帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラ大戦争!! ー巨大戦闘艦ウルトリア出撃ー」

「ウルトラ大戦争!! ー巨大戦闘艦ウルトリア出撃ー
『ザ☆ウルトラマン』制作第38話
1979年12月26日放送(第38話)
脚本 吉川惣司
絵コンテ 横山裕一
演出 八木岡正美

 

カプセル怪獣グモンス
身長 98m
体重 7万9千t
ジョーニアスを追い詰めるも目覚めたウルトリアの一斉攻撃を受けて倒された。
名前の由来は「クモ」かな。

 

物語
南極の地下からウルトリアが眠りから目覚めた。
新たな力を得た地球人はヘラー軍団に対して反転攻勢に出る!

 

感想
ウルトラの星U40の危機!! ーウルトリアの謎?ー」の続き。

 

オープニングとエンディングの映像にウルトリアが登場。1カットだけなのに結構驚く。

 

南極の氷を突き破って姿を見せる謎の巨大戦艦。やはり『宇宙戦艦ヤマト』を連想してしまう。
この時が来るのを待っていたのか、何かに感応して光るウルトリア。
アミアはウルトリアに乗り込むと、ジョーニアスを追い詰めるグモンスを砲門一斉攻撃で撃破する。
この時点での戦闘力は科学警備隊(スーパーマードック)<ジョーニアス<ウルトリアと言った感じかな。

 

戦い終わり、ウルトリアの中から姿を現したアミアを見て、ムツミ隊員はかつてヒカリがU40から帰された時に姿を見せたウルトラ人だと気付く。
ムツミ隊員は「これがウルトラの星だ!! 第3部」でのアミアとの出会いをちゃんと覚えていた。それなら余計にヒカリの記憶の矛盾が気になる。

 

アミアは自分はウルトラ人だと自己紹介して科学警備隊をウルトリアへと招く。
わずか数分前に初めて乗ったはずなのに、もう勝手知ったる様に説明しているのが少し可笑しい。
ヒカリにU40を案内した時もそうだが、アミアは説明役の印象が強い。
アミアはさらにU40と地球が兄弟星である事、ウルトラマインドを始めとするU40の歴史、ジョーニアスの事等について語っていく。
今までジョーニアス達がウルトラ人の秘密を知られぬよう細心の注意を払っていたのを考えると、そんなにペラペラ喋って大丈夫かと心配してしまう。

 

アミアによって説明されるヘラーと言う人物像。
これがウルトラの星だ!! 第2部」で語られたウルトラ人の望んだものと今回の話で語られたヘラーの望みを比べると「ウルトラマンとは何なのか?」を考える手掛かりになりそう。
「私達は望むもの全てを手に入れたかに見えました。しかし、それにも飽き足らない反逆者が現れたのです」。

 

アミアはヘラーもウルトリアの存在を知っているとして、ウルトリアを地球人に使ってほしいと告げる。
それを受けてゴンドウキャップは「アミアさん、よーく分かった。このウルトリアを使わせて頂きましょう。何としても地球は守ってみせる。そしていつの日か、あなたの星U40を反逆者の手から奪い返しましょう」と答える。
隊長が相手をウルトラマンだと分かって会話をするのは非常に稀。と言うか、主人公以外の人間がウルトラマンと会話する事自体が非常に貴重。
実写作品では着ぐるみと人間が同じ画面に並ぶと違和感が生じるからかウルトラマンと人間の活躍する世界が分けられているが、アニメ作品ではウルトラマンも人間も同じ「絵」なので違和感無く両者を並ばせる事が出来ている感じがする。

 

アミアからウルトリアを受け取ったゴンドウキャップは威風堂々極東ゾーン基地に帰還。滑走路にめり込む描写がウルトリアの巨大さを表わしていて良い。
その後、極東ゾーン基地総出でウルトリアの解析が行われる。
ウルトリアはウルトラ素粒子がエネルギー源で100年は補給や点検の必要が無く、世界中の原子力の10倍のエネルギーが生み出されていると、現在の地球の科学の限界をあっさりと突破した。
その後も今まで苦戦していたヘラー軍団の宇宙艦隊に圧勝する等している。
こういうジャンルの作品ではパワーアップは必要不可欠なものとなっている。今回はスーパーマードックを要していた地球防衛軍とウルトリアに使われていたU40の技術力を対比させる事でパワーアップを分かりやすく見せている。

 

一方で前の戦いで破壊されたスーパーマードックについて誰からも特に言及されなかったのは哀しい。他の戦闘機と違ってスーパーマードックは唯一無二の存在として第1話から活躍してきたので、もっと丁寧に最期を描いてほしかった。

 

ピグがウルトリアの中で大量のロボットが眠っている部屋を発見。そのうちの1体のボタンを押した事でウルック1号が起動する。
非常に人間くさいピグに対して同じ事を繰り返したりするウルックは非常にロボットらしく演出されている。それでありながら、ムツミ隊員の「熱くもなく温くもなく、数は20程のお茶」と言う恐ろしく曖昧な命令をちゃんと実行できたのは凄い。

 

ウルトリアをゴンドウキャップに渡した後、アミアは姿を消していたが、その夜、誰にも見付からない場所でヒカリと会って、U40に帰る事を告げる。
ヒカリ「いけない! 行っちゃいけない!」、
アミア「分かってヒカリ。ジョーニアスだって出来る事なら今すぐにでもU40に飛んでいきたいのよ!」、
ジョーニアス「その通りだ、ヒカリ。だが、私にはウルトラの戦士としての任務がある。地球を守ると言う任務が……。アミアも同じだ! アミアにはウルトラの星を守ると言う任務があるのだ!」。
感情を高ぶらせているヒカリとアミアとの対比もあってジョーニアスの冷静さが際立っている。

 

ウルトリアを始めとして今回はU40関係の話なのでアミアが中心になるのは当然なのだが、一応はヒロインであるムツミ隊員がピグとのギャグシーンくらいしか出番が無かったのは哀しい。
逆にアミアはジョーニアスの妹や種族を超えた恋愛とアミアでしか成り立たない物語を展開して確固たる位置を手にしていっている。

 

「ウルトリア発進!」。
今回はとにもかくにもウルトリア。
宇宙に出撃する場面は荘厳なBGMもあってかなり盛り上がる。

 

宇宙でのヘラー軍団宇宙艦隊との戦いは最初はウルトリアの圧勝だったがロイガーの乗る旗艦の攻撃にさすがにダメージを受ける。しかし、ヒカリはジョーニアスに変身してプラニウム光線とウルトリアからの援護で旗艦を撃破する。
ロイガーはどう考えてもここで戦死したようにしか見えなかったが次回も普通に登場している。どうやって助かったんだろう?
戦いが一段落ついた事を見届けてU40へと帰還するアミアに向かってジョーニアスは「アミア、無事にU40の仲間に会える事を……祈る」と言って見送る。

 

戦いは一段落したが、地球にウルトリアとジョーニアスがいる限り、ヘラーは諦めないとの事。
あれ? 確かアミアはヘラー軍団から地球を守る為にウルトリアを地球人に渡し、ジョーニアスはU40に帰還せずに地球に留まったはず。これならアミアがウルトリアを持って、ジョーニアスが一緒にU40に帰ったら地球は襲われ続けずに済んだのではないのか?
この「地球の平和を守る為にウルトラマンが地球にやって来るが、そのウルトラマンを狙う敵が現れて、ウルトラマンがいるから逆に地球は危機に陥ってしまう」と言う展開はウルトラシリーズでは何度か描かれている。
この矛盾を解決する方法として他の作品ではウルトラマンが地球を去って地球をウルトラマンがいない状態に戻していたが『ザ☆ウル』ではそれとは違った解決方法が提示される事になる。

 

 

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  • メディア: DVD