帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラマン先生」

ウルトラマン先生」
ウルトラマン80』制作第1話
1980年4月2日放送(第1話)
脚本 阿井文瓶
監督 湯浅憲明
特撮監督 高野宏一

 

月ノ輪怪獣クレッセント
身長 56m
体重 4万t
5年振りに現れた怪獣。
地下をかなりの速度で移動して、日本各地で陥没、小地震、地割れを起こしていた。
目から放射能に似た強烈な熱線を発し、草木を枯らしたり石を変色させたりしていた。
最初は人間には見えない影だったが、やがて光が集まって実体化する。
5年に亘って力を蓄えていて、実戦経験の無い地球防衛軍やUGMを撃退する。
生徒の声援を受けた80のキックとチョップの連続攻撃を受け、最後はサクシウム光線で倒された。
名前の由来は「クレッセント(三日月)」から。

 

物語
桜ヶ岡中学校の新任教師・矢的猛とUGMのオオヤマキャップは怪獣出現を危惧していたが、平和に慣れた生徒や隊員は取り合おうとしなかった。
その時、5年振りに怪獣が……!

 

解説
オープニング映像は『A』までと同じくカラフルなバックに80のシルエットが舞うものとなっている。
TALIZMANの歌は第1期ウルトラシリーズの60年代や第2期ウルトラシリーズの70年代とは違った新たな雰囲気を感じる。

 

当時ヒットしていた『熱中時代』や『3年B組金八先生』と同じ学園ドラマ。
お約束通りに始業式に遅刻して生徒に笑われてしまう矢的先生。
一方、体育を担当する相原先生は「何だ、女かよ」と言う生徒の言葉に対して運動神経抜群なところを見せ付けて生徒の人気を得る。
飄々とした校長先生とややヒステリックな教頭先生は短い出番ながらも印象に残る存在であった。
残念ながらノンちゃんは今回は単なる顔見世程度の出番であった。

 

猛のモットーである「一所懸命」を教える場面。
「人には、一生、命を懸けてやらねばならない事があるよな。その大きな目的を達する為には、その人が今いる所で今やっている事に最大を尽くす。一所懸命(ひとところに命を懸ける)。そういう事が必要なんだと僕は思うんだよね」。

 

怪獣出現の可能性を訴えるが生徒に笑われてしまう矢的先生。
始業式でつまずいてしまった為か生徒からの信用や尊敬がまだ無い。
生徒の中ではハカセが早くも目立っている。

 

UGMでもオオヤマキャップの訴えも空しく、隊員達は怪獣出現の可能性を信じないでTVゲームに興じてしまう。
5年間も怪獣が現れなかったので今更現れないだろうと言うのだが特別チームの隊員がそれでは駄目だろう。オオヤマキャップの言う通り、怪獣が現れていなくても誰かが準備しておかなければ大変な事になる。事実、後にクレッセントが出現してもUGMは何も出来なかった。

 

UGMではオオヤマキャップだけが実際に怪獣と戦った事があるそうだ。
前作の『ザ☆ウル』と違って本作は『Q』から『レオ』までのウルトラシリーズと同じ世界観なので、オオヤマキャップは『レオ』のMACの生き残りか防衛軍の隊員だった可能性がある。

 

怪獣が現れなかった期間が「5年」となっているが、これは『レオ』終了から『80』開始までの期間と同じ。この事から『レオ』の最終回「さようならレオ! 太陽への出発」でブラックエンドが倒されてから今回の話でクレッセントが出現するまで地球上に怪獣は現れなかったようだ。

 

怪獣出現の前触れを調査中に出会った猛とオオヤマキャップ。
2人はようやく自分と同じ意見を持った人と巡り会えた。
この時に猛は「地球の人はどうしてこんなノンビリなんですか?」と言ってしまい、オオヤマキャップに「「地球の人」と言っていたけれど、君はまるで宇宙人みたいだね」と突っ込まれてしまう。
オオヤマキャップはレオを始めとしたウルトラマン達を実際に目撃していると思われるので、ひょっとすると、この時既に猛の正体を感じていたのかもしれない。

 

この場面で『80』における怪獣の基本設定が示される。
猛曰く「醜い心や悪い心、汚れた気持ち、憎しみ、疑い、そう言ったものが寄り集まって怪獣が生まれてくる」のだそうだ。
そして2人が危惧した通り、5年振りに怪獣クレッセントが現れる。
尚、『80』の怪獣は劇中テロップで名前が紹介される。

 

80の変身シーンは他のウルトラマンと違ったパターンになっていたのが新作らしくて良かった。最初に人間大で変身してから巨大化するのが細かい。
80の姿を見た生徒達は「ウルトラマンだ」と言って「80」とは言わない。(ナレーションは言っているけれど)
80と怪獣が戦っている間、矢的先生は逃げていたと思われて、後で教頭先生に叱られてしまう。『80』の学園編では矢的先生が途中でいなくなってしまう事がよく突っ込まれていた。これは前作『ザ☆ウル』の影響かな?

 

ナレーションがくどいくらいに「猛はウルトラマンに変身する所を見られたら地球上にはいられなくなる」と言っていたが、いられなくなる理由も言ってほしかった。

 

『80』の第1話はウルトラシリーズでは珍しく「怪獣はもう過去のもので二度と現れる事は無い」と言う平和ボケした世界が舞台になっていて、話の内容もクレッセントの能力よりも「本当に怪獣が再び現れるのか?」に焦点が当てられていた。その為、クレッセントの影が薄くなってしまったところがある。
例えば第2期ウルトラシリーズの第1話は怪獣はずっと存在しているもので今度の怪獣は今までの怪獣より強い能力を秘めていると言う話が多かった。(『A』の「輝け! ウルトラ五兄弟」で怪獣を超える超獣として現れたベロクロン、続く『T』の「ウルトラの母は太陽のように」でその超獣を捕食したアストロモンス、『レオ』の「セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!」でこれまで多くの怪獣や宇宙人を倒してきたセブンを倒したマグマ星人と双子怪獣)

 

オオヤマキャップは校長先生に頼み込んで放課後と日曜日に矢的先生をUGMに借りられるようにする。「これからはUGMと学校の二ヶ所で一生懸命頼むよ」って、いくらなんでも過労で死んじゃうよ。それに教師の仕事は次の日の授業の準備やテストの採点等、放課後や日曜日も忙しいはず。
矢的先生がUGMの隊員である事を他の教師や生徒には隠さなければいけない理由もよく分からない……。
出来れば矢的先生はUGMのアドバイザー辺りにしてほしかったが、この頃はまだ「ウルトラシリーズの主人公は特別チームの隊員でなければならない」と言うお約束を崩す事が出来なかったか……。21世紀のニュージェネレーションヒーローシリーズだと出来そうだが。

 

「こうしてウルトラマン80、矢的猛の物語は始まった」。

 

今回登場したクレッセントは山口修さんがデザインしたウルトラ怪獣第1号である。

 

今回の話はガメラシリーズで有名な湯浅憲明さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。