが劣化していたので、劇中では語られていないが「テレスドンの弟」と言う設定の別怪獣として扱われる事になった。
物語
霧吹山で怪獣を見たと訴える郷だが、MATの調査では怪獣は発見されなかった。
それでも怪獣がいると訴え続ける郷と他の隊員との間に溝が……。
感想
今回からオープニングにある怪獣紹介の文字が太字に変わった。こちらの方が迫力があって好き。
「タッコング大逆襲」を経て郷は自分の能力に慢心する事は無くなったが、普通の人間を超えた能力を持ってしまった為に周りと溝を作ってしまう。『ウルトラセブン』でもモロボシ・ダンが超能力を使いまくる事があったが、今回のようにそれが周りと溝を作ると言う話はあまり無かった。
怪獣攻撃隊なのに怪獣の存在を信じないのはおかしいと言われるMATだが一応ちゃんと調べている。調べが甘かったと言えば甘かったのだが、ここは郷の能力が凄すぎたと言うべきであろう。
怪獣攻撃隊であるMATですら発見できない怪獣を郷は探知してしまう。あまりにも優れた能力は周りに混乱を巻き起こしてしまう。やがて郷は怪獣を探知する能力を使わなくなるが、おそらく自分から能力を封印したと思われる。
このテーマは『ウルトラマンレオ』の「セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!」での「人間の世界では人間のやり方でやらなければならない」を経て『ウルトラマン80』のユリアン編に結実する。
「5分でいいわ。私と一緒に歌ってちょうだい」と頼むアキちゃんだったが、直後に郷はMAT(しかも丘隊員)に呼び出されてその5分すら無かった。可哀相なアキちゃん……。
今回の話を見ると、ウルトラマンや特別チームになるとプライベートが犠牲にされてしまう事が分かる。
「怪獣総進撃」で郷の母親について触れられていたが、今度は郷の父親について語られる。このように主人公の背景が描かれるのは今までには無かった。
さっきまで争っていたのに加藤隊長を襲う時やウルトラマンと戦う時は力を合わせるサドラとデットン。本当は仲が良い?
ガッツ星人やフック星人等、同じ宇宙人が複数でウルトラマンに襲いかかる展開は『ウルトラセブン』でもあったが、違う種の怪獣がウルトラマン相手に共同戦線を張るのは今回の話が初めて。(厳密に言うと『モーレツ大怪獣戦』や『ウルトラファイト』でもあったが)
せっかく怪獣を2体出すのなら、それをもっとドラマに生かしてほしかった。
たとえば冒頭の写真分析の場面でサドラとデットンの尻尾を別々に映して、
郷「見てください! こっちの写真にも怪獣の尻尾が!」、
上野「さっきと形が違うじゃないか!」、
郷「そうか! 怪獣は2匹いたんだ!」、
上野「今度は2匹いただって!? いいかげんにしろ!」、
と言う感じに。
今回のウルトラマンは退場する時に体が薄くなっていて、本来は光である事が分かる。
今回、郷が足を負傷しているのだが、ウルトラマンは足を庇っている様子が無かった。
今回の話は筧正典さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。ただし、撮影途中で急病になったらしく、一部は満田監督が担当している。