帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「虚空の呼び声」

「虚空の呼び声 ー高次元捕食獣レッサーボガール登場ー
ウルトラマンメビウス』第21話
2006年8月26日放送(第21話)
脚本 谷崎あきら
監督・特技監督 村石宏實

 

高次元捕食獣レッサーボガール
身長 2~47m
体重 200kg~4万7千t
怪獣墓場の中にある小惑星に生息していた。
仲間の死骸を食べる事で急激に質量を増大させる。
ガンフェニックスストライカーのバリアントスマッシャーを相殺する程の威力を誇る破壊弾を手から放つ。
アランダスの調査に来たCREW GUYSを襲撃するが、メビウスブレイブのメビュームナイトブレードで倒された。
ボガールモンスと『コスモス』の「妖怪の山」のマハゲノムの着ぐるみを改造している。

 

マケット怪獣リムエレキング
身長 40cm
体重 4kg
フェニックスネストに残ったジョージ達と一緒にガンフェニックスストライカーから送られてくる映像を見ていた。

 

物語
半年前に火星から地球に帰還する途中で遭難した日本の宇宙貨物船アランダス。
宇宙空間に発生したウルトラゾーンの中からアランダスの遭難信号が確認された。
皆がリスクを前に躊躇する中、ミライは助けに行くべきだと強く訴える。

 

感想
実は今まで説明らしい説明が無かったミライの設定が明かされる話。

 

地上10万kmの空間に発生が捉えられたウルトラゾーンは怪獣頻出期に何度か観測された空間の歪みで現代科学をもってしても未だ解明されていなかった。
ウルトラゾーンの先は宇宙に追放された怪獣達の眠る場所として昔から囁かれている伝説の怪獣墓場に通じていて、今回は懐かしのシーボーズの他に新顔としてインセクタスの存在が確認されている。
ウルトラシリーズでは「怪獣墓場」は何度か取り上げられているが、「ウルトラゾーン」については今回と『初代マン』の「怪獣墓場」ぐらいでしか触れられていない。因みに後に『ウルトラゾーン』と言う作品が作られる事になるが、それはまた別のお話。

 

GUYS総本部はCREW GUYSにアランダスの遭難信号が確認されたウルトラゾーンへの調査の優先権を認める。おそらくこれはサコミズ隊長が総監の地位を使って裏に手を回したと思われる。

 

「宇宙には宇宙の掟がある」と訳の分からない事を言い出すジョージ。海だけでなく宇宙も苦手なようだ。息が詰まる感覚が苦手なのだろうか?
ところが「ファントンの落し物」ではガンローダーに乗って宇宙空間にいたりする。う~ん、まだ地球の近くだったから大丈夫だったのだろうか?

 

ガンウインガー、ガンローダー、ガンブースターの3機が合体した究極形態ガンフェニックスストライカーが登場。しかし、ガンブースター単機で大気圏脱出が出来るのでわざわざ合体する必要が無く、合体したのにレッサーボガールとの戦いでは大した活躍が無かったのでイマイチ印象が薄かった。
今回より「宇宙の剣豪」でオオシマ彗星迎撃の場面で出した方が目立った活躍が出来たかも。

 

怪獣墓場の中には小惑星があり、その小惑星は地球と同じ環境が整っていた為、CREW GUYSは「まるで獲物がかかるのを待つ蜘蛛の巣」と感想を述べる。設定的に『ダイナ』の「幻の遊星」を連想させるが、この小惑星も何者かの意思が関わっていたのだろうか? よく考えたら、この時期にウルトラゾーンの扉が開いた原因も不明だったりするし……。

 

小惑星でアランダスを発見するも生存者は見付けられなかった。
ミライは「遺体が無いから生きているかもしれない」と訴えるが、結局、バン・ヒロトの生存は確認できなかった。では、どうして遺体が無かったのかだが、レッサーボガールの習性から「喰われてしまった」と考えられる。ウルトラマンと関わった人間でここまで惨い死を迎えた人物は他にいないだろう。まさに虚空、その空間には何も残されてはいなかった。

 

アランダスの内部にはバン・ヒロトが発した遭難信号とバン・ヒロトがアランダスの乗組員を助ける時の映像が残されていた。
遭難信号のバン・ヒロトの声を聞いたマリナは何か引っかかりを感じる。おそらくそれはミライと同じ声だったからであろう。この事からマリナがミライの正体を見抜く可能性が生じたが、他の作品に比べてミライの正体バレが早かった事もあって、実際はマリナが見抜く前にミライの正体が明かされる事となった。
映像記録の方はノイズが激しくてバン・ヒロトの顔は判別できなかったが、もしジョージがいれば判別できたかもしれない。

 

蜘蛛が苦手だったマリナはレッサーボガールを蜘蛛だと思って叫び出す。
レッサーボガールは蜘蛛には見えないが、この小惑星に降り立つ前に「蜘蛛の巣のようだ」と言う話が出ていたので、マリナは頭のどこかで蜘蛛の事を考えてしまっていたのかもしれない。

 

レッサーボガールとの遭遇は「捕食を目的とした怪物が忍び寄ってくる」と言うアメリカのモンスター映画を思わせる展開。こういう展開ではモンスターの姿をあまり映さないのがセオリーなのだが、あっさりとレッサーボガールの全身を見せた上にすぐに見通しが効く広い場所に移ってしまった為、いまいちサスペンスが盛り上がらなかった。もう少しアランダス内部の場面を増やしてほしかった。

 

ウルトラゾーンの扉が閉まっていく中、レッサーボガールから皆を守る為にミライは小惑星に残る事に。バン・ヒロトと同じ状況にリュウは「自分が犠牲になろうだなんて考えていないだろうな」と言い、ミライは「皆で帰るんです! 一人も欠けずに! 僕達の時を止めさせやしません!」と答える。
その後、メビウスの登場を確認したサコミズ隊長は「今はミライの事は忘れて、ウルトラゾーンから脱出する事だけ考えろ」と命令し、それを聞いたリュウは「仲間を見捨てろと言うんですか?」と不満を顕わにする。ここはメビウスの正体がミライだと知っているサコミズ隊長と知らないリュウの違いが出たと言える。緊急事態で余裕が無かったとは言え、サコミズ隊長にしては説得が上手くなかった。
ウルトラマンが地球人に自分の正体を秘密にしている理由はいくつかあるが、このように正体を秘密にしている事で逆にチームに混乱や衝突が生じさせてしまう事も多々ある。

 

今回のレッサーボガールとの戦いはメビウスにとってバン・ヒロトの弔い合戦、復讐戦と言える。
ツルギはアーブの民を喰ったボガールに対して復讐心を露わにしていたが、メビウスはバン・ヒロトを喰ったレッサーボガールに対してどのような感情を抱いていたのか、今回はミライとCREW GUYSの仲間達が一緒に生還すると言う部分がメインになっていて、その辺りはあまり深く描かれなかった。

 

レッサーボガールとの戦いを終え、ウルトラゾーンからも無事に帰還したCREW GUYS。ミライと仲間達の時は止まる事は無かった。しかし、アランダスの中で見付けたバン・ヒロトの形見の懐中時計の時は止まったまま……。

 

今回と次回の「日々の未来」は「遭難した宇宙船を救助する為に特別チームが宇宙に出る」「敵が別の惑星と地球の二ヶ所で暴れる」と『初代マン』の「科特隊宇宙へ」を思い出す作りになっていて、遭難したバン・ヒロトの生死が不明だったのも「科特隊宇宙へ」の毛利博士に通じるものがあるとも言える。