帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラのクリスマスツリー」

「ウルトラのクリスマスツリー ーミラクル星人 テロリスト星人登場ー
ウルトラマンT』制作第38話
1973年12月21日放送(第38話)
脚本 田口成光
監督 筧正典
特殊技術 大木淳

 

ウルトラの母
身長 40m
体重 3万2千t
光太郎がライターの炎の中に見た「光太郎にとって大事な人」。
今回は『ウルトラの母のバラード』を聴く事が出来る。

 

エフェクト宇宙人ラクル星人
身長 199cm~43m
体重 70kg~2万t
地球によく似た環境ながら文化がやや遅れているミラクル星から地球に勉強にやって来た。
普段は人間に変身していて、タロウとトータス親子の戦いに巻き込まれて両親を失った少女ひとみとその愛犬ペロを助ける。その後、独りぼっちで寂しかったひとみを慰め続け、自分の星に帰る時は不思議なビー玉を与えた。
地球の資料を狙ったテロリスト星人に殺されてしまうが、テロリスト星人が地球に襲来した時、ひとみに与えたビー玉が爆発してテロリスト星人を凍結させ、タロウに勝利をもたらす事となった。
その後、東京には雪が降り注いだ。
名前の由来は「ミラクル(奇跡)」かな。

 

緑色宇宙人テロリスト星人
身長 52m
体重 3万1千t
好物のガスが豊富にある地球を以前から狙っていて、ミラクル星人を殺して地球の資料を入手する。
剣や腕に仕込んだ銃でタロウを苦しめるが、ミラクル星人がひとみに与えたビー玉の爆発を受けて凍結させられると、タロウに空中に放り投げられてシューティングビームで倒された。
デザインやミラクル星人を殺した砂漠の場面を見ると、アラブ系テロリストをイメージしているように思える。

 

物語
街はクリスマスに湧いていたが、ひとみと言う少女は寂しさを隠せなかった。
何故ならひとみにはクリスマスをプレゼントしてくれる存在がいなかった。そして、その原因は……。

 

感想
昭和のウルトラシリーズでは珍しいある話の後日談。それもただの後日談ではない。
ヒーロー作品も戦いがあるのでバトル作品に含めて良いと思うが、バトル作品では戦いの迫力を出す為に周りの建築物を破壊する事がある。よく考えたら、建築物が破壊されたらその巻き添えを受けて怪我をしたり命を落としたりする人は出てくるし、直接は被害が無くても住んでいる家や働いている職場が破壊された事で生活が一変してしまった人も出てくるだろう。しかし、多くのバトル作品ではその事にはあまり触れない。ウルトラシリーズも同じで物語に絡む人以外の被害描写はあまり描かれていない。今回はその今まで避けていた部分をあえて取り上げた話となっている。(今回のゲストであるひとみは今回は物語に絡んでいるがトータス編では物語に絡んでいない)

 

タロウと怪獣の戦いでは毎回のように街が破壊されているので、当然、そこにいた人は多大な被害を受けている。今回はその部分を取り上げた話。『ガメラ3 邪神覚醒』の25年も前にこの部分を取り上げてた事に驚かされる。
今回の話はひとみの両親が命を落とした戦いが「大海亀怪獣東京を襲う!」「親星子星一番星」のトータス編と言うのがまた辛い。トータス編では人間の犠牲となったトータス親子に感情移入してしまうので、タロウに早くトータス親子を倒せとは言えない。しかし、タロウがトータス親子を倒すのを躊躇った為に被害が大きくなり、ひとみは孤児になってしまった。

 

今回は『マッチ売りの少女』を話のベースにしている。(ミラクル星人のビー玉もマッチの炎の代わり)
前半にあったレギュラー陣が見る夢が面白い。
健一君の夢が「タロウになる!」ではなくて「タロウと戦う」なのが面白い。健一君を始めとして地球人達は「人間がウルトラマンに変身する」と言う事を知らないので「自分がウルトラマンに変身する」と言う発想が出てこないのだろう。それとは別に「ウルトラマンと戦ってみたい」と言う気持ちも何となく分かる。因みにこの夢の場面で人間大のタロウを見る事が出来る。
さおりさんがやけに気合いを入れて夢を見ようとするのが笑える。当然、夢は光太郎との結婚なのだが、光太郎の横には同じく光太郎との結婚を夢見ていた森山隊員が……。身に覚えの無い夢の話で怒られる光太郎が可哀相だが、こう言うラブコメ的な話はもっと見たかったなと思う。

 

「私はマッチ売りの少女」と言ったら「少女と言うにはちょっと年を取り過ぎていませんかねぇ」と荒垣副隊長に言われてしまう森山隊員。因みに森山隊員の年齢は18歳。おいおい。21歳のフジ隊員や20歳の丘隊員や美川隊員の立場はどうなる?
光太郎に向かって「あなただけだわ、私の気持ち分かってくれるの」と言った森山隊員。そんな彼女が今まで見た事も無いような幸せな顔をして見た夢は光太郎との結婚であった。やはり光太郎に気がある?

 

ひとみはミラクル星人は自分のに帰っていったと言っているが、ミラクル星人自身は自分のに帰ると言っている。細かい部分なのだが、ミラクル星人とテロリスト星人は同じ星の違う国の住人だったのかもしれない。
ラクル星は地球によく似た環境の星と言われているので、地球と同じように複数の国がある星だった可能性がある。「ミラクル星」と「テロリスト星」と言う星の呼び名だが、それぞれの国が勝手に自分達の星の名前を決めてしまっていたのかもしれない。前回の「怪獣よ故郷へ帰れ!」で北島隊員も呟いていたが「この地球でも色々と争いが絶えないけれど宇宙でも同じなんだなぁ」。

 

両親が死にミラクル星人も殺されて自暴自棄になったひとみに対して、光太郎は死んでもどうにもならないとしてテロリスト星人は自分が倒すと宣言する。
ひとみは「タロウよりずっと良い宇宙人だっているのよ」と言っているが、それは自分の心を救ってくれたミラクル星人の事。
ただ敵を倒すだけでは駄目で、その戦いの犠牲になった人の心も救わなければいけない。今回のタロウはテロリスト星人を倒しても帰らず、東京タワーをクリスマスツリーに変えてから帰った。それが今のタロウに出来る精一杯の贖罪であったのだろう。それはひとみにだけではなく、劇中には登場しなかったが過去のタロウと怪獣の戦いで被害を受けた人全員に向けたものであった。

 

ひとみは両親の死後はおばさんの家に引き取られていたが、独りぼっちで寂しかった事やクリスマスプレゼントも貰えなかった事から、あまり快く思われていなかったと考えられる。
事件解決後は信州の祖父母の家に引き取られる事になったらしいが今度は幸せになってほしい。

 

自分は『T』で感動した場面を挙げろと言われたら今回の東京タワーをクリスマスツリーに変えた場面を挙げたい。
あのクリスマスツリーは誰の物でもない、皆の物だ。幸せな人にもそうでない人にも、家族に恵まれている人にもそうでない人にも、自分の事が好きな人にも嫌いな人にも、何の分け隔ても無く、あのクリスマスツリーは輝いている。

 

 

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