「怪獣ひとり旅 ー噴煙怪獣ボルケラー登場ー」
『ウルトラマンT』制作第12話
1973年6月22日放送(第12話)
脚本 田口成光
監督 深沢清澄
特殊技術 山本正孝
噴煙怪獣ボルケラー
身長 54m
体重 3万2千t
温泉開発の為のボーリング機械で住処の地底から追い出されてしまった。
皮膚は高温で、口から黄色いガスを吐く。ストリウム光線を避けるほど素早い。
タロウに胃袋を引っ張り出されると言うよく考えたらかなり惨い倒され方をされた。
最後はタロウによって宇宙に投げ飛ばされているが怪獣墓場だろうか?
名前の由来は「ボルケーノ(火山)」かな。
物語
光太郎は九州への船旅でたけしと言う少年と出会う。
たけしの父親は温泉掘りの名人なのだが母親の命日になっても帰って来ないらしい。
その頃、たけしの父親は怪獣ボルケラーに襲われていた。
感想
宮崎ロケの第1弾。
妙に態度のでかい密航者のたけしが父親を追い求める話。
死んだ父親の敵討ちと言う一見するとシリアスな話なのだがゲストのキャラクターのおかげで暗い話にならずに済んだ。
内容が「人喰い沼の人魂」と殆ど同じなのだが今回は妖怪的な演出がされていないのでイメージが重ならない。
サブタイトルの「怪獣ひとり旅」だが、たけしのあだ名が「ブルゴン」となっているので、たけしを怪獣に見立てたのかもしれないが、ちょっと弱い。
ゲストの社長は憎まれ役なのだがボルケラーに向かって「温泉が出たー! 怪獣も出たー! 金なら払うから怪獣は引っ込めー!」と言ったり、最後に温泉よりタロウのサインが欲しいと言ったり、ちょっとズレたところがあって面白いキャラだった。
ところで地震が起きようと地面が陥没しようとホテルは建てると言っていたが、そんな物騒な所に客は来ないぞ。
荒垣副隊長にヒゲが!?
そのヒゲにサングラスをかけた姿はとても特別チームの副隊長には見えない。
「怪獣の胃袋を取り出してお父さんを助け出す」と言ってボルケラーにしがみつく光太郎。ひょっとして、自らボルケラーの腹の中に入るつもりだったのかな。
それにしても、まさか言った通りに本当にタロウがボルケラーの胃袋を取り出すとは思わなかった。
今回のボルケラーは人間に住処を追われた挙げ句に胃袋を取り出されると言うかなり悲惨な怪獣。はっきり言って被害者なのだが、父親の敵討ちに燃えるたけしの視点で物語が描かれているので見ている間はあまり気にならない。
「お父さんは生きているよ。あそこだよ、ほら」とたけしに告げるタロウ。変身後のウルトラマンが子供に直接話しかける場面は意外と少ない。今回のタロウとたけしのやりとりを見ると「子供に親しみやすく」と言う『T』の基本姿勢がよく分かる。