「必殺! タロウ怒りの一撃! ーめつぶし星人カタン登場ー」
『ウルトラマンT』制作第35話
1973年11月30日放送(第35話)
脚本 田口成光
監督 深沢清澄
特殊技術 高橋勝
目つぶし星人カタン星人
身長 220cm~51m
体重 98kg~3万1千t
車で轢こうとしたり上から鉄材を落としたりした他、光太郎そっくりの兄がいたと言う少女まちこに乗り移って近付く等、タロウである光太郎を執拗に狙った。
目潰し光線で光太郎の視力を奪う事に成功すると巨大化して火炎で街を破壊し、視力が戻った光太郎が変身したタロウも目潰し光線で視力を奪う。
地球人の科学力を軽視していたがZATのベル作戦でタロウに位置を知られてしまい、タロウ最大の切り札であるウルトラダイナマイトで倒された。
光太郎の視力を奪った時に「今までお前の倒した怪獣の苦しみを知るがいい!」と言っていたので、怪獣軍団の関係者だった可能性がある。
物語
光太郎は犬を助けようとして車道に飛び出した少女まちこと知り合う。
まちこは光太郎を死んだ自分の兄そっくりだと言う。その直後、光太郎を狙う謎の宇宙人が現れる。
感想
今回の話では朝日奈隊長が約半年ぶりに登場し、逆に荒垣副隊長はお休みとなっている。
又、上野隊員は今回をもって退場となっているが、西田隊員のように別の部署に異動した等の理由は語られなかった。因みに降板理由は上野隊員役の西島明彦さんが『ぎんざNOW!』と言うバラエティ番組に出演する事になったかららしい。
光太郎を死んだ自分の兄そっくりだと言うまちこ。
妹として兄に甘える純真な少女の顔と光太郎の命を狙う凶悪な顔を持つと言う二面性が面白い。特に工事現場で倒れた光太郎に向けて包丁を握り締める場面は印象に残った。
結局はカタン星人が乗り移っていたと言う設定だが、兄を独占したいと言う妹の願望(欲望)を表していたとも考えられる。
今回の話に大きく関わるウルトラマンの人形。
最初に光太郎とまちこが出会った時、まちこはゾフィの人形を持っていた。その後、まちこは光太郎にセブンの人形が欲しいとねだるが、セブンの人形はバラバラにされてしまう。次にエースの人形をねだる時にまちこは「お兄ちゃんと私が一緒になったみたいな」と言っている。男女合体変身の事を忘れずにいてくれた事は嬉しいが、まちこがその事を知っていたのは不自然だった。これはカタン星人の知識だったのかな。
最後はお約束通りにタロウの人形。初代マンと新マンの人形が出てこなかったのが残念。
光太郎とカタン星人とでウルトラシリーズでは珍しいカーチェイスが行われる。尚、カーチェイスの時のカタン星人は運転に邪魔だったのか角が無い。
カタン星人が乗り移った為にまちこは激しい疲労に襲われる。
よく考えたら、体内に別人が入り込んだら体に負担がかかるのは当然。過去の主人公達はウルトラマンと一体化しても平気だったが、それなりの素質があったと言う事なのだろうか? それとも今回はまちこがまだ子供だったのでカタン星人との一体化に耐えられなかったのかな?
「私だってZATの隊員よ。最後の最後まで諦めないわ!」と一緒に病室に残ろうとする森山隊員に対して、光太郎は「君も僕もZATじゃないか。今、ZATの隊員が一番しなければいけない事をまずやるんだ!」とまちこと一緒に逃げるよう告げる。
この時の森山隊員には光太郎に対してZATの同僚以上の気持ちがあったように見える。
タロウ最大の切り札ウルトラダイナマイト炸裂!
敵と一緒に自分も爆発するが自分はその後に復活すると言う物凄い技。『ドラゴンクエスト』で言えば「死なないメガンテ」をするようなもの。殆ど反則に近い。
『T』で使われたのは今回限り。この時のタロウは目潰し光線で視力を失っていたので、カタン星人を確実に倒す為に相手にしがみつくウルトラダイナマイトを選んだと思われる。