帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「見えたぞ! まぼろしの怪獣が…」

「見えたぞ! まぼろしの怪獣が… ーテレポート怪獣ザローム登場ー
『ザ☆ウルトラマン』制作第2話
1979年6月6日放送(第10話)
脚本 藤川桂介
絵コンテ 鳥海永行
演出 古川順康

 

テレポート怪獣ローム
身長 113m
体重 7万8千t
10年程前にザローン砂漠で発見されて「ザローム」と名付けられた怪獣。
ジョージ佐竹を取り込んだ事でテレポート能力を得て、さらに別の場所に自分の幻を作り出して相手を混乱させる事も出来る。
取り込んだジョージ佐竹の意思か、ジョージ佐竹の家族の所へ向かおうとする。
ジョーニアスのウルトラバリヤーケースによってジョージ佐竹と分離させられ、最後はどこかに連れて行かれた。 

 

物語
世界的なマジシャンであるジョージ佐竹がザローン砂漠から日本へ一瞬で移動すると宣言するが、現れたのはジョージ佐竹ではなくて怪獣ザロームだった。
科学警備隊はジョージ佐竹が怪獣を使って何か企んでいるのではと疑うが……。

 

感想
体が透き通ったり、色々な所に姿を現したりとアニメの特性を生かした怪獣ザロームが登場。

 

人気マジシャンのジョージ佐竹がザローン砂漠から日本へ一瞬で移動する魔術を編み出したと発表するが、それは催眠術を使って場所を移動する一種のテレポートだった。
ちょっと待って! 実際にテレポートが出来るって物凄い事じゃないの!?
脱出マジックのようなトリックが仕込まれているのではなく、実際にザロームがテレポートしたと言う事はジョージ佐竹も本当にテレポートが出来たと言う話になる。これはマジックのレベルを超えている。ウルトラシリーズに登場した地球人の中でも抜きん出た超能力の持ち主がこんな所にいたとは……!

 

ザローン砂漠からジョージ佐竹が帰らず代わりにザロームが現れた事で、ジョージ佐竹の息子である宏はインチキマジシャンの息子として虐められてしまう。
あの騒ぎから怪獣によって街が壊されていく方が虐められる理由になりそうなのだが……。
今回は第2期ウルトラシリーズ等でよく見られた親を失って辛い目に遭った子供をゲストにした話なのだが、単にお約束事を並べただけでドラマと言うには弱い。
ジョージ佐竹を取り込んだザロームが息子の宏や妻の治子に会おうとしていたので、怪獣化した男の苦悩を軸にすれば面白いドラマになったと思うので残念。

 

行く手を阻まれたザロームはテレポートの応用で別の場所に自分の幻を作り出して科学警備隊を自分から引き離そうとする。
これはジョージ佐竹を取り込んだ事で得たテレポート能力をザロームが発展させたと言う事だろうか? もしジョージ佐竹も分身能力を使いこなせるのなら是非とも科学警備隊に欲しい人材だ。
そもそも催眠術でどうやってテレポートが出来るのか不明だが、ザロームが自分に催眠術をかけて別の場所に幻を出したので、脳を催眠状態にする事で普段は眠っている何らかの能力を引き出しているのかもしれない。

 

ロームがジョージ佐竹の家に向かっている事を知ったヒカリは知らせに行くが、話を聞いた宏はバットを持って父親の仇を取ろうとする。そんな無茶な。
ヒカリはテレポートする前にザロームを倒そうとジョーニアスに変身。ミクロ化してザロームの体内に入ると、テレポートに必要な催眠状態を止める。
ウルトラマンのミクロ化は『セブン』の「悪魔の住む花」以来。実写と違って活動場所に制限が無いアニメの利点が生かされた。
因みにミクロ化すると通常の倍のエネルギーを使うらしい。巨大化と違ってミクロ化はエネルギー消費が少なそうだが、基本と異なる大きさを維持するのは難しいと言う事だろうか?

 

ロームの体内から脱出したジョーニアスはウルトラバリヤーケースの中でザロームを分解し、そこから取り出したジョージ佐竹をもう一つ作ったウルトラバリヤーケースの中に入れ、分解した両者をそれぞれ組み直して、分離に成功する。
その後、ザロームは倒される事無くジョーニアスによってどこかに連れて行かれた。ザロームには悪意が無く、テレポートで街中に現れてしまっただけだったので、元いたザローン砂漠に帰したと思われる。

 

事件が解決し、科学警備隊は別行動を取っていたヒカリを置いて帰ってしまう。ギャグ描写じゃなかったので置いて行かれたヒカリがちょっと可哀想だった。

 

新しいヒーローの誕生!!」のシーグラがだだっ広い氷原が舞台で巨大感が出せなかったのに対して、今回のザロームは足のアップを入れたり、手前に民家や倉庫を配置したり、ビル街の破壊シーンを入れたりする事で巨大感を出していた。

 

脚本の藤川さんは『ザ☆ウル』は今回のみの登板となっている。