帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラ5つの誓い」

「ウルトラ5つの誓い ーゼットン バット星人登場ー
帰ってきたウルトラマン』制作第51話
1972年3月31日放送(第51話)
脚本 上原正三
監督 本多猪四郎
特殊技術 真野田陽一

 

触覚宇宙人バット星人
身長 230cm~43m
体重 80kg~2万8千t
裏切り者のウルトラ兄弟を抹殺する為にウルトラの星に連合部隊を送り地球にゼットンを送り込んだ。次郎君とルミ子さんを人質に取る。
MAT基地を破壊するがその後の戦いで伊吹隊長のナイフを胸に受ける。巨大化してゼットンと一緒にウルトラマンを攻撃するがウルトラクロスで倒された。
テレポーテーションを多用する。
ウルトラマンも知っているほど有名な宇宙人。派手な装飾がボスらしい。
名前の由来は「バット(コウモリ)」かな。

 

宇宙恐竜ゼットン(2代目)
身長 60m
体重 3万t
かつて初代ウルトラマンを倒したゼットンの同種。伊吹隊長も「最強と言って良いだろう」と言う怪獣。
口から光弾、手からミサイルを撃つ。体から電流を放つ。
ウルトラハリケーンスペシウム光線の連続攻撃で倒された。

 

初代ウルトラマン
身長 40m
体重 3万5千t
テレパシーで郷にゼットンの恐ろしさを忠告した。
今回の話のテーマから外れる事は分かっているが、初代ウルトラマンゼットンのリターンマッチも見てみたかった。

 

物語
郷が初代ウルトラマンゼットンに倒される悪夢にうなされている頃、次郎君とルミ子さんがバット星人にさらわれる。
いよいよバット星人の「ウルトラ抹殺計画」が幕を開けるのであった!

 

感想
帰ってきたウルトラマン』最終回。
過去に決着を付け、新たな時代への橋渡しとなった話。

 

冒頭いきなり郷とルミ子さんの結婚式が挙げられる。次郎君も二人の仲を祝福し、ルミ子さんの物語はここで一つの決着を迎える。
ただしこれは夢で、現実では郷はルミ子さんの想いに応える事は出来なかったのだが、ペンダントを渡す事で精一杯応えている。(これは「怪獣総進撃」でアキちゃんが死んだ郷に十字架を渡す場面と対になっている)

 

初代ウルトラマンゼットンに倒される悪夢にうなされる郷。
ウルトラセブン』以降、最終エピソードで主人公が夢にうなされる展開がよく見られるようになった。

 

バット星人の台詞で「ウルトラ兄弟」と「ウルトラの星(劇中ではウルトラ星)」が登場。次作『ウルトラマンA』への準備が行われた。

 

バルタン星人Jrの復讐」でも書いたが、ゼットンを連れて来るのはバット星人ではなくてバルタン星人にしてほしかった。『帰ってきたウルトラマン』の最終回は『ウルトラマンA』の異次元人と超獣の登場に備えて宇宙人と怪獣に決着を付ける意味も持っていたので、それなら最強怪獣ゼットンを操るのは最も有名な宇宙人バルタン星人の方が合っていたと思う。(因みに『ウルトラマンパワード』の最終回「さらばウルトラマン」がその展開になっていた)

 

遂に破壊されたMAT基地。やはり6人は無理があったか……。
まぁ、一般隊員がいたがバット星人にあっさり倒されてしまったのかもしれないが……。

 

第1話「怪獣総進撃」と同じように隊員一人一人と握手を交わした郷はたった一機残ったマットアローで出撃する。「あいつ、まるで死にに行くみたいだな」と言う岸田隊員の台詞が緊迫感を高める。これがMAT隊員・郷秀樹最後の戦いとなった。

 

郷の決意を感じ取った伊吹隊長。
ウルトラマン』は最後まで正体がバレず、『ウルトラセブン』は最終回で正体がバレ、『帰ってきたウルトラマン』は途中で気付いていたらしい。後の作品も大体これら3つのパターンを踏まえている。

 

郷=ウルトラマンの動揺を誘う為に次郎くんとルミ子さんを拉致するバット星人。この展開は「ウルトラマン夕陽に死す」のナックル星人を思い出すが今回はMATの活躍もあって救出に成功している。

 

バット星人がウルトラマンを羽交い締めにしてゼットンがカラータイマーを狙うのも「ウルトラマン夕陽に死す」でのナックル星人とブラックキングとの戦いを思い出すが、こちらもMATの援護で危機を脱する事が出来た。

 

ウルトラハリケーンスペシウム光線の連続攻撃でゼットンを倒したウルトラマン。どうしてウルトラブレスレットを決着に使わなかったのかと言う疑問が生じるが、やはり初代ウルトラマンの無念を果たしたかったのだろう。
因みにウルトラハリケーンウルトラマンが初めて名前を叫んだ技である。
それにしてもウルトラハリケーンの場面で背景の空にゼットンの影が映ってしまったのは残念。何とかしてほしかった。

 

初代ウルトラマンに救援に来てほしかった気持ちもあるが、「ウルトラの星光る時」でウルトラ兄弟の救援を受けたウルトラマンが今度はウルトラ兄弟を救援に行く事でウルトラマンの成長を描いたのだろう。

 

戦いが終わった後、郷はMATの制服ではなくて私服で次郎君とルミ子さんの所に帰って来る。ここからはMATの隊員としてではなくて人生の先輩として次郎君に語りかけている。
「君も、嫌なもの、許せないものと戦える勇気ある男になるといい」。

 

「ウルトラ5つの誓い」は正直言うと自分も最初に聞いた時は「何じゃこりゃ!?」だったが、何度も考えるとスタッフが言いたかった事が分かってきたような気がする。
一つ、腹ペコのまま学校に行かぬ事。
一つ、天気の良い日に布団を干す事。
一つ、道を歩く時には車に気を付ける事。
一つ、他人の力を頼りにしない事。
一つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶ事。
この中で「他人の力を頼りにしない事」は説明しなくても良いだろう。これに比べて他はえらく現実的と言うか日常的なものとなっている。これを次郎君は郷=ウルトラマンを追いかけながら叫んだ。つまりはウルトラマンに、自分が尊敬する人になりたい近付きたいのなら、まずは日常をしっかり生きよと言う事なのだろう。きちんとご飯を食べる、身の回りを清潔にする、自分の身を自分で守る、体を元気に動かす。どれも人間が健康的に生きる上で大切な事だ。

 

2011年3月に起こった東日本大震災円谷プロは被災地支援の為の「ウルトラマン基金」を設立。そこで「ウルトラ5つの誓い2011」が掲げられている。
一つ、節電をしよう。
一つ、必要以上のむやみな買い物はやめよう。
一つ、不確かな情報に惑わされないようにしよう。
一つ、優しさを忘れずに励まし合い、助け合おう。
一つ、希望をもって未来に向かって進もう。

 

夢の中の結婚式で郷は途中でMATの制服に着替えて出撃してしまう。これは郷秀樹としての平和な日常が終わる事を意味しているのだろう。
その後、バット星人とゼットンとの戦いで郷はマットアローで墜落して戦死扱いとなり、戦いが終わった後に次郎君とルミ子さんの所に帰ってきた時にはMATの制服ではなくなっていた。MAT隊員・郷秀樹の戦いはこれで終わりを告げたのだった。
そして最後に郷は次郎君とルミ子さんの前で人間郷秀樹から宇宙人ウルトラマンに変身し、地球を去る事となる。

 

人間郷秀樹は宇宙人ウルトラマンとなったが、郷の意識がウルトラマンに取り込まれたわけではないと思う。郷は旅に出ると言い、平和な(ウルトラマンの)故郷を戦争に巻き込もうとしている奴らがいるから手助けに行くと言っている。
かつてウルトラマンが地球の危機に来てくれたように今度は郷がウルトラの星の危機に向かうのだ。

 

地球人であった郷はウルトラマンと出会い一体化する事で超人的な力を手に入れて意識も変わっていった。最初は「地球の平和」と言っていた郷だが後に「全宇宙の平和」と言うようになる。地球人だった郷は宇宙人ウルトラマンと出会った事で物事をより大きな視点で見られるようになり、単に地球の事だけを考えるのではない、宇宙全体の事も考える事が出来る、ウルトラマンと同じ宇宙人になったのだ。

 

今回の話は本多監督と真野田監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。
本多監督は『メカゴジラの逆襲』やTVのヒーロー作品を監督した後、演出補佐として親友の黒澤明監督を支えた。
又、真野田監督は円谷プロ東宝の作品で特撮を手掛けていった。