帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宇宙にかける友情の橋」

「宇宙にかける友情の橋 ー宇宙星獣ギロ登場ー
ウルトラマンレオ』制作第9話
1974年6月7日放送(第9話)
脚本 土門鉄郎
監督 深沢清澄
特撮監督 高野宏一

 

宇宙星獣ギロ星獣
身長 210cm~59m
体重 90kg~2万5千t
遊園地の怪獣軍団ショーに紛れ込んでいた本物の怪獣。お菓子やアイスクリームが好きらしい。トオルと仲良くなるが、MACに危険な怪獣として追われる。
頭の触覚から泡(ダン隊長は液体と説明)を吐いて相手を固める。瞬間移動も可能。普段は人間大だが攻撃を受けると巨大化する。
レオに触角を折られて絶命するが、トオルの願いを聞き入れたレオによって生き返り宇宙に帰った。

 

物語
遊園地の怪獣軍団ショーでトオルは本物の怪獣ギロと出会う。
ダン隊長はギロは今のうちに倒さねばならない怪獣だと言うが、トオルはギロは大人しい怪獣だと言う。
果たして真実は……?

 

感想
円谷プロと当時提携していた遊園地の二子玉川園を舞台にした話。ここでは1973年に有名な「怪獣供養」が行われている。

 

劇中の怪獣軍団ショーにはゼットン、チンペ、ヘルツ、ベロン、タイラントと言ったウルトラ怪獣の他にドリゴンと言う『ファイヤーマン』に登場した怪獣もいたらしい。

 

ギロは善い怪獣なのか悪い怪獣なのか?
判断の鍵は怪獣軍団ショーでトオルとギロが語り合う場面にあると思う。
この時にギロの目が少し光っているので、この時にギロがトオルにテレパシーで話しかけたとすれば善い怪獣、逆にギロがトオルに催眠術をかけたとすれば悪い怪獣と考えられる。

 

ギロがテレパシーでトオルに本当の事を話していたと考えられる根拠は「隊長はどんな怪獣だって全部敵だと思ってるじゃないか! ギロは地球では何も悪い事はしなかった。攻撃したのはいつもMACの方が先だったじゃないか!」と言うトオルの台詞。
言われてみれば確かにギロの方から街を破壊しようとした場面は無かった。逆にMACにはギロと話し合おうとする姿勢が全く無く、おまけに騙し討ちまでしようとしていた。

 

ギロが催眠術でトオルを騙していたと考えられる根拠はダン隊長の態度である。ダン隊長はギロの事を以前から知っていたようだった。と言う事はギロが過去にも友情を結んだ振りをして密かに悪事を働いていた事を知っていたのかもしれない。
又、トオルが夢の国でギロと楽しく遊んでいる場面もギロが催眠術でトオルに精神攻撃をかけていると見る事も出来る。

 

上に挙げた2つの解釈の他に今回の話は全てトオルの見た夢だったと言う解釈もあり得る。
今回の話は遊園地や夢の国の場面で『レオ』のこれまでの話とは違ったファンタジーな演出が行われていた他、最後にはレオが死んだギロを生き返らせると言うこれまでのレオの能力を超えた展開が起こっている。
これら不思議な出来事も全てトオルの見た夢と解釈すれば納得出来る。

 

トオルがギロにさらわれたと思ったゲンは急いで変身するが結局はギロに逃げられてしまう。それに対してダン隊長は「はっきりとした作戦も無いままに変身する事は厳重に禁止しているはずだ。トオルの命がかかっていたと言うが、変身してその人質を救う事が出来たのか? お前が変身すれば怪獣の方も絶対に倒されまいと思い始める。もし怪獣の手でトオルが宇宙に連れ出されたらどうなるのか? お前、そこまで考えていたのか」と叱る。
主人公が後先考えずにその場の感情で行動して結果オーライと言う話は結構多いが本当はここまで考えないといけないはず。

 

黒田隊員の後任としてMACの2代目副隊長格として平山隊員が登場するが、残念ながら今回はいたかどうかもよく分からなかった。

 

ギロは星人と怪獣の中間のような存在だったが、それで星人と怪獣を合わせた「星獣」と呼ばれたのかな?

 

レオとギロの戦いはギロの吐いた泡に覆われた画面やBGMやスローモーション等によってファンタジー度の高い印象深いものとなった。

 

ところでレオは本当にギロを生き返らせたのだろうか?
ギロが生き返ると同時に流れる不思議なBGM。トオルと生き返ったギロを会わせないようにしたダン隊長。「宇宙に帰った」と言う言葉からレオはギロを生き返らせたのではなくて昇天させたと考える事も出来る。
どちらにせよ、今回は様々な解釈が出来る話であった。

 

脚本の土門鉄郎さんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。

 

 

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