帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「奇跡! ウルトラの父」

「奇跡! ウルトラの父 ーウルトラの父 ウルトラ5兄弟 ヒッポリト星人ー
ウルトラマンA』制作第27話
1972年10月6日放送(第27話)
脚本 田口成光
監督 筧正典
特殊技術 川北紘一

 

地獄星人ヒッポリト星人
身長 50m
体重 6万3千t
ウルトラ5兄弟をブロンズ像にしてTACに地球を明け渡すよう要求した。
TACの決死の抵抗にも「私を困らせるほどの力は無いようだな」と余裕を見せる。救援にやって来たウルトラの父さえも倒したが、父によって復活したエースの反撃を受けて遂に倒された。

 

ウルトラの父
身長 45m
体重 5万t
ウルトラ5兄弟全滅を受けて地球に飛来するがエネルギーが尽きかけていてヒッポリト星人相手に苦戦を強いられる。残されたエネルギーをエースに与えて力尽きると星となった。エースに与えられたエネルギーはその後、他の兄弟にも分け与えられた。
クレセントショットやウルトラシャワーを使い、ウルトラアレイと言う武器を使用する。

 

ウルトラ兄弟
ヒッポリト星人が倒されてブロンズ像から元に戻り、エースから父のエネルギーを分け与えられて復活した。

 

物語
ウルトラ5兄弟が全滅!
かつてない危機の中、TACは地球人の尊厳を懸けて戦う!
その時、奇跡が……!

 

感想
全滅! ウルトラ5兄弟」の続き。
今回初めてクレジットにウルトラマン達の名前が載せられた。視聴者やスタッフの関心が怪獣や宇宙人からウルトラマンへと移ってきている事が分かる。

 

ブロンズ像にされたウルトラ5兄弟を見て「彼らは自分の星でもない地球の為に死んだんだ!」と檄を飛ばす山中隊員。
全滅! ウルトラ5兄弟」でも書いたが、どうしてウルトラマン達はここまで地球の為に戦ってくれるのだろうか? もはや使命感とかそういうレベルの話ではなさそうだ。

 

今回の前後編は山中隊員が目立っている。
最初はエースを引き渡してしまおうかと言ってしまうが実際にエースの敗北を見ると涙ながらに詫び、逆に戦意を失った他の隊員に檄を飛ばす。その他にも「銃なら俺に任せてください」と危険な任務を引き受けようとしたり、竜隊長の代わりに指揮官として対処したりと大活躍であった。

 

しかし、今回の主役は何と言っても竜隊長。瑳川哲朗さんの名演技が光る。特に「星人は人間達の宝物である地球を黙って自分のものにしようとしているんだ。私達は怒らなけりゃいけない」は名台詞だった。

 

地球を明け渡す事と自分達が星人の奴隷になる事は話が別ととんでもない事を言う人々。実際に街を破壊されているので気持ちは分からなくもないが、この「自分達さえ良ければ良い」と言う考えが多くの過ちを生んできた事は言うまでもない。

 

これはTACの戦いではなく地球人と宇宙人の戦いだと訴える竜隊長。
人々は地球防衛をTACとエースに押しつけて自分達は無関係だと考えているがそうではない。実際に銃を持って戦う事はなくても自分達の居場所を守る為に出来る事をしなければいけない。平和が何の苦労もなくタダで手に入ると思ったら大間違い。

 

たとえTACが負けても地球人36億の魂が負けなければ、それはTACの勝利ですと語る竜隊長。たとえ地球を明け渡す事になっても地球人の心を明け渡さない限り、地球人はヒッポリト星人に支配されていないと言う意味なのだろう。そう考えると『初代マン』の「禁じられた言葉」でメフィラス星人が「人間の心」に拘った理由も分かる。

 

ヒロシの父親の形見と言うお守りを貰って決戦に赴く竜隊長。
「星人にも命がある。私にも命がある。命と命を交換すれば、勝てる!」。
格好良いが、それは特攻です。

 

今回登場した細胞破壊銃と細胞破壊ミサイルは「明日のエースは君だ!」に登場する細胞分解ミサイルの原型かな?

 

梶隊員が自分も一緒に出撃したいと申し出た事で決戦ムードが一気に高まった。もうここで最終回にしても良いと思うほど。
因みに梶隊員はこの話をもってレギュラー出演を終えている。

 

遂に現れたウルトラの父
強い! 強いぞ! と思ったらエネルギーが尽きてしまった。残念。

 

ようやく倒せたヒッポリト星人。全部で何連戦したのだろうか? とにかく強かった。
ヒッポリト星人の投影体が何故攻撃出来たのかについて説明が無かったが、おそらく地球人の科学では不可能で理解不能でもヒッポリト星人の科学なら可能な技術があったのだろう。

 

ウルトラの父のエネルギー(命)を受け継いで復活したウルトラ5兄弟。
死刑! ウルトラ5兄弟」「銀河に散った5つの星」では兄から弟へであったが今回は父から息子へとなった。世代交代と言うより「次世代の為に自分を犠牲にする」と言ったところか。