「恐怖の円盤生物シリーズ! 挑戦! 吸血円盤の恐怖 ー円盤生物デモス ブラックガロン登場ー」
『ウルトラマンレオ』制作第43話
1975年1月31日放送(第43話)
脚本 若槻文三
監督 前田勲
特撮監督 吉村義之
円盤生物デモス
全長 40cm~110m
体重 2kg~1万6千t
レオを倒す使命を帯びてブラックスターからやって来た暗殺者。溶解泡であらゆる物を溶かす。
円盤形態で地球に侵入し、小型化して連続8件もの吸血殺人事件を起こす。その後、3体の分身体デモスQを街中に配置し、本体は警察署内で情報を集める。レオの正体がゲンである事を突き止め、操った人間を通してゲンに降伏勧告をする。
警察に本体を発見されて科学捜査研究所で焼却処理されそうになるが、デモスQと合体して再び巨大化する。最後はウルトラショットを受けて無数の火の玉になり、やがて消滅した。
「決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟」で語られた、かつてウルトラの父がウルトラキーで破壊したデモス一等星とは無関係のようだ。
物語
美山家の周辺で奇怪な吸血事件が続発。ゲンはこれを円盤生物から自分への挑戦と感じる。そしてゲンの前に謎の男が現れ、降伏するよう勧告する。
感想
レオの正体がゲンである事をデモスは知っていたのにブラック指令はその事を最終回直前まで知らなかったところを見ると、円盤生物はブラック指令に地球に呼び寄せられた後は独自に動いているようだ。
ブラック指令が円盤生物のボスだと言う解釈は実は違うのかもしれない。
咲子さんの病院で絶対に助からないと思われていた子供が助かって無事に退院した。
前回の「レオが危ない! 暗殺者は円盤生物」で「子供はいくつもの障害を乗り越えて……」と語ったのは看護婦としての実体験からであろう。
謎の吸血事件の中心地に美山家が。
冷静に考えたら、ゲンあたりは警察に疑われそうだが、それは無かった。
逆に警察はゲンに捜査状況を教えたり、ゲンの指示に従ってデモス焼却を中止しようとしたりしていたので、ゲンが元MAC隊員である事は警察にも認識されているようだ。(美山家に来た警察はゲンに意見を伺いに来たと言う感じだったし)
事件を知って「挑戦だ! 俺に対する挑戦なんだ!」と考えるゲン。
意外かもしれないが、今までの円盤生物はさほどレオを相手にしていなかった。
シルバーブルーメの目的はMACだったが、その後、自らレオに挑んでいった形跡は無い。ブラックドームやアブソーバも同様で、あくまで自分の邪魔をするものとしてレオと戦っていた。
しかし、MACは全滅し、ダン隊長は消息不明、防衛軍は恐れるに足らずと言う事が明らかになり、これ以降の円盤生物は地球侵略と同時に邪魔なレオを倒す事も視野に入れて動き始める。
MACが全滅し、怪事件は警察と科学捜査研究所がそれぞれ行う事になったようだ。防衛軍に調査組織は無いのだろうか?
ゲンが防衛軍に入らなかった理由だが、ダン隊長がいない以上、防衛軍に入隊しても行動に制限を付けられるだけで、それよりは元MAC隊員と言う肩書きを持った民間人の方が活動しやすいと考えたのだろう。
デモスに操られた人間がゲンに降伏勧告を行う。
「降伏しろレオ! 降伏しなければ、デモスはお前の周囲の人達を殺し続ける。レオ、今夜はもっとたくさんの人が死ぬぞ。お前が戦う意思を捨てて、ブラックスターの処刑台に立たない限り。デモスはお前がいる街の全員を殺す為にブラックスターから送り込まれて来たんだ。我々はお前の強さを知っている。お前が戦う意思を捨てれば街の人達の命は助かる。考えておくんだな」。
円盤生物は自身は喋らないで光等を交信手段として使っているのでゲンに降伏勧告を行うには人間の口が必要だったのだと思われる。
レオが降伏すれば街の人達の命は助けると言うデモスだが、この約束が果たされない事は明らか。それでもゲンの心は傷付き、トオルの前から姿を消してしまう。
この展開は最終回の「さようならレオ! 太陽への出発」と似ているが決定的に違う点がある。
最終回ではゲンはトオルと面と向かって話をし、自分がレオである事、トオルに伝えたい事をはっきりと述べた。しかし、今回は直接顔を合わせず、置き手紙で済ませてしまっている。それに事情を殆ど語らず。これでは「トオル、よく勉強するんだぞ。体も鍛えてたくましくなるんだ」と言うゲンの願いもトオルに伝わるはずがない。
今回の話は前田監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。
最終的にデモスは倒され、ゲンもトオルの所に戻ってきた。
「恐ろしい事件が終わって平和が来たのか? 違う。ウルトラマンレオ、お前は狙われている。恐怖の遊星ブラックスターに……」。