「地獄からの誘い ー原始地底人キング・ボックル登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第50話
1972年3月24日放送(第50話)
脚本 斎藤正夫
監督 松林宗恵
特殊技術 真野田陽一
原始地底人キング・ボックル
身長 250cm~50m
体重 130kg~3万t
地底30kmに棲む地底人類。自分達の存在を知る者を次々に襲った。
額から火花を撃ち、物体を地底に埋没させたり、土煙(かまいたち)を起こしたりする事が出来る。
目が見えないので触角から超音波を発して周りを識別している。この超音波を使って人間を操ったり発狂状態にする事が出来る。
ウルトラスパークで炎上したが第二の攻撃は今夜にも……?
物語
上野隊員の恩師で地底科学の権威である小泉博士が自殺。さらに娘のチドリの周りでも不思議な事件が起きていた。
上野隊員はチドリを守ろうとするが上野隊員にも魔の手が……。
感想
上野隊員唯一の主役回。
子供の時に遭難したところを小泉博士に助けられた上野隊員。その時に両親を亡くして、小泉博士に育てられる事になったらしい。それを考えると、育ての親を殺してしまったと思った上野隊員の心情は辛い。
上野隊員の過去は「二大怪獣東京を襲撃」「決戦! 怪獣対マット」で語られている。肉親がいない為、MATを家のように思っていたが、育ての親である小泉博士を殺してしまい、それが原因でMATも解散の危機にさらしてしまった。ひょっとしたら今回の上野隊員はMAT隊員の中でも一番の受難だったのかもしれない。実際は小泉博士を殺したのはキング・ボックルで、MATも解散せずに済んで本当に良かった。
今回はサスペンス、特にスパイドラマの展開。次々に襲いかかる危機は面白いのだが、重要な部分である小泉博士の研究ノートの扱いや上野隊員の無実を証明する証拠が単純だったのが残念。話の前半は良い感じだったのだが……。
今回はスパイドラマ風の展開に地底人の存在を絡めてミステリアスホラーな雰囲気も出ている。キング・ボックルのデザインも今回の話の雰囲気を高めるのに役立っていた。
佐竹参謀が久々に登場。今回もMAT解散をちらつかせてくる。
どうやら日本政府内にはMAT廃止論もあるらしい。やはり自衛隊との縄張り争いが関係しているのかな。
色々と言われる佐竹参謀だが、自分が間違っていたら素直に認める事が出来るので単なる悪役ではないと思う。
今回のワンダバは勝った瞬間に流れるが、この使い方も格好良い!
岸田隊員の「今度こそ郷は名誉の戦死を……」と言う台詞が面白い。「今度こそ」ってあんた……。
それに対して郷が生きている事を確信している伊吹隊長。やはりウルトラマンである事に気付いている?
今回の話は斎藤さんの『帰ってきたウルトラマン』脚本最終作となっている。