帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「歌え! 怪獣ビッグマッチ」

「歌え! 怪獣ビッグマッチ ー歌好き怪獣オルフィ登場ー
ウルトラマンT』制作第49話
1974年3月8日放送(第49話)
脚本 石堂淑朗
監督 前田勲
特撮監督 矢島信男

 

宇宙怪人カーン星人
身長 2m
体重 75kg
オルフィを暴れさせてZATを全滅させようと「怪獣オルフィを捕える会」の坂本団長に変身する。
最初は麻酔弾に偽装した興奮剤を撃ち込もうとしたがZATの妨害で失敗し、続いて音楽のテンポをズラしてオルフィをイライラさせた。ZATに正体を暴かれるとオルフィのおへその中に入り込んで暴れさせたが、キングブレスレットのマジックハンドでオルフィのおへその中から摘まみ出され、そのまま岩場に叩き付けられて爆発した。
手から様々な光線を撃つ。
赤い靴はいてた…」のドルズ星人の着ぐるみを改造している。

 

歌好き怪獣オルフィ
身長 56m
体重 3万3千t
ボッチ谷に数百年間棲んでいる村のアイドル的存在でオルフィマニアなる者までいるらしい。
普段は地中で眠っているが、年に一、二度現れては歌を歌う。村の住民はオルフィの歌声の高低でその年の米の出来を占っていた。(低いと出来が良いらしい)
音楽に目が無い。歌う前にキチンと発声練習をして、木をタクトに指揮も行う。何故かおへその中に楽譜がある。ジャンルは広く、クラシックから流行歌まで網羅している。
ややおっちょこちょいだが優しい性格でカーン星人に挑発されても村を襲わないよう努力した。タロウがカーン星人を倒すと、村の住民から「オルフィを助けて!」と懇願され、タロウはオルフィを倒す事はしなかった。

 

物語
ボッチ谷に棲む怪獣オルフィは大人しくて村のアイドル的存在。
ZATも大人しい怪獣の権利は守らなければならないと考えていたが、そこに「怪獣オルフィを捕える会」と言う組織が作られて……。

 

感想
「大人しい怪獣は人間と平和共存する権利があるはずだ」と遂に人間が怪獣の権利を認める台詞が出る画期的な話。他にも「はた迷惑な事をしない限り、怪獣はちゃんと生かしておいてやらないといけないんだ」と言う台詞もある。
人間に危害を及ぼす怪獣はやむを得ず倒すが、その恐れの無い怪獣は倒さないようにする。確かに自分達とは姿形が違うと言う理由だけで、その生物の命を奪う必要は無い。人間と怪獣は姿形が全く違うが、人間同士だって姿形が全く同じ存在はいない。この世に全く同じ存在はいない。全てが違う存在なのだ。

 

人間と怪獣が共存している地、ボッチ谷が登場。
村の住民がタロウに向かって「オルフィを助けて!」と懇願する場面は過去の作品ではあまり見られないものであった。村の住民は怪獣オルフィも自分達の村に住むものと考えているのだろう。それは数百年の付き合いがあったからと言える。怪獣と言う自分達とは姿形が全く違う存在と共存していく事は頭で理解できても実際に実現させるのは難しい。しかし、実現するのにたとえ数百年かかるとしても、今、始めなければその数百年後はいつまで経ってもやって来ない。第2、第3のボッチ谷は永遠に生まれない。

 

坂本団長はオルフィを日本中の人々が好きな時にいつでも見られるようにしたいと語っていた。つまり、見世物にすると言う事。
たとえ命を奪わなくても、檻に閉じ込めて好奇の目にさらされる事がオルフィによって良い事なのか?
こう考えると動物園とかにも疑問を抱いてしまう。当時は上野動物園にカンカンとランランが贈られてパンダブームが起きているが、それも意識した話だったのかな。

 

オルフィは広島県で目撃された「ヒバゴン」をイメージしているらしい。そう考えると、ツチノコ騒動なんかも思い出す話。正体不明の生物を「怪獣」と言うのなら、ヒバゴンツチノコネッシー等も怪獣と言って良いのかもしれない。
因みに坂本団長は有名議員や大学教授の賛同を取り付け、オルフィを捕らえる事は国の公認に近いと言っているが、これはネッシーを生け捕りにしようとした当時の国会議員である石原慎太郎さんを皮肉ったものらしい。

 

草野大悟さんが演じた坂本団長は胡散臭さ大爆発で見事なキャラクター!
カーン星人は卑劣ではあるが、光太郎と北島隊員の嘘にあっさりと引っかかったりして意外と素直なところがあって憎めなかった。

 

その坂本団長に抗議を申し入れる時に荒垣副隊長の正装が見られる。
ZATの抗議を受け付けない組織でも万が一の場合に備えて保護しなければならないと言うのが大変。

 

荒垣副隊長役の東野孝彦さんが骨折で入院してアフレコが出来なかったので、今回と次回は沢りつおさんが荒垣副隊長の声を担当している。

 

北島隊員は麻酔弾を盗む時の飄々としたところや興奮剤でおかしくなるところ等、今回はかなり笑わせてくれた。

 

「オルフィを捕える会」は音楽でオルフィを誘き寄せるが、その楽器と服はどこから出した?

 

今回はオルフィやZATが歌う『わたしの青い鳥』を聴く事が出来る。
ZATの歌唱力はオルフィに言わせるとカーン!と鐘一つらしい。まさか、カーン星人の名前の由来ってここから?
因みに『わたしの青い鳥』は桜田淳子さんの歌で『T』の主題歌を手掛けている阿久悠さんが作詞を担当している。

 

今回の話は助監督だった前田勲さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。

 

 

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