「ウルトラセブン参上！ ー宇宙大怪獣ベムスター登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第18話
1971年8月6日放送（第18話）
脚本 市川森一
監督 鍛冶昇
特殊技術 佐川和夫
宇宙大怪獣ベムスター
身長 46m
体重 6万1千t
かに星雲出身の宇宙怪獣で、水素、窒素、ヘリウム等のガスをエネルギー源としている。MATステーションを飲み込んだ後、地球に飛来してガスタンクを次々と襲った。
角から光弾を撃ち、腹の口でスペシウム光線を吸収する。
ウルトラマンがウルトラセブンから授かったウルトラブレスレットで倒された。
ウルトラセブン
身長 40m
体重 3万5千t
太陽の引力圏に捕らえられたウルトラマンを救出しに現れた。
いかなる宇宙怪獣とも互角に戦えるウルトラブレスレットを授ける。
宇宙情報局から宇宙警備隊に転属になったのかな？
物語
スペシウム光線をも吸収する宇宙怪獣ベムスターに苦戦するウルトラマンは太陽エネルギーを補給してパワーアップしようとするが誤って太陽の引力圏に捕らえられてしまう。
その時、ウルトラセブンが……！
感想
視聴率低迷を打破する為に「宇宙怪獣」「ウルトラセブンの登場」「新兵器ウルトラブレスレット」と言った強化案を組み込んだ話。
元々は7月30日に放送する予定だったが、岩手県雫石の上空で全日空機と自衛隊機の衝突事故が起きたので臨時ニュースに差し替えられた。その為、8月6日の放送では先週の放送中止を郷がお詫びするナレーションが付けられたらしい。
ベムスターの出現に「宇宙に怪獣が！？」と驚く郷。
『帰ってきたウルトラマン』初の宇宙怪獣であるベムスターはデザイン、設定、インパクト、どれも申し分の無い名怪獣であった。
それまではやや地味だった印象がある『帰ってきたウルトラマン』の怪獣はベムスターの登場を境にバラエティ豊かになっていく。
今回はウルトラセブンがゲスト出演するが、MATステーションの梶キャプテンを演じているのは『ウルトラセブン』で宇宙ステーションV3のクラタ隊長を演じた南広さんであった。
来月に子供が生まれる予定だった親友を殺された加藤隊長はベムスターに対して「必ず息の根を止めてやる……！」と今まで見せた事が無い怒りを露わにした。いつもはチームワークを強調し、仲間同士で意見が対立するMATを苦心してまとめていた加藤隊長だけに今回見せた個人的な怒りと執念は凄まじいものがあった。
『ウルトラセブン』の「零下140度の対決」でのウルトラセブンと同じようにウルトラマンは太陽エネルギーを補給しに宇宙に飛び出すが誤って太陽の引力圏に捕らえられてしまう……。そこにウルトラセブンが……！
ウルトラマンが作品の壁を超えて登場するのは今回が初めてで、この後の「ウルトラの星光る時」での初代ウルトラマンとウルトラセブンの登場を経て、次作『ウルトラマンA』からはいよいよ本格的にウルトラ兄弟が登場する事となる。
欲を言えばウルトラセブンではなくて初代ウルトラマンが登場して新旧ウルトラマンの共演を見たかったところ。（サブタイトルも「ウルトラセブン参上！」ではなくて「帰ってきたウルトラマン」に）
この時点では初代ウルトラマンとウルトラマンの関係がまだ不明確だったので仕方が無いか。でも、昭和ウルトラシリーズで新旧ウルトラマンのツーショットを一度は見たかったな。
ウルトラブレスレットは賛否両論あると思うが自分は好きな設定。
初代ウルトラマンのスペシウム光線やウルトラセブンのアイスラッガーと並んでウルトラマンはウルトラブレスレットと言う独自の必殺武器を手に入れる事となった。
初代ウルトラマンと殆ど同じ設定（当初は同一人物の予定だった）の為、影に隠れがちだったウルトラマンにオリジナリティを持たせる事が出来たのは大きいと思う。
ウルトラマンが武器（機械）を使う事は神秘性を失わせる事になると言う意見もあるが、MATを始めとする特別チームは全て武器（機械）を使って戦っている。ウルトラシリーズは科学（機械）の素晴らしさを謳う作品で、科学批判の話があっても最終的には使い方を誤らなければ科学は素晴らしい結果を与えると言う結論に達する事が多い。それならば、ウルトラブレスレットと言う武器（機械）を正しく使いこなすウルトラマンは人間のあるべき姿を示していると言えるのではないだろうか。
「太陽！ この私をもっと強くしてくれ！ お前がお前の子である地球を愛するのならば、私にベムスターと互角に戦える力を与えてくれ！」、
「ウルトラブレスレット！ これさえあればいかなる宇宙怪獣とも互角に戦えるだろう！ さあ！ 地球に戻るのだ！」、
「ウルトラマンが……帰ってきた」、
と今回は名台詞続出の話であった。
