「恐竜爆破指令 ー化石怪獣ステゴン登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第10話
1971年6月4日放送(第10話)
脚本 上原正三
監督 筧正典
特殊技術 高野宏一
化石怪獣ステゴン
身長 70m
体重 1万3千t
工事現場から発掘されてダイナマイトのショックで蘇った。
人間を溶かしてしまう溶解液を持ち、口から白い煙を吐く。
最後はウルトラマンに宇宙に運ばれた。行き先は怪獣墓場かな。
名前の由来は「ステゴザウルス」から。
物語
化石の発掘をしていた次郎君達は巨大な恐竜の化石を発見する。
次郎君達は化石に「ステゴン」と言う名前を付けるが、工事の遅れを気にした工事関係者達はステゴンを爆破しようとする。
感想
展開は『ウルトラマン』の「恐怖の宇宙線」を思い出させる。「科特隊が落書きを消しに行けるか!」に比べて今回のMAT内の意見の対立は納得のいくものであった。こう言う隊員同士の意見の対立はさすがに上手い。
ステゴンのデザインは『ウルトラマン』の「怪獣墓場」に登場するシーボーズを思い出させる。
次郎君達は「恐竜」の事も「怪獣」と呼んでいる。
怪獣と恐竜はイメージが重ねられる事があるがウルトラシリーズで恐竜の生き残りが怪獣として現れた話は意外と少ない。
怪獣研究会の発表会は「恐竜とレッドキング、どちらが強いかな?」やプテラノドンの絵を見ての「ラドンだ! ラドン対ゴジラを見たよ!」と言う台詞や恐竜の卵の写真を見てツインテールかキングギドラかタッコングかどれの卵かなと言う場面が楽しい。(因みに恐竜の卵の写真はツインテールの卵を使っている)
それにしても誰が描いたか知らないが絵がちょっと雑だぞ。
郷の怪獣を探知する能力が使われるのは今回の話が最後。
「MATは国家の事業に協力しないつもりですか?」と言われてステゴン爆破を決定する加藤隊長。これほど苦渋の顔が似合う隊長も他にいない。
科特隊は日本にあっても日本の制度に縛られないと言うやや非現実的な組織だったが、MATは日本の制度の中にある組織として現実的に描かれている。
予算の関係で舞台が工事現場に限定されたらしいが、工事現場のセットがきちんと作られていたので雰囲気はちゃんと出ていた。特にステゴンが夜に現れる場面が素晴らしい。
これまでの話を見ていて感じた「大人しかった怪獣を人間の都合で倒して良いのか?」と言うのを劇中でも言及した話。
人間の未来を作る為に人間以外の過去が犠牲にされていく。人間が発展していく為には仕方が無いのかもしれないが、やはり釈然としない部分もある。そんなに生き急がなくても良いのでは?と。
前回の「怪獣時限爆弾」も今回も最後にウルトラマンが怪獣を空に連れて行く結末だった。同じ展開が続く事を懸念してか、放送では間に「怪獣島SOS」が挟まれている。
「恐怖の宇宙線」では流れ星をガヴァドンの涙に見立てていたが今回は一番星をステゴンの涙に見立てている。