帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あの気球船を撃て!」

「あの気球船を撃て! ー気球船超獣バッドバアロン登場ー
ウルトラマンA』制作第33話
1972年11月17日放送(第33話)
脚本 石堂淑朗
監督 筧正典
特殊技術 佐川和夫

 

気球船超獣バッドバアロン
身長 49m
体重 3万3千t
子供を大人しくさせる気球船バアロン号として全国を行脚して母親達の支持を集める。実際は子供達の魂(元気)を吸い取ってエネルギーにしていた。ダンの攻撃で超獣の姿になる。
口からの突風や右手のムチが武器。
エースのホリゾンタルギロチンとバーチカルギロチンの連続攻撃で倒され、子供達の魂は元に戻った。

 

物語
気球船バアロン号と配られる風船はわんぱく子供を大人しくさせる効果があった。
母親達から絶大な支持を受けるバアロン号。その正体は超獣なのだが……。

 

感想
バッドバアロンは何者か?
おそらくヤプールが滅亡して野良になった超獣であろう。ヤプールがいなくなったので自分でエネルギーを確保しなければいけなくなったと考えられる。

 

宇宙生物の権威」と言う設定がようやく使われた吉村隊員。
これまでも「怪獣対超獣対宇宙人」でメトロン星人Jrやムルチの名前を即座に言ったりと地味に活躍していた。この地味さが実に吉村隊員らしい。
因みに今野隊員は「南無阿弥陀仏」は印象に残ったが、「ロケット工学のオーソリティ」と言う設定は結局使われずじまいであった……。

 

冷静に状況を分析する吉村隊員とは逆に星司はのんきと言うか危機感が足りない。前回の「ウルトラの星に祈りを込めて」で超獣に命を狙われた事を忘れたのか? それとも前回でヤプールや超獣の残党はもういなくなったと思ったのか?
「大体俺達はね、ちょっとでも変な事があるとすぐに超獣と結び付けて考えちまう。反省しなきゃいかんよ」だと言っていたが、今までそれをしていたのは北斗自身だったのに……。

 

大介ちゃんをTACの病院に連れて行こうとするダン。関係者以外は立ち入り禁止だったと思うが、星司の関係者と言う事なのかな。

 

脳波が殆ど無くなって老人と同じになってしまっても利口になるのならば超獣かもしれないバアロン号に自分の子供を乗せてしまう母親達。人間の業をさりげなく暴く事では『A』に勝る作品は無いかも。

 

「一見、味方のような顔をした敵だっていっぱいいるからな」、「もし、あれが超獣だとしたら子供達は何も信用出来ないと言い出すぞ」。
最終回「明日のエースは君だ!」の前振りのような会話。この時点での星司は子供達には残酷な真実は隠した方が良いのではと考えている。

 

バアロン号に近付けるのは子供だけと言う展開で今回はダンが無理無く活躍している。それにしても、怖がるダンに対する星司の「ウルトラ兄弟達が君の活躍を見ている」「もし行かなければ、兄さん達が恥ずかしい弟だと言うよ」はかなり厳しい台詞だ。ウルトラの弟を名乗るのは楽じゃない。

 

ところで、もし『T』の企画が無かったら『A』はどのような最終回を迎えていたのだろうか? おそらくだが、エースは地球を去り、代わりにダンがTACに入隊して新たなウルトラマンになっていたのではないだろうか?
ウルトラシリーズの殆どの作品が「ウルトラマンになった人間の物語」なのだが、このような最終回になっていたら今のダンの物語は「ウルトラマンになろうとする人間の物語」になると言える。
実際は『A』はそのような展開にはならなかったが、後の『平成セブン』や『ネクサス』や『メビウス』ではそのような「ウルトラマンになる前の物語」が描かれている。

 

ラストの風船と一緒に帰って来る子供達がファンタジックで良い。
それにしても、バッドバアロンの腹の中に子供達がいる事を知っていながらバーチカルギロチンを使うエースって……。