「孤高のスタンドプレイヤー ー宇宙量子怪獣ディガルーグ登場ー」
『ウルトラマンメビウス』第19話
2006年8月12日放送(第19話)
脚本 太田愛
監督 小原直樹
特技監督 鈴木健二
宇宙量子怪獣ディガルーグ
身長 54m
体重 3万t
エネルギー波の状態で地球に侵入し、高エネルギー素粒子研究所を狙う。
口から光弾を吐き、角から強力熱線を放つ。
常に3体同時に現れ、3体で一つの実体を持っている。どの個体も三分の一ずつ本物と言う確率論的な怪獣。
メテオールショットで3体を同時に攻撃されて波動関数が収束された事で攻撃可能な一体に実体化した。
実体化した一体はこれまでの個体の3倍の攻撃力を持つが、メビウスブレイブのスピンブレードアタックで倒された。
『マックス』の「燃えつきろ! 地球!!」のモエタランガの着ぐるみを改造している。
物語
街中に3体の怪獣ディガルーグが出現。
CREW GUYSの攻撃が効果を上げない中、ジョージは新兵器メテオールショットを使おうとする。複数の標的を同時に狙えるアメージングトリプルは人間の空間認識能力では扱えないものであった。
感想
「逆転のシュート」で提示されたジョージの問題解決編で、「ひとつの道」と同じくジョージとテッペイの話でもある。ジョージはテッペイの事を色々と気にかけている。兄が弟を導いていると言う感じかな。
今回からオープニングの映像にメビウスブレイブが追加されている。
『メビウス』ではボガールが宇宙から怪獣を呼び寄せ地球に眠る怪獣を目覚めさせたと言う大きな設定があるので、各怪獣は食料やエネルギーを求めている以外の目的はあまり語られていない。
『初代マン』が怪獣が主役で物語も怪獣を中心にしていたのに対し、『メビウス』ではCREW GUYSが主役で怪獣に関する話は必要最小限に抑えられてCREW GUYSの描写に時間が割かれている。
ディガルーグはどの個体も三分の一ずつ本物と言う確率論的な怪獣。何やら『ガイア』に登場しそうな怪獣だ。
そう言えば、『ガイア』で最初に襲来したコッヴが地球に眠っていた怪獣が目覚めるきっかけとなったのと、『メビウス』でボガールが宇宙から怪獣を呼び寄せて地球に眠る怪獣を目覚めさせた事で怪獣頻出期の再来を作り出したのは同じと言える。
街に出現した3体のディガルーグはそれぞれを攻撃しても効果が無く、ジョージは新兵器メテオールショットを使って自分一人で戦おうとする。
それに対してリュウは「結局、スタンドプレーしか出来ないのか!」と糾弾するが、ジョージに「それでも俺はゴールを決めてきた。お前にそれが出来るか?」と言われて黙ってしまう。
CREW GUYSのうち、ジョージは視覚、マリナは聴覚に優れていて、テッペイは豊富な知識を持ち、コノミも今やマケット怪獣の使い手、(リュウは知らないが)ミライは実はウルトラマンである、とリュウだけ特別な能力を持っていない。「特別な能力を持たない自分にはジョージやマリナの気持ちは分からない」と言うリュウだが、サコミズ隊長に「他人に理解されない気持ちは誰も同じはず」と諭される。
ミライは「事情をきちんと話せば皆も分かってくれるはずなのにどうして話さないのか」と詰め寄るが、ジョージは「自分に見えているものは他の人間には見えない」と答える。
普通の人間を超える動体視力と空間認識を持ったジョージは他人に理解されない事に慣れるしかなかった。これは人間の中で生きるウルトラマン達と同じ悩みと言える。(なので、ジョージを問い詰めるミライの台詞はウルトラマンであるミライ自身に跳ね返ってくるところがある)
普通の人間に合わせられないのならサッカーではなくボクシングや柔道を選べば良かったのにと語るリュウ。他の人間とは違っていてもそれでも他の人間と一緒にするスポーツを選んだジョージはあえて人間に変身したり人間と一体化したりして人間と一緒に生きる事を選ぶウルトラマン達に通じるものがある。
後半の戦いで自分を取り囲む3体のディガルーグをジョージが不敵な笑みで見回すカットがカッコ良い。
ディガルーグの攻撃から逃げるリュウとジョージのやり取りが面白い。
ウルトラシリーズの特別チームは上司と部下や先輩と後輩と言ったように隊員間の序列がハッキリしているのだが、CREW GUYSのリュウ、ジョージ、マリナの3人は対等の立場でやり取りをしている。
メビウスブレイブに変身してからのメビュームナイトブレードを使った防御と反撃と回転しながらの決着の一撃と言う戦いの流れが完璧でカッコ良かった。