帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「東京ニュータウン沈没」

「東京ニュータウン沈没 ー蝉怪獣キングゼミラ登場ー
ウルトラマンT』制作第21話
1973年8月24日放送(第21話)
脚本 田口成光(原案 村山庄三)
監督 山本正孝
特殊技術 山際永三

 

蝉怪獣キングゼミラ
身長 45m
体重 2万8千t
東京ニュータウンの地下に眠っていた巨大蝉。
東京ニュータウンを沈没させるも、ただのデカい蝉と言う事でZATのネット作戦(巨大な虫かご)で保護される事になるが、鳴き声がうるさいと言う近隣の住民達にネットを燃やされて追い出される。今度は東京タワーにとまるが、電波を攪乱させてしまった為にまたもや近隣の住民達に追い出されてしまった。去る際には必ずおしっこを住民にかける。
遂に怒って炎を吐くがタロウに炎の発生器官を取られて宇宙に送られる。その後は宇宙蝉となって今でも夏になると宇宙の彼方で鳴いているらしい。
名前の由来は「蝉」かな。

 

物語
東京ニュータウンの地下から巨大蝉キングゼミラが発見される。
蝉の寿命は一週間と言う事でZATはキングゼミラを保護しようとするが、キングゼミラの鳴き声に近隣の住民達が我慢できなくなって……。

 

感想
全体的に明るくてコミカルな展開なのだが、実はエゴを剥き出しにした人間の哀しい姿を描いた話。

 

光太郎は子供時代に武蔵野に住んでいた事が判明する。光太郎の過去が語られるのは意外と少ない。
光太郎が武蔵野に住んでいたのはたかだか10年前らしいが、その間に自然は削られて辺りの風景はすっかり変わっていた。

 

昆虫採集で蝉を取ろうとする健一君。どうして前回の「びっくり! 怪獣が降ってきた」の時に取っておかなかったんだ?

 

地下に眠っているキングゼミラに対してZATは地上に追い出さないと勝負にならないと言っていたが、ベルミダーⅡ世はどうした?

 

昆虫博士と呼ばれる正一。蝉は一週間しか生きられない可哀相な生き物だから殺すなんて残酷だと言っていながら、その蝉を売り買いするのはどうなのかな?
一方でさおりさんも生き物は売り買いする物なんかじゃないと言っていながら、うるさくて勉強が出来ないと言う理由で殺虫剤で蝉を殺してしまうのもどうなのかな?

 

昆虫博士と呼ばれるだけあって正一は蝉の命も大事にしているが、自分の命より蝉の命を心配するのはどうなのかな?
又、蝉を殺さないでとZATに訴えるが、キングゼミラが街を破壊する事で多くの人間が被害に遭っている。人間は死んでも蝉さえ生きていれば良いのだろうか?

 

真夜中に鳴き続けるキングゼミラに怒り心頭の東京ニュータウンの住民達。眠れない、テレビが見られない、家に受験生がいると納得の訴え。しかし、住民達がやったのはネットを燃やしてキングゼミラを自分達とは無関係な場所に追い出す事だった。
そして次にキングゼミラがやって来た東京タワーの近隣の住民達は東京ニュータウンの住民達がたかが一週間我慢できなかったのが悪いと言っていながら、結局は自分達もキングゼミラを自分達とは無関係な場所にとっとと追い出そうとした。見事な言動不一致で、こんなのだからおしっこをかけられるのだろうなぁと感じる。

 

「街の中に入って蝉が狂ってしまったんだ」と言う光太郎に対して昆虫博士の正一は「そうじゃない。皆が悪いんだ!」と反論する。そう、キングゼミラは狂ったのではない。街に、人間に狂わされたのだ。
地球出身であるキングゼミラを宇宙に送ると言う結末に疑問を抱く人もいると思うが、地球と言う巨大な虫かごから解放された方がキングゼミラにとって幸せだったのかもしれない。(最後に昆虫博士の正一も虫かごから自然へと蝉を解放している)

 

今回の話を見て思ったのは「怪獣と普通の生物の違いは一体何か?」と言う事。
キングゼミラは最初は普通の蝉として扱われていたが人間に何度も追い出されて遂に逆襲を開始した。この時に初めてキングゼミラは炎と言う怪獣特有の能力を使っている。怪獣とは自然への畏敬の念を忘れた人間に対する自然の逆襲の姿なのかもしれない。
最後にキングゼミラはタロウに炎の発生器官を取られて人間がいない宇宙に送られる。そしてキングゼミラは怪獣ではなくて宇宙蝉となって今も鳴いているらしい。

 

人間は怪獣(自然)と共存していけるのか?
今回の話を見る限り、人間が意識を変えない限りは無理だろう。
因みに自分は虫の類は苦手。TVで見る分は何の問題も無いが実際に触るとなると話は別。TVの大自然を見て美しいと思う事はあっても実際にそこに行きたいとは思わないし、『ザ! 鉄腕! DASH!!』の「DASH村」の企画は好きだったが実際に自分で村を作ろうなんて思わない。おそらく自分もキングゼミラにおしっこをかけられるのだろうなぁ……。

 

今回の話の原案を担当している村山庄三さんは、この後、仮面ライダーシリーズに参加している。

 

 

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