帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「夜を蹴散らせ」

「夜を蹴散らせ ー吸血宇宙星人ドラキュラス登場ー
帰ってきたウルトラマン』制作第36話
1971年12月10日放送(第36話)
脚本 石堂淑朗
監督 筧正典
特殊技術 佐川和夫

 

吸血宇宙星人ドラキュラス
身長 50m
体重 2万4千t
半年前に宇宙船で別荘地に飛来し、鈴村みどりの死体を乗っ取ると妹の道子を名乗って別荘地で知り合った家を訪ねていった。女性がいなければ人間は自ずと滅びるとして女性を次々と襲った。
宇宙船が破壊されると煙と共に巨大な正体を現した。
赤い光弾やガスを吐き、牙でウルトラマンのエネルギーを吸収する。
ウルトラ閃光の強力な光に怯み、ウルトラクロスで止めを刺される。死体は灰となって消えた。
名前の由来は「ドラキュラ」から。

 

物語
女性が次々と襲われる事件が起きた。調査を開始したMATは鈴村みどりと言う女性に行き着く。みどりの父親は死んだ娘の肉体を保存していたのだった。しかし……。

 

感想
残念ながらイマイチまとまっていないと言うのが素直な感想。しかし、一つ一つの要素は良かったので、もう少し練り込めば面白い話になったと思う。

 

まずは吸血鬼関係から。女性吸血鬼と言えば「カーミラ」。いわゆるレズビアンもの。劇中でもみどりの妹である道子が美砂子の家を訪ねる場面があるが、美砂子が家族に黙って道子を部屋に招き(美砂子が家族に道子の存在を教えていたらMATは美砂子の家族から吸血鬼の正体を聞き出せた)、親友の妹とは言え初対面の相手と同じベットで寝ると言う場面がある。それなら美砂子が道子を襲おうとしたら逆に襲われたと言う展開も可能だったが、さすがに子供番組では駄目だろうな。
因みに「ドラキュラス星人」ではなくて「ドラキュラス」となっているが、出身地がカーミラ星となっているので、種族名は「カーミラ星人」で「ドラキュラス」は個人名なのかもしれない。

 

死んだ娘を美しい状態のまま残しておきたいと特殊な防腐剤で死体を保存していたみどりの父親。よく考えたらかなり危ない事をしている父さんだ。
醜いドラキュラスが父親にだけは美しい娘に見えたと言う場面もあり、この父娘はどういう関係だったのかちょっと気になる。

 

女性吸血鬼と言うテーマから丘隊員が活躍するかなと思ったら意外と活躍が無かった。

 

続いて宇宙人関係。
マットアローと宇宙船の対決は『ウルトラセブン』を思わせるもので懐かしかった。今回はマットアローと宇宙船の他にもウルトラマンとドラキュラスも空中戦を繰り広げ、なんとみどりまで空を飛んでマットアローと追撃戦を展開する。

 

「裏切り者のウルトラマンよ。お前は元々人間ではない。それなのにどうして人類の味方をする? 我々宇宙人の味方を何故しない?」と言うドラキュラスの台詞は最終回「ウルトラ5つの誓い」でバット星人が言った「裏切り者のウルトラ兄弟」に繋がる。どうやら宇宙人の中で地球人の味方をしているのはウルトラマン達くらいしかいないようだ。

 

ドラキュラスのウルトラマンへの挑発に怒りを露わにする郷。郷とウルトラマンの一体化が進んできたようだ。
郷とウルトラマンは本来は別々の存在なのだが、他の宇宙人達は郷とウルトラマンを同一の人物と捉えている事が多い。(と言うか、地球人である郷の存在を無視している宇宙人が多い)

 

女性がいなければ人間は自ずと滅びると言うドラキュラス。
確かにそうなのだが、こんなペースで続けていたら人間を滅ぼすまで何十年かかる事やら……。ただし、大抵の宇宙人は驚く程の長命だし、どこか楽しみながら女性を襲っている雰囲気もあるので、時間がかかってもドラキュラスにとっては特に問題は無かったのかもしれない。

 

ドラキュラスは劇中では「吸血怪獣」と何故か怪獣扱いされている。自分でハッキリと「宇宙人」と言っていたのに……。

 

道子をマットビハイクルで尾行する郷と岸田隊員。
目立つって! 車の陰に隠れたって車自体が目立つって!

 

因みに坂田さん役の岸田森さんは1971年に公開された映画『呪いの館 血を吸う眼』で吸血鬼を演じている。

 

 

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