『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』
1979年3月17日公開
1970年代後半に起こったリバイバルブームを受けて公開された。
「真珠貝防衛指令」を除いた実相寺監督作品を再編集している。スペシウム光線を使わない実相寺監督作品だけで映画を公開出来たと言う事は、大人のファン、いわゆる「マニア」が世に出始めたと見る事が出来る。
主題歌は新規撮影されている。早いカット割りや闇に目とカラータイマーのみが光っているウルトラマンが格好良い。
冒頭に赤いメカニックな星が登場しているが、ウルトラの星だろうか?
最初の話は「恐怖の宇宙線」。
大幅にカットされていて、子供達の夢の結晶であるガヴァドンと、それを倒そうとする大人達の対立と言う構図がTV版より鮮明になっている。
お次は「地上破壊工作」。
いくつかの場面がカットされてTV版よりスピーディーな展開になっている。この前の「恐怖の宇宙線」がのんびりムードなので余計にそう感じる。
今回の映画で唯一普通に戦っている対テレスドン戦は戦闘中のBGMで主題歌が流れて盛り上がる。
次は有名な「故郷は地球」。
イデ隊員とフジ隊員の話をカットして、TV版よりさらに物語の主眼をジャミラに向けている。
次は「空の贈り物」なのだが、シリアスな「故郷は地球」の直後にこの話はやはりギャップを感じる。
作戦名のクレジットが新規撮影されている他、冒頭にあった科特隊の日常シーンがカットされている。
他の話にも言える事だが、今回の映画では科特隊とウルトラマンの場面のカットが多く、その分、怪獣に感情移入するように編集されている。
そして最後に「怪獣墓場」。
この話も科特隊やウルトラマンの場面がカットされているが、「許してくれ。地球(人間)の平和の為、やむなくお前達と戦ったのだ」と言うハヤタ隊員の台詞はカットしないでほしかった。
怪獣供養の場面では「怪獣無法地帯」の対レッドキング戦、「科特隊宇宙へ」の対バルタン星人(2代目)戦、「怪獣殿下 後篇」の対ゴモラ戦が挿入されている。今回の映画はあまり戦闘が無かったので、配慮として有名怪獣や宇宙人とウルトラマンの戦闘シーンを入れたと思われる。
対シーボーズ戦に一瞬だけ流れる『ディスコウルトラマン』にビックリした。1978年に公開された『サタデー・ナイト・フィーバー』の影響かな?
今回はナレーションを新たに録音して、各話の繋ぎに新規撮影の映像を入れて、映画として上手くまとめられている。
一部地域では『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』が同時上映された。
「宇宙よ、永遠であれ。永遠の平和であれ。ウルトラマンよ、君もまた永遠であれ。永遠の命であれ」。