「ウルトラの星光る時 ー暗殺宇宙星人ナックル登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第38話
1971年12月24日放送(第38話)
脚本 上原正三
監督 冨田義治
特殊技術 大木淳
暗殺宇宙人ナックル星人
身長 2m~43m
体重 250kg~2万t
ウルトラマンを倒してナックル星に連れ去った。
宇宙船団で宇宙ステーションV1を破壊し、催眠でMATを支配下に置くが、初代ウルトラマンとウルトラセブンの登場で形勢が逆転し、宇宙船団を全滅させられて自身もウルトラマンのウルトラ投げで倒される。最後のあがきでサターンZを仕掛けるが、それも郷に解除された。
眼から怪光線を撃つ。
用心棒怪獣ブラックキング
身長 65m
体重 6万t
再びナックル星人と一緒にウルトラマンと戦うが、訓練していない技であるスライスハンドで首を切られた。
初代ウルトラマン
身長 40m
体重 3万5千t
ウルトラマンの危機にウルトラセブンと一緒に駆けつけた。ハヤタ隊員に変身する。
ウルトラの星作戦でウルトラマンを復活させた後、スペシウム光線でナックル星人の宇宙船を破壊する。
ウルトラセブン
身長 40m
体重 3万5千t
同じくウルトラマンの危機に駆けつけた。モロボシ・ダンに変身する。
ウルトラマンを復活させた後、エメリウム光線でナックル星人の宇宙船を破壊する。
物語
ウルトラマンの敗北、宇宙ステーションV1の壊滅、ナックル星人に支配されるMAT。
絶体絶命の状況の中、初代ウルトラマンとウルトラセブンが……!
感想
「ウルトラマン夕陽に死す」の続き。
遂に実現した歴代ウルトラマンの集結!
ハヤタ隊員とモロボシ・ダンも登場し、連続変身と共に『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』の主題歌が続く展開は鳥肌もの。
因みにこの時点ではウルトラ兄弟の設定は『小学◯年生』と言った雑誌のみで展開されていてTVではまだ採用されていなかった。
ウルトラマンを倒したナックル星人はMATに無条件降伏を迫る。
「いつもウルトラマンの力を借りているくせに。お前達の守護神ウルトラマンは二度と現れん」は厳しい言葉。ウルトラマンの活躍が描かれれば描かれるほど、ウルトラマンがいなくなってしまった時の絶望が大きくなる。
ナックル星人の宇宙船団に破壊された宇宙ステーションV1。
加藤隊長がいるのは他の宇宙ステーションなのかな? 心配だ。
スペースアローは今回は台詞のみの登場で実際に出撃する事は無かった。
「ウルトラマン夕陽に死す」ではサターンZを平和利用すると言った伊吹隊長だったがナックル星人を倒す為に武器として使う事を決断する。この時の苦渋の表情が実に良い。
普段が優しいだけにナックル星人に催眠状態にされた南隊員が怖い。
それにしても催眠が解けた振りをさせて他の隊員を誘き寄せるとはさすがにナックル星人は抜け目の無い作戦を立ててくる。
今回は丘隊員の強さが出ている。
昭和のウルトラシリーズで格闘が出来る女性隊員は珍しい。
初代ウルトラマンとウルトラセブンが交差する事でウルトラマンにエネルギーを注入するウルトラの星作戦。
オープニングでは毎回歌われているが、劇中では初めて「ウルトラの星」と言う言葉が使われた。(ただし、今回はウルトラマン達の出身地と言う意味ではなかったが)
前回は怒りに身を任せて戦った為に敗れてしまったが、今回のウルトラマンは怒りはあるものの冷静さは失わなかったので勝利を収める事が出来た。
今回もナックル星人とブラックキングのタッグの前に苦戦を強いられたが、初代ウルトラマンとウルトラセブンとの友情で逆転する事になる。精神力で強さが上下すると言うのは『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』には無かった展開だった。
『帰ってきたウルトラマン大全』(双葉社)にあった「前編で坂田さんとアキちゃんと言う兄妹を失い、後編で初代ウルトラマンとウルトラセブンと言う新たな兄弟を得た」と言う解釈はなるほどと納得するものであった。
村野ルミ子登場。
アキちゃんと入れ違いで登場する事になったルミ子さんだが、郷の新しい恋人と言うより次郎君の姉代わりと言う印象が強い。実際、この後の話でもルミ子さんは次郎君と一緒にいる事はあっても郷と二人きりになる事は殆ど無い。
スケジュールの都合だったアキちゃんはともかく、どうして坂田さんまで死ななければいけなかったのか?
おそらくルミ子さんとの関係が問題になったと思われる。
あまり仲良くなるのもアキちゃんの事を思うと複雑だし、かと言って距離を置きすぎるのも不自然。どう付き合っていけば良いのか悩むのは坂田さんより郷の役割であろう。
アキちゃんの死とルミ子さんの登場は坂田さんの居場所を無くしてしまったと言える。
劇中にもあるように今回の放送は12月24日のクリスマス・イブであった。
今回の話は冨田監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。
この後、冨田監督は東映で不思議コメディシリーズ等を担当した。
又、大木監督の『帰ってきたウルトラマン』監督最終作となっている。