「新キャップが来た!! ー合体怪獣タバラン登場ー」
『ザ☆ウルトラマン』制作第28話
1979年10月10日放送(第28話)
脚本 吉川惣司
絵コンテ 蛭田充
演出 八木岡正美
象怪獣ファンダス
身長 98m
体重 7万t
臨海地帯に出現した怪獣で目や口から光線を吐く。
科学警備隊にマイナス200度の液体酸素で氷漬けにされるが後に蘇り、クワァイラスと合体してタバランになった。
劇中では「そんなに大きくない」と言われているが実際は100mクラスの超大物だったりする。
名前の由来は「エレファント(象)」かな。
翼竜怪獣クワァイラス
身長 62m
体重 4万8千t
突然現れ、ファンダスと合体してタバランになった。
合体怪獣タバラン
身長 138m
体重 12万8千t
ファンダスとクワァイラスが合体した怪獣。元々、合体して初めて一個の生命体となる怪獣で、何らかの事情で半分のファンダスだけが地球に流れ着いていた。
合体後も状況に合わせてファンダスとクワァイラスに分離する事が出来る。目から光線を撃ち、口から炎を吐く。
ジョーニアスのプラニウム光線で倒された。
物語
アキヤマキャップが去った後も科学警備隊は怪獣事件を処理していった。
そんな時、新たに赴任してきた新キャップのゴンドウは科学警備隊の対応に苦言を呈し、次々と要求を突き付けてくる。
感想
ゴンドウキャップ登場。アキヤマキャップとは対極に位置する人物で、あまりのアクの強さにヒカリですら初対面では不快感を抱く程であった。
調整型のアキヤマキャップから突撃型のゴンドウキャップに替わった事で科学警備隊の雰囲気も少し変わる。
これまでの地球内部の異変を分析する話から今後の宇宙を舞台にした戦いの話への方向転換を見越したキャラクター設定と見るのは考えすぎかな?
今回も指揮を執るのはトベ隊員。すっかりキャップ気取りと言われるが、実際に皆をまとめているのでリーダーの資質はあると思う。
一方のマルメ隊員は自己の気分や主張がどうしても入ってしまうので、皆と考えが一緒の時は良いだろうが少しでもズレるととんでもない不協和音を生み出してしまいそう。
意外と強いファンダスを前にヒカリはジョーニアスに変身しようと考えるが皆の頑張りを見てもう少し様子を見る事にする。簡単に変身している印象があるがヒカリなりにウルトラマンの力の使い方を考えているようだ。
桜田長官の紹介で姿を現すゴンドウキャップ。謎めいた扱いにするかと思いきや意外と早く素直に登場した。まぁ、ゴンドウキャップの性格からすると、ここで回りくどい事をやっている暇なんか無かったのだろう。
早速、トベ隊員が基地に連れて帰ろうとした氷漬けのファンダスを近くの山に移動させて入念に調査を行い、隊員達には体力テストと「温度と細胞活動の関係について」のレポート提出を求める。
疲労しきった隊員達を見たピグは「今度のキャップは鬼なんだな、悪魔なんだな、妖怪なんだな、まるっきり」と感想を述べるが、生死の分からない怪獣を基地に運び入れようとしたトベ隊員の判断は軽率だったし、レポートの課題からゴンドウキャップの言わんとする事は分かるはずなので、あまり理不尽ではないと思う。
それでもマルメ隊員だけでなく他の隊員も揃ってゴンドウキャップに反感を抱いたのは、今まで仕えていたアキヤマキャップとの方向性の違い、そして、この数日間を自分達はキャップ無しでもやってこれたと言う自負による、外から来たものを異質として排除しようとする気持ちの表れだと考えられる。
「アキヤマキャップが去ってから皆の張り切りようは大変なものでした。自分達でどれだけやれるのか、そして新しいキャップに恥ずかしくないように……。僕らは本当に一生懸命やって来たんです。その気持ちを分かってほしいんです。そうしたら、皆はあなたの言葉を素直に聞けると思うんです」。
これまでの自分達の努力を訴えるヒカリだったが、ゴンドウキャップはその話を笑い飛ばすと、怪獣との戦いはお遊びではなく血みどろの決闘、センチな事を考えている奴は出ていけばいいと退ける。
ゴンドウキャップと言えば上着を羽織った姿がトレードマークだが、この場面では何故かヒカリも同じように上着を羽織ってゴンドウキャップに直訴をしている。あえてゴンドウキャップの真似をしたとするならば、かなり挑戦的な意味合いを持っていると言える。
遂に隊員達はゴンドウキャップを外してほしいと桜田長官に進言し、その間の責任は自分達で取ると言う条件で訴えを聞き入れてもらう。
しかし、ファンダスが復活し、さらに新たにクワァイラスが出現。トベ隊員は二体を戦わせようと考えるが、実は二体は元々一個の怪獣だった為、合体してより強力な怪獣タバランになってしまう。
自分達の力だけで怪獣を倒さなければと焦るヒカリはバーディで撃墜され、攻撃を受けたスーパーマードックも不時着してトベ隊員達は脱出しようとする。が、そこにゴンドウキャップが立ちはだかり、故障したから仕方が無いとスーパーマードックを捨てようとするマルメ隊員をぶん殴る。
「戻れ! 踏み止まるんだ! 貴様ら、極東ゾーンのエースであるマードック号を捨てる気か!」、「馬鹿野郎! 前任キャップのアキヤマが命を懸けて守った歴戦のマードック号だ! 立てぃ! 中に入らんかぁ!」。
そしてゴンドウキャップはトベ隊員でも見当が付かなかった故障の原因を当ててスーパーマードックを蘇らせる。
「貴様らの命は俺が預かった!」。
アキヤマキャップとは違った押しの強さがカッコ良いゴンドウキャップ。又、修理を終えたトベ隊員をちゃんと労ったりと細かい心配りをしているのも見逃せない。
戦いが終わり、桜田長官は隊員達の進言を受け入れてゴンドウキャップを外す事を正式決定する。
どうやらゴンドウキャップはスーパーマードックでのやり取りを報告していなかったようだ。
しかし、全てを知った隊員達は自分達の過ちを詫びると訴えを取り下げ、極東ゾーン基地を去ろうとするゴンドウキャップを引き留めに向かう。
それを見た桜田長官と宮井副官は風向きの変化を感じるのだった。
う~ん、こうして見ると、宮井副官はやはり嫌な人ではないように思える。
極東ゾーン基地を去ろうとするゴンドウキャップを引き留めに来た隊員達。
「いいのか? 俺は厳しいぞ」と言うゴンドウキャップの問いにヒカリは「平気です。僕らは科学警備隊員ですから」と答える。
この時のゴンドウキャップは今回の話では珍しくサングラスを外している。
ドラマ上でサングラスは自分の心を隠す道具として使われる事が多いので、ゴンドウキャップが自分の素直な気持ちを表した場面とも考えられる。
頼もしい隊員達の言葉を聞いたゴンドウキャップは怪獣を倒しても科学警備隊の任務は終わらない、怪獣出現の原因を突き止めるのも任務の一つとしてレポート提出とその後のトレーニングを命じる。
今回の隊員達は最初は科学警備隊員として新しいキャップがいなくても自分達だけで大丈夫と言っていたが、最後は科学警備隊員たる自負があるからこそキャップからの厳しい指示にも応えられると返すようになった。
こうしてゴンドウキャップ率いる新生・科学警備隊の第一歩が踏み出されたのだった。