帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「これがウルトラの星だ!! 第3部」

「これがウルトラの星だ!! 第3部 ー暗黒怪獣バゴン登場ー
『ザ☆ウルトラマン』制作第21話
1979年8月22日放送(第21話)
脚本 吉川惣司
絵コンテ 小田経堂
演出 辻勝之

 

凶悪星人バデル族
身長 268cm
体重 631kg
ウルトラマインドを盗んで宇宙侵略を開始する。バデルスターの重力波でU40そのものを攻撃し、艦隊を送り込み、ウルトラマインドを使ってバゴンを操る。
ウルトラ7戦士にウルトラマインドを封印され、バデルスターを破壊されて滅びた。
怪獣のような外見で人間と同じように武器や道具を使う姿は妙に印象に残る。

 

暗黒怪獣バゴン
身長 938m
体重 187万3千t
暗黒星雲に住む伝説怪獣で、ウルトラマインドを使った大勢のバデル族が乗り移って操っていた。
口から青白い光線を吐く。
ジョーニアスによって宇宙空間に連れて行かれた後、ロッキング・スパーク光線を受け、光線の威力と落下の衝撃で倒された。
アニメならではのデカスゴ感が素晴らしい怪獣。

 

は虫怪獣ジャニュール三世
全長 392m
体重 15万6千t
ジョーニアスのいない地球で暴れていたが、ウルトラマインドが封じられて弱ったところを科学警備隊に倒された。
劇中では語られていないが、精神寄生体がキングコブラに同化して誕生した怪獣だったらしい。
二世は描かれていないところで科学警備隊に倒されたのだろうか?

 

物語
ウルトラ人とバデル族の全面戦争の中、ヒカリは復活したジョーニアスと再会して再び同化する!
地球人とウルトラ人の大逆転劇が始まる!

 

感想
これがウルトラの星だ!! 第2部」の続き。

 

バデルスターを迎え撃つウルトラ人。ザミアス司令官を指揮官に戦艦総員ウルトラチェンジし、宇宙を舞台に艦隊戦が行われる。
『レオ』の路線変更時のアイデアの一つや内山まもるさんの漫画で描かれていた「戦艦を操縦するウルトラマン軍団」が遂に映像作品に登場した。時期的な事を考えると、やはり『宇宙戦艦ヤマト』がモデルかな?
戦艦を操縦するウルトラマン達の姿は見ていて違和感はあるが、今回は巨大化して戦えるウルトラ人はジョーニアスを含めてわずか8人とされているので設定上の不自然さは無い。
U40のウルトラ8戦士だが、おそらくゾフィからアストラまでのウルトラ8兄弟がモデルになっていると考えられる。

 

バデル族との戦争を見たヒカリは自分も何か手伝えないかと訴えるが却下される。しかし、アミアはこっそりヒカリを連れ出すと、自分の専用機に乗せて一緒に出撃してしまう。こんなおきゃんな姫さんに専用機を与えるなんて危険極まりない気がする。
ヒカリとアミアによるバデルスターでの戦いは『スター・ウォーズ』を思わせる。(バデルスターはデス・スターかな?)

 

撃墜されたアミアはバデルスターに不時着し、バデル族に囲まれて絶体絶命の危機に陥る。
一方、ヒカリのもとにジョーニアスの声が響き、回復した事が告げられる。U40に帰還したヒカリは人間態のジョーニアスと対面するが、影で素顔を見る事は出来なかった。
ヒカリ「あなたの名がウルトラマンジョーニアスだと知りました」、
ジョーニアス「そう、私の名はウルトラマンジョーニアス。これからはジョーと呼んでくれ」。
ヒカリは素顔を見たいと述べるが、ジョーニアスは禁じられているとして断る。
説明によると、人間の体に乗り移るのは実は非常に危険でヒカリと言う個体を守る為には仕方が無い処置らしい。
ジョーニアス「私達は心と心で繋がってさえいれば良いのだ」。
そして二人は再び同化。ヒカリはウルトラチェンジし、遂にジョーニアスが復活する。
今回の分離と再同化により、第1話の「新しいヒーローの誕生!!」ではジョーニアスからのやや一方的だった同化が今度は両者の同意の下に行われ、今まではウルトラマンの主導で行われていた同化が今度は同等の立場で行われた事でヒカリとジョーニアスの関係は他のウルトラシリーズよりも先に進んだものとなった。

 

「これからはジョーと呼んでくれ」とジョーニアス本人は言っていたが、「ジョー」と呼ばれたのが数回しかなかったので、個人的にはこの呼び名は馴染みが薄い。

 

アミアがジョーニアスの妹だと知らされるヒカリ。
バデルスターに突撃したジョーニアスはバデル族からアミアを救出する。
ジョーニアスが自分を助けに来た事を知ったアミアは「ヒカリ!」。
いや、そこは兄さんの名前も呼ぼうよ。

 

劣勢を感じたバデル族はバデルスターからウルトラマインドを打ち上げ、ウルトラ7戦士がそれを追い、ジョーニアスは救出したアミアをエレクに預けてU40を破壊するバゴンとの決戦に挑む。
ウルトラ7戦士はバリアーを作ってウルトラマインドを封じ込め、ジョーニアスもバゴンを倒し、バデルスターも破壊された事で戦いはU40の勝利に終わる。
コミュニケーションが不可能と言うのも絡んでいるが、バデル族のラストがやや消化不良だったのが残念。
戦いが終わって、ヒカリは大賢者に「ヒカリ、感謝する。君の名はU40の歴史に永遠に残るであろう」と感謝の言葉を述べられる。今まではウルトラマン達が地球を守っていたが、今回は地球人ヒカリがウルトラの星を守ったと言う構図の逆転が面白い。

 

U40での戦いを終えたヒカリは仲間達の待つ地球へ。
地球では科学警備隊とジャニュール三世との戦いが続いていた。
ジャニュール三世が弱り出した事に科学警備隊が喜ぶ中、アキヤマキャップはジャニュール三世が弱って精神寄生体が乗り移りを止めた原因にジョーニアスの存在を考える。
科学警備隊はそのままジャニュール三世を撃破し、ジョーニアス抜きで勝利を収めた事に皆は歓喜する。正直言って、見ていた自分も地球に帰還したヒカリがジョーニアスに変身してジャニュール三世を倒すだろうと思っていたので、科学警備隊が独力で倒したのには驚いた。
怪獣に勝利してアキヤマキャップが皆に呼び掛ける。「私達が最後まで希望を捨てなかったからこその勝利だ」。

 

そこにウルトラ人の円盤が現れて蘇生手術が成功したヒカリが帰される。
喜ぶムツミ隊員がヒカリに抱きつくが、すぐさまマルメ隊員にとって代わられてしまう。
ヒカリの無事に皆が喜ぶが、当のヒカリは自分が死んだ事さえ覚えていなかった。
ジョーニアス「ヒカリ、全てが元に戻ったのだ。君は何も思い出せないだろう。地球人は誰一人としてU40の存在を知ってはならないからだ。だが、これだけは教えておこう。君はあそこにいる私の妹アミアと一緒に戦って全宇宙の平和を守ったのだ」。
別れ際、皆の前、ヒカリの前に姿を現すアミア。
アミアの涙の思い出を残して全てが元に戻ったのだった……。
第1話の「新しいヒーローの誕生!!」では同化の事はジョーニアスとヒカリの二人だけの秘密とされていたが、今回のU40絡みの事はヒカリにも秘密とされた。今回の三部作でヒカリとジョーニアスの関係が一気に進んだかと思いきや、元の関係、下手をすれば、それ以前の関係にまで後戻りしてしまったのは寂しい。

 

これまでの『ザ☆ウル』はアニメの技術を使って実写作品を忠実に再現しようとしていたところがあったが、今回の三部作からはウルトラシリーズの要素をアニメ作品に転換して独自の作品世界を作っていくようになってきた感じがある。

 

今回の三部作の絵コンテを担当している小田経堂とは脚本の吉川惣司さんのペンネームである。