「真夜中に消えた女 ー黒い花の星人アトラー登場ー」
『ウルトラマンレオ』制作第16話
1974年7月26日放送(第16話)
脚本 若槻文三
監督 外山徹
特撮監督 大木淳
黒い花の星人アトラー星人
身長 160cm~51m
体重 60kg~2万9千t
「恐怖の星」や「死の星」と言われて恐れられているアトラー星からやって来た。生物を全て蝋細工に変化させ、いくつもの星を全滅に追いやった。
以前に地球に近付いた時は当時の地球防衛隊に追い返されたが、追撃して来た防衛隊員を全員蝋人形に変化させて殺害している。
胸に黒い蘭を付けた女性として再び地球に襲来し、人間を次々に蝋人形に変化させて殺していく。
MACの出撃を受けて巨大化し、胸の黒い蘭からの光線でレオの両足を蝋細工に変化させて一度は勝利した。その後、弱点でもある胸の黒い蘭にゲンが操縦するマッキーの突撃を受け、そのまま変身したレオのエネルギー光球で止めを刺された。
物語
温室に幽霊が出ると言う話を聞いてトオル達は探検に行く。温室に出る幽霊の正体はアトラー星人の変身だった。
感想
放送開始から4ヶ月が経ち、視聴率が伸び悩む『レオ』は特訓に拘らない事になり、代わりに当時ブームだったオカルトを取り入れる事となった。
今回の話は前半はホラー調になっていて、黒い蘭の女性のメイクはやや興醒めだが、マンションに響く叫び声はかなり怖かった。
後半は強敵アトラー星人との対決になってホラー色はすっかり消し飛んでしまっている。
夜な夜な温室で女性がすすり泣く声が聞こえる。
幽霊ではないかと噂されるが、実際は空気の無いアトラー星からやって来たアトラー星人の呼吸音と言う設定。
トオル達と一緒に温室に来た近所のお兄さんは「幽霊ではなく女性が悲しくて泣いているんだよ」と言っていたが幽霊や星人よりそっちの方が怖いぞ。
アトラー星人はダン隊長が今のレオの技では倒せないと言うほどの強敵。ダン隊長はアトラー星人に滅ぼされた星を見たと言うが、これは観測員時代の事だろうか?
アトラー星人が以前に地球に襲来した時はMACではなく地球防衛隊が追い返しているが、これはMACの前身の組織なのか、それとも『セブン』の地球防衛軍の事だろうか?
ダン隊長がウルトラ念力で光線を封じている間にレオがアトラー星人を倒そうとするが失敗してしまう。
その後に対アトラー星人用の特訓を行わないのは今までの流れから考えると違和感を覚える。特訓を外そうとしていた事は分かるが、今までの流れだと絶対にアトラー星人の光線を避ける特訓をしただろう。
特訓をしないのなら、しない理由付けをキチンとしてほしかった。
レオがアトラー星人に負けた後の廃墟の街は「涙よさよなら…」でツルク星人に負けた時と同じく地球の危機を表していて良い。
アトラー星人によって街が一つ滅ぼされてしまったらしいが、ここまでの被害はウルトラシリーズでもなかなか無い。
又、ダン隊長が乗ったマッキーが撃墜されているが、ダン隊長が撃墜されたのは初ではなかろうか?
どちらにせよ、強いぞ! アトラー星人!
アトラー星人との再戦でのマッキー2号の分離、ゲンのきりもみ突入、そして変身は『戦え!ウルトラマンレオ』のBGMと共に盛り上がる!
しかし、その後の決着がちょっとあっけない。まぁ、きりもみ突入時のダメージが大きかったのだろう。
今回の話で青島、赤石、桃井隊員が退場となる。
桃井隊員は久し振りに声を聞いた。
「必殺拳! 嵐を呼ぶ少年」でトオルと知り合いになった青島隊員はトオルから黒い蘭の女性の録音テープを借りてきている。
黒田隊員に続いて青島、赤石、桃井隊員の3人も何の説明も無く退場してしまった。アトラー星人との戦いで殉職してしまったと言う説もあるが劇中ではそのような説明は無い。
しかし、アトラー星人との戦いの後、ゲンが自分にはアトラー星人は倒せないと落ち込み、ダン隊長が俺達がやらねば誰がやるんだ!と叫ぶ程に切迫した雰囲気になっていた。
言っては悪いが、レオが負けるなんていつもの事だから、一回負けたくらいでゲンもダン隊長もここまで切迫する事は無いと思う。しかし、青島、赤石、桃井と言った第1話からいた隊員達を失ってしまったと考えれば納得がいく。
もしそうなら、それを劇中に取り入れたら、より盛り上がっていたと思う。
しかし、あの青島隊員がこんなにあっさりと死んで退場してしまうとは思えないのだが……。
ダン隊長の無事を知って嬉しそうな白川隊員。
まぁ、白川隊員でなくても嬉しいか。本当に青島、赤石、桃井隊員が殉職していたらと考えれば余計に。