帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「黒い蟹の呪い」

夏の怪奇シリーズ 黒い蟹の呪い ー大蟹超獣キングクラブ登場ー
ウルトラマンA』制作第15話
1972年7月14日放送(第15話)
脚本 田口成光
監督 山際永三
特殊技術 田淵吉男

 

大蟹超獣キングクラブ
身長 88m
体重 6万3千t
人間に追われたカブトガニの怨念をヤプールが利用した。人間を食べて成長する。
姿を消して攻撃の機会を伺うがTACの窒素爆弾で酸欠に苦しんで姿を現す。
額から凄まじい炎を吐くがエースのアタックビームで倒された。
名前の由来は「キング」と「クラブ(蟹)」かな。

 

物語
岡山の親戚の家を訪ねていた今野隊員は人間が海に引きずり込まれる事件に遭遇する。
貝を通してカブトガニになった父親の声が聞こえると言う夢二少年は何者かがカブトガニを作り変えているのだと答える。

 

感想
岡山ロケの第1弾。
その為、熊本出身の今野隊員は熊本ではなくて岡山の親戚の家に行く事になった。

 

今回からサブタイトルの文字が変わっている。どうして?

 

この辺りからヤプールは既存のものを超獣に改造する事が多くなる。スケールは小さくなったが霊的な要素が加わって深みが増したところもある。
「悪魔」と呼ばれるヤプールだが「3億年超獣出現!」以外の話では悪魔と言うより高度な知能を持った侵略者であった。それが今回の話で霊的な世界と関わった事でまさに悪魔と呼べる存在になったと言える。異次元を霊界のイメージと結び付けたのかもしれない。

 

人間のせいで魚も貝も住みにくくなったと夢二の父親が嘆き、海を汚し山を削った人間に復讐しろとヤプールが言った通り、人間は地球を自分達に都合が良いように作り変えていった。その為、人間以外の存在が滅亡の危機に瀕するようになり、ヤプールはそんな地球に住む人間以外の存在を利用して人間を滅ぼそうとする。悪魔は人間の罪を暴き出して強烈なしっぺ返しを与えてくる。

 

進化の流れに乗れず人間に追われたカブトガニを利用したヤプール
進化から外れた存在を超獣にして、進化の頂点に君臨する人間と争わせると言う展開は面白かったが今回の話以外ではあまり取り上げられなかった。

 

夢二の父親は星司を「心にある力が人間の世界で一番強い」と言っている。
この台詞で星司は宇宙人と合体している人間と言うより陰陽師のような霊能力者となった。

 

夢二がカブトガニになった父親と話をする事が出来た貝は霊界との通信装置のようなものだったと考えられる。
カブトガニが死んでも話が出来たところを見ると、夢二の父親はカブトガニに一時的に取り憑いていたが元々は霊界にいると考えられる。
夢二の父親が死んだ理由だが、3ヶ月も前の話なのでキングクラブとは無関係だと思われる。住民は瀬戸内海に棲む化け物の仕業と言っているが……。

 

今野隊員の主役回と思いきや後半は殆ど活躍が無い。霊的な要素のある話だったので住職の息子と言う設定を上手く使ってほしかった。
又、「超獣10万匹! 奇襲計画」で女性に振り回されていたので今回も姪に振り回されると言う展開もありだったと思う。

 

つい相撲の相手をしてしまうキングクラブが可愛い。

 

最後にエースの正体を夢二にバラしてしまうのはやり過ぎ。
『A』は正体を知られたら二度と人間の姿に戻れないのではなかったのか?
変身するところを誰かに見られると言った決定的瞬間でなければ大丈夫なのかな?