『ウルトラマン 怪獣大決戦』
1979年7月21日公開
監督 宍倉徳子
『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』と『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』のヒットを受けて公開された。
今回は特撮や戦闘の多い娯楽作を揃えた構成になっている。
物語は美しい緑の惑星・地球に危機が迫っている事を感じたウルトラマンがウルトラの星に報告し、ウルトラの星の長老ウルトラマンキングの宇宙の正義を象徴するサインを受けてウルトラマン達がウルトラタワー前(銀の広場)に集結するところから始まる。
ここで当時放送中だったウルトラマンジョーニアス(劇中ではウルトラマンジョー)も登場している。
ここからは各ウルトラマンの紹介となり、最初はウルトラの父とウルトラの母が紹介され、続いてウルトラセブン(対エレキング戦)、帰ってきたウルトラマン(対ゼットン(2代目)戦)、ウルトラマンタロウ(対アストロモンス戦)、ウルトラマンエース(対カメレキング戦)、ウルトラマンレオとアストラ(対アトランタ星人戦)、ゾフィ(対バードン戦)と紹介される。ゾフィが対バードン戦で使った光線は一般にZ光線とされているが今回の映画ではM87光線とされている。
そしてウルトラの新しい仲間としてウルトラマンジョーニアスが登場。『恐竜戦隊コセイドン』のスーパーザウルスの着ぐるみを改造したベドランと戦っている。アニメ作品であるウルトラマンジョーニアスの実写での戦闘シーンは貴重。
因みにベドランは後に『ザ☆ウルトラマン』の「これがウルトラの星だ!! 第1部」にも登場している。
最後にウルトラマンとケロニアの戦いが紹介され、皆の戦いを見た結果、ウルトラマンキングはウルトラマンに地球の平和を守る指令を与える。この為、本作はベムラーを護送中に誤ってハヤタ隊員を死なせてしまったと言うTV版の設定とは異なっている。
「ウルトラの星の長老」と呼ばれるウルトラマンキング。
ここで思い出すのが『ウルトラマンT』の「燃えろ! ウルトラ6兄弟」に登場したウルトラの長老。
あまり詳しく語られていなかったが、人工太陽プラズマスパークを完成させた後、ウルトラの長老は一体どうなったのだろうか?
人工太陽プラズマスパークから放射されるディファレーター光線を浴びて、ウルトラの星の住人は現在のウルトラマンの姿へと進化したとなっている。では、ウルトラの長老もウルトラマンに進化したと考えて良いだろう。ひょっとしたら、ウルトラマンキングこそ、そのウルトラの長老がウルトラマンに進化した姿なのかもしれない。
因みにウルトラマンキングの年齢はこの時点では20万歳以上となっていて、ウルトラの長老が人工太陽プラズマスパークを完成させたのは今から26万年前となっている。
ウルトラマンが地球に来て最初の話は「怪獣無法地帯」。
いきなり多々良島から物語が始まる。
TV版と違って、科特隊が松井所員を助けた後にレッドキングとチャンドラーの戦いが始まっている。
お次は「科特隊出撃せよ」。
今回の映画でも細かい部分がカットされていて、ここではイデ隊員がハヤタ隊員とウルトラマンの関係を疑う場面がカットされている。
続いて「侵略者を撃て」。
イデ隊員の目のアザの話とバルタン星人の苦手な物質がスペシウムと言う部分がカットされている。
一方でウルトラマンとバルタン星人の戦闘では地上戦が新規撮影されている。2体の着ぐるみを使ったバルタン星人の分身やテレポーテーションが面白かった。
話はそのままバルタン星人が再登場する「科特隊宇宙へ」へと繋がる。
今度は科特隊とバルタン星人の戦闘がカットされている。
そして最後に「怪彗星ツイフオン」。
ツイフオンが地球を擦れ違っていく場面がカットされた為、いつツイフオンの危機が去ったのか分かり辛いのがちょっと残念。
今回の映画の見所は新規撮影が多い事。
「怪獣無法地帯」の後、ウルトラマンは一旦ウルトラの星に帰り、怪獣による犠牲者の死に胸を痛めるもウルトラ兄弟の励ましを受けて決意を新たにしている。(ところでウルトラ兄弟の一員としてウルトラマンジョーニアスがいるのにウルトラマンレオとアストラがいないのは何故だ?)
次は「科特隊宇宙へ」の後で、バルタン星人との壮絶な戦いの疲れを癒す為に再びウルトラの星に帰り、ウルトラの光を浴びて復活、勇気100倍となる。(こんなにちょくちょく帰って来られるのなら、ウルトラセブンが疲労で死にかける事も無かった気がする……)
地球に平和が戻り、再びウルトラタワー前にウルトラマン達が集結する。
「宇宙の平和を守るウルトラの勇士達。地球をあらゆる侵略の魔の手から守る我らのヒーロー、ウルトラマン!」。
主題歌は水木一郎さんの『ウルトラ・愛の鐘』と『ウルトラマン物語』。
『レオ』の「かなしみのさすらい怪獣」が同時上映された。