帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怪獣大将」

日本の童謡から 怪獣大将 ー冬眠怪獣ゲラン登場ー
ウルトラマンT』制作第47話
1974年2月22日放送(第47話)
脚本 阿井文瓶
監督 山際永三
特撮監督 大木淳

 

冬眠怪獣ゲラン
体長 120m
体重 4万7千t
地中で冬眠している間に巨大化した爬虫類。
竜一が卵から孵った幼虫を殺した事に怒り、学校のグラウンドに頭部と尻尾を出して学校の先生と生徒を校舎内に閉じ込めた。冬眠から覚め切れていないので時々睡眠を取る。
口から火を吐く。背中から無数の光の矢を放つ。
竜一の攻撃で地中から全身を現した後、タロウによって卵ごと凍結されて宇宙で永遠の冬眠を与えられた。
『T』では珍しい四足型の怪獣で、その他にも一つ目や地中から頭部と尻尾のみを出した姿等、地味ながらオリジナリティのある怪獣。

 

宇宙怪獣ゴルゴザウルス二世
身長 50m
体重 4万t
遥か宇宙の彼方から地球攻撃を伺っていたが、タロウに先制攻撃を仕掛けられて小惑星で戦う。
姿を消したり、テレポーテーションを使ったりしてタロウを追い詰めるが、ビーム手裏剣で倒された。
この戦いでタロウはウルトラの国に帰って休みたいと思うほどのダメージを受けてしまう。
ミラーマン』のゴルゴザウルスの着ぐるみを使用している。

 

物語
お山の大将 おれひとり あとから来るもの つきおとせ
どんな怪獣や宇宙人にも決して負けないタロウ。
スポーツ万能で勉強も一番で人前では決して泣かない竜一。
二人はある事件を通して知り合う事に。

 

感想
今回は『お山の大将』がモデル。「お山の大将」と言う言葉自体はそれほど良い意味が無いのだが、今回はそれを「孤高な存在」と解釈して、ヒーローであるウルトラマンと重ね合わせられた。

 

話の冒頭でタロウが誰も見ていない誰も知らない宇宙で一人孤独に戦っていた事が描かれている。
ウルトラマンは劇中で描かれていないところでも人知れず地球の為に戦っていた。この他にも特別チームの隊員として地球の為に働かなくてはいけないとは大変。

 

スポーツ万能で勉強も一番で剣道で顧問の先生にも勝ってしまう竜一。その後も竹刀でゲランの幼虫を倒したり真剣でゲランの成虫を苦しめたりと、超人じみた『T』世界の人間でも上位に入る活躍を見せる。

 

しかし、今回はそんな竜一のミスで事態が悪化してしまう。
顧問の先生は竜一の事を慢心していると言い、岡江さんは他人の事を考えない人と評した。
実際、竜一にはそういう部分もあったが、その一方で周りの人も竜一の事を考えていなかったと思われる。
健一君は竜一は絶対に泣かないと言っていた。おそらく健一君以外の人も竜一は絶対に誰にも負けないし負けるはずが無いと思っていたのだろう。だから竜一自身も自分は絶対に誰にも負けてはいけないし誰にも頼ってはいけないと考えるようになってしまった。(サッカーをしている時に竜一は誰にもパスを出さず一人でゴールを決めている)

 

そういう周りの人の評価が竜一にとって重みになっている事は確か。だから竜一は誰もいない砂利山で一人泣く事になる。
光太郎は竜一に「たまには人の前で大声で泣いてみるのも、さっぱりするものだぜ」と言っている。おそらく光太郎は竜一が背負っている重みを取り除こうとしたのだろう。しかし、竜一は泣かずに笑って砂利山を去って行く。竜一は決して人前では泣かない。そんな重みでさえも背負い続けていこうとする。荒垣副隊長曰く「頑固な子だ。いや、漢(おとこ)だな」。

 

ところで光太郎はどうなのだろうか?
光太郎もたまには人前で泣きたいのでは? 自分はタロウとして地球の為に戦っている事を言いたいのでは?
しかし、光太郎も泣かない。光太郎も漢(おとこ)なのだ。

 

今回の健一君は竜一に詰め寄ったり、岡江さんとの仲を冷やかしたりとちょっと嫌な役回り。
岡江さんはおぶってもらいながら竜一を急かしたりとちょっとワガママ。竜一との仲を冷やかされてまんざらでもない感じだったが、本心はどうなのかな?

 

ゴルゴザウルス二世は『ミラーマン』に登場したゴルゴザウルスの同種となっている。ウルトラシリーズと『ミラーマン』の世界が繋がっているのかは明言されていないが、今回の話に限らず、円谷プロ作品ではシリーズの壁を超えて怪獣が登場する事が何度かある。

 

それにしてもベルミダー二世はどうしたのだろうか?

 

タロウとゲランの戦いは止め絵が印象的で、『初代マン』の「怪獣墓場」のシーボーズ戦を思い出す。

 

細かい部分だが、今回と次回の話は予告では「日本の童謡から」ではなくて「日本の童謡シリーズ」と呼ばれている。

 

 

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