帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「明日への飛翔」

「明日への飛翔 ーミサイル超獣ベロクロン登場ー
ウルトラマンメビウス』第26話
2006年9月30日放送(第26話)
脚本 小林雄次
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

ミサイル超獣ベロクロン
身長 55m
体重 4万4440t
ドキュメントTACとドキュメントZATに記録がある超獣。
完成したディメンショナル・ディゾルバーを狙って異次元から襲撃してきた。一度はサコミズ隊長が放ったリージョン・リストリクターで迎撃されるも後に再び現れる。
全身からミサイルを放つが、フライトモードになったフェニックスネストのフェニックスキャノンが放ったディメンショナル・ディゾルバーによって異次元ゲートを消滅させられ、自身もガンフェニックスストライカーのインビンシビルフェニックスとメビウスのメビュームシュートを受けて倒された。

 

マケット怪獣リムエレキング
身長 40cm
体重 4kg
コノミに抱かれてフェニックスネストのフライトモードの説明を聞く。

 

物語
異次元ゲートを封鎖する事が出来るディメンショナル・ディゾルバーが完成。GUYSは総力を挙げて超獣殲滅の最終ミッションの準備に入るが、それを察知したヤプールが先手を打ち、サコミズ隊長が負傷してしまう。
隊長不在の中、CREW GUYSはどう戦う?

 

感想
ヤプール三部作の完結編。
異次元に連れ去られたリュウの服に付着していた異次元物質から構造サンプルが手に入り、この構造を破壊する事で異次元へのゲートを封鎖し超獣の侵入を半永久的に阻止する事が出来るディメンショナル・ディゾルバーが完成する。

 

フェニックスネストにはフライトモードがあった。
これはGUYS総本部と極一部の人間だけが知っているトップシークレットでトリヤマ補佐官も知らない情報であった。
重要な位置なのにここまで重要機密から外されているトリヤマ補佐官が哀れだ。確かにうっかりミスの多い人だが、やる事はやる人だと思うんだけどな……。

 

ミサキ代行とフジサワ博士は昔からの知り合いで、新型メテオール開発の為にフジサワ博士に協力を仰いだのはミサキ代行であった。
今まで仕事関係しか描かれなかったミサキ代行だが、フジサワ博士との絡みで年相応の部分も見られるようになった。

 

コーヒー嫌いを公言しているフジサワ博士は普段は飄々としているサコミズ隊長が珍しく狼狽する程の相手。
サコミズ隊長の事を「サコちゃん」と呼んでいるので、『メビウス&ウルトラ兄弟』のジングウジ・アヤと同じくサコミズ隊長の秘密を知っているのではないかと思われたが、そうではなかった。ジングウジ・アヤが「サコっち」と呼ぶのは彼女の祖父とサコミズ隊長の人間関係からであったが、フジサワ博士が「サコちゃん」と呼ぶのは彼女自身のキャラクターからであった。

 

完成したディメンショナル・ディゾルバーを狙って異次元からベロクロンが襲撃し、サコミズ隊長はリージョン・リストリクターで迎撃するも負傷してしまう。
メテオール研究施設を狙って来た事でフジサワ博士はヤプールが本気で攻めてくる事を悟る。
フジサワ博士によると、次に異次元ゲートが開くのは4時間後との事。これはリージョン・リストリクターの効力が保たれる時間だと思われる。

 

フェニックスネストのフライトモード運用指揮権を持っているのはサコミズ隊長一人だけ。そして、ディメンショナル・ディゾルバーはフェニックスキャノンでなければ発射できない。サコミズ隊長が指揮を執れない状態に陥ったのでGUYS総本部は他の作戦を立案する事に。それを聞いたCREW GUYSは「このままではヤプールを迎撃できなくて負けてしまう」「このままやられるのを待つしかないのか」とミサキ代行に詰め寄る。
う~ん……。既にバキシムやドラゴリーを倒しているし、リージョン・リストリクターも装備しているのだから、ベロクロン1体なら現状のCREW GUYSでも十分に戦える気がする。
後に予想以上のヤプールエネルギーが検出されて複数の超獣が現れるかもしれないと言う展開になるが、その説明を最初にして状況を緊迫させた方がここのやり取りは自然になったと思う。

 

不安を口にするCREW GUYSに向かってミサキ代行は「大丈夫。あなた達は私が死なせない」と笑顔で答える。
フライトモードの運用指揮権はサコミズ隊長の他にミサキ代行も持っていた。この事からフライトモードの運用指揮権はGUYS JAPAN総監とその代行に与えられていたと推測できる。
だったら、どうしてトリヤマ補佐官には与えられていなかったのかだが、ひょっとしたら、能力が理由ではなく、ウルトラマンと適切な関係を築ける人間がどうかが理由だったのかもしれない。トリヤマ補佐官はメビウスに頼り切ったり、一方でヒカリに対して不信感を露わにしたりしていたので、この時はまだトリヤマ補佐官にサコミズ隊長の秘密やウルトラマンとの関係を明かすべきではないと判断されていたのかもしれない。

 

ミサキ代行はGUYS総本部の意思に逆らって自分一人でフェニックスネストを飛ばしてヤプールを迎え撃つつもりだった。
……決死の想いにツッコミを入れて申し訳ないが、フェニックスネストは一人で飛ばせるものなのか? 仮に飛ばせても一人で勝てるのか?
「一人で飛ばす」と言ってもさすがに整備班の手を借りなければ実際に飛ばす事は出来ないはずだし、一人で操縦しながらフェニックスキャノンを発射する事は不可能だろう。
ミサキ代行はCREW GUYSを作戦から外そうとしていたが、それでは戦力を外した状態で敵に立ち向かう事になるので失敗のリスクが増してしまう。悪いがそれでは責任を取るとは言えない。無謀な作戦で皆を危険に陥れているだけだ。
不死鳥の砦」でもそうだったが、どうもGUYSは他の人の手を借りないで自分一人で全てやる事で責任を果たす事になると勘違いしている節がある。地球全体を守る組織に所属する人間としては問題がある考えだと言える。

 

ムッとしたり呆れたりする事もあるが基本的にいつも笑顔のミサキ代行。
フジサワ博士によると、あの笑顔は誰よりも皆の事を思っているからこそのもので、自分が一番辛くても笑顔で皆を励ましていたとの事。
しかし、一人でフェニックスネストを飛ばそうとするミサキ代行に向かってアライソ整備長は「あなたはいつも笑顔で彼らの成長を見守ってきた。あなたが信じられずに、今、誰が彼らを信じてやるんです?」と言って、CREW GUYSと共に戦う事を促す。
そして意識が不確かな中でサコミズ隊長は「GUYS Sally Go」と告げ、CREW GUYSは「G・I・G」と引き受ける。そのやり取りを見たミサキ代行はかつてGUYS JAPAN総監と会った時に言われた「あなたの笑顔が誰かの希望になる事もある」と言う言葉を胸にCREW GUYSに未来を託す事を決める。
立場上、今まではCREW GUYSと少し離れた位置にいたミサキ代行が真の意味で皆と一緒になった場面。

 

危機に対してフェニックスネストを動かす展開は「宇宙の剣豪」に近いが、今回は整備班も関わっているので総力戦と言う感じがより強く出ている。
アライソ整備長のような位置の人間がいると特別チームのドラマはグッと引き締まる。
「フェニックスネストを飛ばすのは私の腕一つではない、パイロットの操縦技術だけでもない、もっと大事なものがある」。

 

『ネクサス』からCGIモーションディレクターとして板野一郎さんが参加しているが、今回はミサイル超獣ベロクロン登場と言う事で納豆ミサイル大活躍の回となった。

 

ベロクロンの上空に新たな空間のヒビが現れ、予想以上のヤプールエネルギーが検出されたのを受け、ミサキ代行は一時退却を求めるがCREW GUYSは戦う事を選択する。
リュウ「これは俺達の戦いなんだ! 皆、思い出せ! 自分が、俺達が今、なんでここにいるのか!」、
テッペイ「僕らが……」、
コノミ「ここにいる意味……」、
ジョージ「俺達にはある!」、
マリナ「守るべきものが!」、
ミライ「そうです! だから僕達は戦える!」、
リュウ「皆、諦めるな!」、
サコミズ「そうだ。諦めるな。君達の想いはヤプールなんかに負けはしない。君達が心を一つにすれば、大切なものは……必ず守れる!」。
ここでCREW GUYS一人一人に回想シーンが入り、自分が今まで戦ってきた想いを再確認する。これは『メビウス&ウルトラ兄弟』にあったウルトラ兄弟の回想シーンと対になっていて、映画ではウルトラ兄弟の、TVのヤプール三部作ではCREW GUYSの想いがドラマの軸になっている事が分かる。
そしてフェニックスネストはフライトモードに移行してフェニックスキャノンでディメンショナル・ディゾルバーを放って異次元ゲートを消滅させ、残されたベロクロンをガンフェニックスストライカーのインビンシビルフェニックスとメビウスのメビュームシュートで倒すのだった。

 

勝利に笑顔で喜ぶ皆。しかし、今回は異次元ゲートを消滅させただけで、ゲートの向こう側にいるヤプールは健在である。
ヤプール三部作で実際にヤプールが出たのは最初の「復活のヤプール」だけで、それ以外の話では超獣は倒されてもヤプール自身がダメージを負う描写は無かった。
そして、後にヤプールはまたもや甦る事になる……。

 

ところでリュウさん、「隊長の仇討ちだ!」と何度も叫んでいたが、サコミズ隊長は死んでいませんよ。

 

作戦終了後、ミサキ代行は報告書を作成する。
「総監殿。私は今日、最高のチームとミッションを共にしました。あなたの笑顔が誰かの希望になる。総監はそう仰いましたね。けれど、私は気付いたのです。彼らの存在が私の笑顔の糧となっていると言う事に。彼らと共にこの地球を守れる事を私は誇りに思います。CREW GUYS JAPAN総監代行ミサキ・ユキ」。
そして少し考えてミサキ代行は最初の「総監殿」を「親愛なる総監殿」に書き換えて笑顔になるのであった。