「死神山のスピードランナー」
『ウルトラマン80』制作第48話
1981年3月11日放送(第48話)
脚本 水沢又三郎
監督 宮坂清彦
特撮監督 高野宏一
マラソン怪獣イダテンラン
身長 52m
体重 2万t
死神山に棲むと言われる足の神様マラソン小僧が怪獣に変身した姿。
村人達は山芋や大根を供えて崇めていて、お礼にマラソン小僧は年に一度村を走り抜け、マラソン小僧の姿を見ると病気等が吹き飛んでしまうらしい。
生意気で挑発好きなところがある。普段は大人しいが、一度怒ると手の付けられない大怪獣イダテンランに変身すると言われている。
速い奴と一緒に走るのが好きで中学校対抗マラソン大会を見に街に降りてくるが、星雲中学校の校長に騙されて学校の名声の為に利用されてしまう。
昔、山犬に足首を噛まれた事があって犬が苦手で、星雲中学校の校長が放った犬に驚いてイダテンランに変身してしまう。
口から突風を吐き、走る際の衝撃波で攻撃するが、80に倒されてマラソン小僧の姿に戻ると死神山に帰って行った。
名前の由来は「韋駄天」と「RUN(走る)」かな。
物語
中学校対抗マラソン大会が迫る中、猛スピードで走る謎の少年が出現。
星雲中学校の校長はその少年マラソン小僧を利用してマラソン大会優勝を狙う。
感想
相撲をマラソンに変えただけで内容は「山からすもう小僧がやって来た」とほぼ同じと思ったら、どちらも脚本が水沢又三郎であった。
それにしてもオオヤマキャップとイトウチーフは日本各地の伝説に詳しいなぁ。
今回は珍しく中学生がゲスト。
正夫とその母親は猛の事を知っているので教師時代の生徒かなと思ったが、正夫は和泉中学校の生徒で桜ヶ岡中学校の生徒ではなかった。残念。
病気の母親は手術に、正夫はマラソン大会に頑張る。
かなり使い古した展開だが素直に感動できる作り。どちらも勝てて良かった。
たかが町内のマラソン大会かと思ったら実は伝統ある有名な大会で優勝したら高校に特待生として入学できるらしい。
優勝して学校の名声を上げようとする星雲中学校の校長。
マラソン小僧に負けた自分の学校の生徒を「負け犬に用は無い」と捨て(アキレス腱切っているんですが)、マラソン小僧を特別待遇で星雲中学校に入学させて、他校の選手である正夫の足首を猛犬ドラゴンに噛み付かせようとする。アンタ、それでも教育者かよ……。
が、因果応報、やはり悪い事をしてはいけないのか、犬に驚いたマラソン小僧はイダテンランに変身して口からの突風で校長を吹き飛ばしてしまった。
「死神走太」は星雲中学校の校長が付けた名前。
イダテンランが死神山では「マラソン小僧」と呼ばれているので「死神山のマラソン小僧」と言う意味で付けられた。「マラソン」と言う言葉って、そんなに昔から日本にあったっけ?
友達になろうとするも子供達にからかわれたマラソン小僧は怒ってイダテンランに変身。走りながら街を壊す壊す。これはイトウチーフが撃つしかないと言うのも仕方が無いかも。
イダテンランは走る為に足が細くデザインされている。足が細いウルトラ怪獣は少ないので結構印象に残る。
今回は口から突風を吐く時に頬が膨らむなど細かい演出があって楽しかった。
マラソン大会でジープに乗ってマサオを応援する猛達。ちょっと邪魔では?
今回の話は本放送時に音声による放送事故が起きたらしい。
今回の話は水沢又三郎(江連卓さん)のウルトラシリーズ脚本最終作となっている。この後、江連さんは『仮面ライダーBLACK RX』のメインライターを務めている。
今回の話は助監督だった宮坂清彦さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。
因みに宮坂監督は『レオ』の「おいらは怪獣大将だ!」に登場した宮坂君のモデルらしい。