帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「これがウルトラの星だ!! 第1部」

「これがウルトラの星だ!! 第1部 ーは虫怪獣ゲラド ジャニュール ベドラン登場ー
『ザ☆ウルトラマン』制作第19話
1979年8月8日放送(第19話)
脚本 吉川惣司
絵コンテ 小田経堂
演出 石田昌久

 

は虫怪獣ゲラド
身長 129m
体重 13万7千t
南アフリカに出現して三つの都市を廃墟にし、アフリカゾーンとヨーロッパゾーンの防衛軍に壊滅的打撃を与えた。
口から炎を吐く。
死闘の末、ジョーニアスのプラニウム光線に倒されたが、その後、死体から謎の光球が現れる。この謎の光球がオオトカゲに同化して誕生した怪獣だったらしい。

 

は虫怪獣ジャニュール
身長 317m
体重 14万9千t
ゲラドの死体から現れた光球が今度は蛇に同化して誕生した怪獣。
相手に巻きついて電流を流す。
ゲラドとの戦いでエネルギーを使い果たしたジョーニアスを追い詰め、退却させる。

 

は虫怪獣ベドラン
身長 148m
体重 12万2千t
アメリカに渡った精神寄生体がトカゲと同化して誕生した怪獣。
口から炎を吐く。
ゲラドやジャニュールとの戦いでエネルギーを使い果たしたジョーニアスに止めを刺した。
今回の登場に先駆けて『ウルトラマン 怪獣大決戦』でジョーニアスと共に実写デビューを飾っている。

 

物語
しばらく怪獣が出現する事も無く平和な時が過ぎていたが、それを打ち破って過去最大級の被害をもたらす凶悪怪獣が出現する。
変身しようとするヒカリだったが、何かを感じ取ったジョーニアスは変身を思い留まるよう警告する。

 

感想
今は電波望遠鏡の時代と言うピグの皮肉の中、トベ隊員の望遠鏡を使って夏空の天体観測が行われる。
そんな中、ジョーニアスはヒカリに自分の故郷の星の存在を教える。
ヒカリ「ウルトラマン、あなたの星が!?」、
ジョーニアス「そう、U40と言う。君にも見せてあげたい。美しい平和な星だ」。
過去にジョーニアスがヒカリに話しかけてきたのは「新しいヒーローの誕生!!」での同化の時と「君がウルトラマンだ」でヒカリが自分の存在意義に悩んだ時ぐらいで、今回のように事件と関係無しに自分から話しかけてくるのは珍しく、両者の関係が少し進んでいるのが分かる。

 

ゲラドに苦戦する科学警備隊を見たヒカリは変身しようとするが、そこに意外な待ったがかかる。
ジョーニアス「いけない! ヒカリ! 今はウルトラマンになっても無駄だ! 私には分かる。この怪獣は今までのと違う!」、
ヒカリ「ウルトラマン。僕とあなたがかつて負けた事がありますか?」、
ジョーニアス「分かってくれ、ヒカリ!」、
ヒカリ「分かりません! 我々、科学警備隊がやられたら地球はどうなります?」、
ジョーニアス「ヒカリ……」、
ヒカリ「僕は戦います!」。
自分の意志を押し通して変身するヒカリだったが苦戦を強いられ、カラータイマーが点滅する。
ジョーニアス「逃げるのだ! ヒカリ!」、
ヒカリ「まだ時間はあります!」。
ヒカリとジョーニアスは議論を交わしながらもプラニウム光線で勝利を収める事が出来たが、倒されたゲラドの死体から謎の光球が現れると近くにいた蛇と同化して怪獣ジャニュールとなった。タイムリミットが迫る中での連戦はさすがに厳しく、遂にジョーニアスは一時撤退する事になる。
君がウルトラマンだ」ではジョーニアスが活躍しても自分は称賛されない事に苦しんでいたヒカリだったが、今は自分もジョーニアスと一緒に戦っていると言う意識が出来ている。それは弱気になったジョーニアスの背中を押す事にもなるのだが……。
ところでヒカリの時はヒカリの精神が肉体を支配しているのだが、ジョーニアスの時はどうなっているのだろうか? 今回の戦いを見る限り、ジョーニアスの精神が完全に肉体を支配していると言うのではなくてヒカリの精神も幾分か影響力を持っているように見える。

 

燃える街に君臨するシルエット姿のゲラドを始め、今回は怪獣の描き方がカッコ良かった。
ジョーニアスと怪獣の動きが妙に遅くなっているのは重量感を出す為と思われる。

 

コンピューター分析の結果、謎の光球は一種の精神寄生体で乗り移った生物の細胞分子構造を変化させ組織を自在に巨大化させる事が判明する。
特に爬虫類を好むとの結果を聞いた宮井副官は爬虫類を全滅させれば良いと思わず「バカか!?」とツッコみたくなる提案をする。
一連の話を聞いたヒカリは精神寄生体と怪獣の関係が自分とジョーニアスの関係とそっくりな事に衝撃を受ける。
ジョーニアス「そう、私が君の体の中にいるように、あの怪獣も同じ原理らしいな。だとすると……」、
ヒカリ「どうすれば、どうすればいいんです!」。
冷静さを失ったヒカリはついジョーニアスとの会話を心の中でなく声に出してしまい、近くにいたアキヤマキャップ、ムツミ、マルメ隊員に不審がられてしまう。
同化した人間とウルトラマンの関係を精神寄生体による乗り移りと同じとしたのは衝撃だったが納得。
これまでのウルトラシリーズではウルトラマンに関する説明は意外とされていなかったのだが、『ザ☆ウル』では他の作品とは世界観が違うと言う強みもあって、色々と突っ込んだ話がされている。

 

精神寄生体が乗り移って誕生した怪獣ベドランを追って科学警備隊はアメリカへ。
一方、ジョーニアスのダメージをそのまま負って異常な程に衰弱してしまったヒカリは絶対安静を命じられる。
ヒカリ「ウルトラマン、こんな事信じられません。あなたにも勝てない事があるなんて。ウルトラマン、これからどうするのです?」、
ジョーニアス「ヒカリ、エネルギーはまだ回復していない。今はそっとしておいてほしい」、
ヒカリ「しかし!」、
ジョーニアス「動くな。お願いだ、ヒカリ。私と君は互いにエネルギーを分け合っている身だ。どうか、ゆっくり休んでくれ。その間に私は方法を考えよう。どうやって、怪獣を倒すのか」。
そして意識を取り戻したヒカリは残っていたバーディに乗ってアメリカへ向かうと、ジョーニアスの指示を受けて電波望遠鏡のメインコンピューターを操作して200万光年彼方のU40へ救援を送る。
人間とウルトラマンが同化しているタイプでウルトラマンが人間にあれこれと指示を出すのは当時は非常に珍しかったが、この展開によって、知識と力はあるが時間制限の為に活動が制限されているジョーニアスと知識と力は劣るがジョーニアスの意図を代わりに実行する事が出来るヒカリと言う役割分担が明確になった。

 

ジョーニアスの目的に気付いたベドランが電波望遠鏡に迫る!
変身するヒカリだったが、ジョーニアスのカラータイマーは既に赤く点滅していた。
ジョーニアス「ヒカリ、カラータイマーが点滅している。死んでもいいのか!」、
ヒカリ「死ぬ? ウルトラマンにも死ぬなんて事が……?」、
ジョーニアス「君の精神の中に住んでいる私だ。君が死ねば私も死ぬ! 早く逃げるのだ!」。
そして遂にカラータイマーの光が消えて、ジョーニアスは姿を消すのだった。
同じ命を共有して運命共同体となっている事が多い人間とウルトラマンの関係だが、今回のように同化した人間が死ねばウルトラマンも一緒に死んでしまうと明言する事はこれまで無かった。

 

ジョーニアスとベドランの戦いで破壊された電波望遠鏡を見てアキヤマキャップは「ウルトラマンは死んだのか? ……そうとしか考えられん」と呟く。
そしてアキヤマキャップは瓦礫の中からヒカリを抱きかかえて皆の前に出てくる。
「すまない……、ウルトラマン……。み、皆、さようなら……」と言い残して力尽きるヒカリ。
それを見て「ヒカリー!」と泣き叫ぶムツミ隊員。
黙って立ち去ろうとするアキヤマキャップをマルメ隊員が呼び止める。
「し、死んだのですか? キャーップ! ヒカリは死んだのかと聞いているんだ!」。
マルメ隊員がアキヤマキャップに向かって敬語を忘れてしまうのがヒカリ死亡の衝撃を表わしている。
君がウルトラマンだ」ではヒカリに辛く当たっていたマルメ隊員だったが、この話で反省したのか、今回はヒカリの事を色々と気にかけていた。

 

ヒカリの死を嘆き悲しむ科学警備隊の前に謎のUFOが出現。開かれた扉からジョーニアスと同じウルトラマンが姿を現す。
「我々はウルトラの星U40から来ました。あなた方のお仲間をぜひお助けしたい。私達の科学で」。
謎のウルトラマンの話を聞いたムツミ隊員は「お願いします! ヒカリを! ヒカリを生き返らせてください!」と懇願。
そして謎のウルトラマンはヒカリの死体を連れてU40へと帰還する。
因みにこの謎のウルトラマンはエンディングのクレジットを見るとエレクらしい。
科学警備隊の前に初めて姿を現した時の巨大感や神秘さはジョーニアス初登場時を上回っていた。

 

君がウルトラマンだ」でヒカリとジョーニアスと言う二つの精神を描いた事で、『ザ☆ウル』はこれまでのウルトラシリーズでは殆ど無かった人間とウルトラマンの会話を描けるようになった。
その結果、今回は慎重、見方によっては弱気になったとも言えるジョーニアスが描かれ、これまでは事件を解決するデウス・エクス・マキナとして君臨していたウルトラマンを心情が語られる一個の人物へ変える事となった。
そしてこの変化こそが、これから本格的に始まるU40編の始まりとなるのであった。
と言う事で次回「これがウルトラの星だ!! 第2部」に続きます。