帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラの星U40の危機!! ーウルトリアの謎?ー」

「ウルトラの星U40の危機!! ーウルトリアの謎?ー
『ザ☆ウルトラマン』制作第37話
1979年12月19日放送(第37話)
脚本 吉川惣司
絵コンテ 藤岡正宣
演出 辻勝之

 

反ウルトラヒューマノイドヘラー
身長 202cm
体重 114kg
アミア曰く「間違った考えを持ったウルトラ人」。
遠い昔に永遠の命を求めてウルトラマインドの力をウルトラ化能力から不老不死へと転換し、同志3000人と共にU40に反旗を翻した。
ウルトラマインドは奪い返されたが、行方をくらませた後、暗黒星雲に巨大な帝国を築いてU40への復讐を狙っていた。
宇宙艦隊でU40を占領し、さらにウルトリアを求めて地球にも軍団を送り込む。
パンサーと言う凶暴化する豹に似た生物を常に手元に置いている。

 

反ウルトラヒューマノイドロイガー
身長 209cm
体重 148kg
ヘラー軍団の幹部で、ヘラーの右腕として地球攻撃の指揮権を与えられる。

 

ヘラー軍兵士
身長 2m
体重 130kg
ヘラー軍団の兵士でウルトラ化能力を捨てたウルトラ人。目的の為には死すら厭わない。
全身を鎧で固めている。上級兵士と下級兵士が存在している。

 

カプセル怪獣グモンス
身長 98m
体重 7万9千t
ウルトリアの正体を見極める為に衛星軌道上から南極に送られたカプセルから現れた怪獣。
口から炎を吐く。

 

物語
U40の異変を感じるヒカリのもとに何者かに追われてアミアがやって来る。
かつて永遠の命を得る為にウルトラ化能力を捨てたウルトラ人ヘラーがU40を占領したのだった!

 

感想
極東ゾーン基地に警報が鳴り響く緊迫の出だしから、星の最期である超新星を見守る神秘的な雰囲気を経て、超新星がU40だった可能性が出てくる衝撃の展開へと目まぐるしく変わる流れに引きこまれてしまうヘラー軍団編開幕。

 

超新星がU40だったのではとアミア達の事を心配したヒカリはノイローゼ気味になってしまい、ゴンドウキャップは気分転換も兼ねてヒカリを南極基地の調査に向かわせる事にする。そこでヒカリは南極の地下1000m以下の場所に大きさ300m以上の謎の物体が眠っているのを見る。
ゴンドウキャップはヒカリにU40の事を忘れさせる為にこの調査に向かわせたのだが、何の因果か、ここには地球とU40の秘密を解き明かす運命の鍵が眠っていたのだった。

 

追う者と追われる者、2機の宇宙船がU40の方角から地球へとやって来る。
追跡者の宇宙船は地球側の停戦命令を無視すると、バリアーで攻撃を防ぎ、スーパーマードックの倍の速度で飛行する。
そこにジョーニアスがやって来てプラニウム光線で撃破するが、追われていた宇宙船は地球に不時着してしまう。
不時着した宇宙船はアミアの専用機だった。助けられたアミアはヒカリの存在に気付き、ウルトラヒューマノイドから人間の姿に変身する。
ヒカリ「アミア、会いたかった……」、
アミア「私もよ」。
因みに兄さんはまたもや無視されている。哀れだ、ジョーニアス兄さん……。

 

アミアの話で超新星爆発がU40の衛星の一つであった事が告げられ、U40自身もヘラー軍団によって占領された事が明かされる。
内山まもるさんの漫画でジャッカル軍団がウルトラの星を占領した事があるが映像作品でウルトラの星が占領されるのは今回が初めて。

 

回想で語られるヘラーと言う人物。U40の裁判所でも一歩も引かずに毅然と自分の思想を述べる姿はさすがのカリスマ度。
裁判員「何故だ!? 何を望んでいるのだ、ヘラー!」、
ヘラー「フフフ。命。私達の命です。ウルトラ人と言えども神ではない。寿命が来れば年老いて死ぬ。私にはそれが耐えられないのです」。
裁判員達は「死こそ生きる者の証」「自然に与えられた大いなる定め」と説得するが、ヘラーはウルトラマインドの力を使って永遠の命を手に入れてしまう。
ウルトラマンと言えども神ではない」と言う言葉はウルトラシリーズで何度か使われているが、それはウルトラマンも万能ではないからこそ諦めずに頑張らなければならないと言う不完全な存在である人間への呼びかけとなっているのだが、それをヘラーは今が不完全な存在だったら完全なる存在である神に進化したら良いと一刀両断してしまった。
力を得ながらも自然の生き方を捨てずに過ごすウルトラ人と違って、果て無く力を追い求めるヘラーの姿にはウルトラの闇の部分を感じるが、確固たる目的と考えを持った格好良さも感じられる。

 

不意を突かれてヘラー軍団に占領されてしまったU40。
大賢者はU40の兄弟星である地球にはこんな事もあろうかとウルトリアと言う物を隠していたとしてアミアを地球へ向かわせる。
遥か昔の地球に戦況の鍵を握る切り札が隠されている展開は『メロス』のグランテクターに通じるものがある。
これまで地球は宇宙にある数多くの星の一つに過ぎなかったが、ウルトリアやグランテクターが隠されていたと言う設定が付けられた事で宇宙の行く末に大きな影響を及ぼす重要な場所となった。やや都合が良くて出来過ぎな感じはするものの、地球を中心に宇宙全体の話を展開するのなら必要な要素だったと思う。

 

ウルトリアの存在を知ったヘラー軍団は地球に何百もの宇宙艦隊を派遣。さらにロイガーだけでなくヘラー本人までもが地球に来ていた。打つ手が早い。
まだ修復が80%に留まっているスーパーマードックに対し、ヘラー軍団の宇宙艦隊は世界各地の都市で破壊の限りを尽くす。
途中にいた泣きじゃくっていた女の子は殺されてしまったのだろうか? 気になる。

 

ジョーニアス一人だけではヘラー軍団に勝てない。
そこでジョーニアスは南極の地下3000mに眠っていた物こそウルトリアだと告げ、ヒカリはゴンドウキャップの命令を無視して南極へ向かう。一方、科学警備隊の動向を探っていたヘラーはロイガーにウルトリア探索を任せてU40へ帰還。ロイガーはグモンスを南極に派遣する。
グモンスの肩書きが「カプセル怪獣」となっているのはヘラーを「裏ウルトラマン」と捉えているからだろうか?
ジョーニアスとグモンスの戦いの場は氷の世界である南極。第1話の「新しいヒーローの誕生!!」のシーグラーとの氷山での戦いと比べると演出の向上が見て取れる。

 

ジョーニアスの危機にスーパーマードックが駆けつける。
まだ修復は完全ではないが、ジョーニアスの危機を放ってはおけないと果敢に戦う。が、グモンスの攻撃で不時着し大破してしまう。
第1話から活躍していたスーパーマードックの最期にしては意外とあっさりしていた。他の戦闘機とは重要度がまるで違うのだから、ここはくどいくらいにしても良かったと思う。

 

ヘラー軍団の前に危機に陥るジョーニアス。
スーパーマードックも大破し、この危機を一体どうやって切り抜ける!?
と言う事で次回「ウルトラ大戦争!! ー巨大戦闘艦ウルトリア出撃ー」に続きます。