「飛べ! レオ兄弟 宇宙基地を救え! ーアストラ アトランタ星人登場ー」
『ウルトラマンレオ』制作第36話
1974年12月13日放送(第36話)
脚本 田口成光
監督 岡村精
特撮監督 吉村義之
アストラ
身長 50m
体重 4万9千t
MACウランを積んだまま炎上するダン隊長のマッキーを消化液で鎮火してアトランタ星人の手から救出する。その後、レオと一緒にアトランタ星人を圧倒し、ウルトラダブルフラッシャーで止めを刺した。
変身怪人アトランタ星人
身長 168cm~57m
体重 90kg~2万9千t
卑劣な凶悪宇宙人として名高い存在。
3年前にアトランタ星に探検に向かった内田隊員の姿で地球にやって来た。内田隊員が高倉長官の娘あや子の婚約者だった事もあって、高倉長官の推薦でMACに入隊する。
ゲンに正体を見破られるが、逆にゲンとダン隊長の正体をバラすと脅迫する。
MACウランを使ってMAC本部を爆破しようとするが失敗し、レオとアストラのウルトラダブルフラッシャーで倒された。
本物の内田隊員は既に死亡していると思われる。
物語
3年前にアトランタ星に探検に向かったまま行方不明になっていた内田隊員が帰って来た。しかし、正体がアトランタ星人だった内田隊員は高倉長官に取り入ってMAC本部爆破を進める。
感想
宇宙にきらめくエメラルドー♪って地球の事だったのか。
侵略者に対抗する為に監視の目を広げる事になったMAC。今回のMACウラン輸送は何とか成功させる事が出来た。後に登場する宇宙監視所は今回の監視区域拡大によって設立されたものなのかな。
せっかく監視区域を拡大したのに「決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟」「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」でのウルトラの星接近でボロボロになって、一番肝心なシルバーブルーメ襲来に対応できなかったのは残念。
今回は卑劣なアトランタ星人のキャラクターが面白い。
笑顔でゲンを挑発したりと他の『レオ』登場宇宙人とは違った存在だった。正義の印であるマフラーまでしている。
「レオ、あまり腹を立てない方がいい。君と喧嘩をしに来たわけじゃない。僕は君と同じように宇宙の平和を守りに来たのさ。仲良く頼むよ」。
高倉長官再登場。現場では厳しい部分が強調されていたが娘あや子の前では父親の部分を見せて人間味が増した。あや子が危篤状態に陥り、MACの長官としてMACウラン輸送を優先するべきか、父親としてあや子の所へ駆けつけるべきかと迷う時の表情が良い。
最後のあや子と一緒に川辺で心の傷を静かに癒している場面はMAC長官の制服ではなくて私服を着ていて、特別チームの長官ではなくて一人の父親として描かれていた。
今回の佐藤隊員は現場で色々と指揮を執っていた。そう言えば副隊長格だった。
ダン隊長は内田隊員=アトランタ星人を今のうちに倒してしまうんだと言うが、ゲンは内田隊員が凶悪な宇宙人だと知った時のあや子の事を考えて踏み切れない。
ゲンらしいがアトランタ星人を野放しにしておくわけにはいかない。レオは戦士としてはまだまだ甘いのかもしれない。
「百子さん。もし、仮にさ、僕が宇宙人だったら、君どうする?」、
「おおとりさんが? 私、平気よ」、
「でも、それが人間を滅ぼすような凶悪な宇宙人だとしたら?」、
「私の事を愛してくれているのなら、たとえ悪い宇宙人でも平気だわ」。
あくまでも仮定の話であるが、ゲンが宇宙人でも構わないと言う百子さん。『セブン』のアンヌ隊員に限り無く近付いた台詞で、宇宙人であるゲンのドラマにおいてかなり重要な位置を占めると言える。
しかし百子さん。宇宙人でも構わないと言うのは良いのだが悪人でも構わないと言うのは問題なのでは? まぁ、愛とは善悪を無視してしまう程の力があるからな……。
ところで、この会話で百子さんはゲンが宇宙人だと言う事に薄々感づいたのでは?
この後、百子さんはゲンにスキーに連れて行ってと頼んでいるが、それが果たされる事は無かった。なんだか『帰マン』のアキちゃんを思い出してしまう。
内田隊員を倒す事に踏み切れないゲンに対し、ダン隊長はウルトラ念力であや子を危篤状態にして高倉長官と内田隊員をMACウラン輸送から外す事に成功する。ダン隊長がここまでするとは思わなかったのか、さすがのアトランタ星人も今までの余裕が嘘のように焦り出した。
MAC本部は宇宙都市並みの設備があると言う設定だが劇中に登場したのは殆ど作戦室のみ。『ガイア』のエリアル・ベースのように色々な設備や設定を見せてほしかった。
アストラ登場!
相変わらず絶妙なタイミングで登場する。
今回は作戦室を真上から映したり、ゲンやダン隊長とアトランタ星人の探り合いの場面で引きや寄せや目のアップを多用したりと映像に色々な工夫が見られた。特撮部分でもマッキー2号の分離合体機能を巧みに使ったりと色々と見応えのある話だった。