「激闘の覇者 ープロトマケット怪獣ゼットン登場ー」
『ウルトラマンメビウス』第27話
2006年10月7日放送(第27話)
脚本 谷崎あきら
監督・特技監督 小中和哉
ウルトラの父
身長 45m
体重 5万t
3万年間痛まなかった古傷が痛んだ事を何かの前触れではないかと考え、メビウスについてある決断を下そうとする。
ウルトラの母
身長 40m
体重 3万2千t
父の古傷が痛んだ事を知り、何かの前触れではないかと考える。
プロトマケット怪獣ゼットン
初代マンを倒した忌まわしい敵。
口から吐く火球、バリアー、テレポーテーションを駆使して相手を倒す。
シミュレーション用であったがリセットを受け付けず仮想空間で破壊活動を続け、フェニックスネストのシステムに異常を起こした。
真上にバリアーを展開する事が出来ずメビウスの流星キックを受けた後、ミクラスに捕らえられて電撃を浴び、能力発動のポーズが取れないところをウィンダムのレーザーショットを受け、最後はメビウスのライトニングカウンター・ゼロを受けて倒された。
プロトマケット怪獣ウルトラマンメビウス
他の怪獣と同じくメビウスのデータを基にマケット怪獣化された。
威力までは完全再現できなかったが本物のメビウスに近い戦闘能力を持つ。
暴走したマケットゼットンを倒す為に仮想空間に送られるがCREW GUYSの指示のミスで倒されてしまう。
プロトマケット怪獣グドン
テッペイが選んだマケット怪獣で、トリヤマ補佐官が選んだマケットゼットンと対戦する事になるが不意打ちを受けてあっという間に倒されてしまった。
マケット怪獣ミクラス
身長 ミクロ~40m
体重 0~2万t
最初の頃はコノミにしか懐かなかったが最近はマリナ達にも懐いて来たらしい。
マケットゼットンに苦戦するメビウスを援護する為に送り込まれ、ウィンダムと力を合わせてメビウスを助ける。
マケット怪獣ウィンダム
身長 ミクロ~40m
体重 0~1万t
CREW GUYSの男性陣によるとミクラスと違って聞き分けが良いらしい。
マケットゼットンに苦戦するメビウスを援護する為に送り込まれ、ミクラスと力を合わせてメビウスを助ける。
マケット怪獣リムエレキング
身長 40cm
体重 4kg
エレキングのマケットカプセルに反応を示す。
物語
ヤプールとの戦いも一段落付いたところで、トリヤマ補佐官が面倒臭がって放っておいたマケット怪獣の試作品の評価検討を行う事になる。
CREW GUYSが数多くあるマケット怪獣を前にして色々と議論を重ねていると、実際にシミュレーションで戦わせてみようと言う話になり……。
感想
総集編であるが、プロトマケット怪獣を使った怪獣バトルが行われる等、遊び心に溢れた話。怪獣オタク・テッペイ大活躍編でもある。
2006年10月放送分の第27話から第30話には冒頭にナレーションが加えられている。
「今からちょうど40年前、地球は怪獣や侵略者の脅威にさらされていた。人々の笑顔が奪われそうになった時、遥か遠く光の国から彼らはやって来た。「ウルトラ兄弟」と呼ばれる頼もしいヒーロー達が。そして今、ウルトラの父は一人の若き勇者を地球へと送った。その名は……」。
第1話のオープニングナレーションにしても良いと思えるほど『メビウス』の作品世界を分かりやすく紹介している。
今回からオープニングの映像にフェニックスネストのフライトモードが追加されている。
又、主題歌が1番から2番に変更されている。
「虚空の呼び声」でのウルトラゾーンや「時の海鳴り」でのクロノーム出現はヤプールを甦らせようとしている何者かの力が働いた結果ではないかと考えるミライ。
「運命の出逢い」でレッサーボガールの同類であるボガールが地球にやって来たのも実は何者かが裏で糸を引いていたと仮定すると、地球が再び怪獣頻出期に陥ったのは何者かの仕業であったと考える事が出来る。
その何者かの正体がエンペラ軍団である事が判明するのはもう少し後の話であるが、ウルトラの父の3万年前の古傷が痛んだ事からこの時点でも予想は付くようになっている。
『メビウス&ウルトラ兄弟』に登場した宇宙人連合はエンペラ軍団とは無関係のように見えるが、目的がヤプールを甦らせる事で、エンペラ星人に近い存在であるテンペラー星人がメンバーに加わっていた事から、エンペラ軍団が間接的に関わっていた可能性がある。
次々と起こる事件に対して、新たなマケット怪獣を選抜して戦力増強を図る事になる。
と言っても、実はマケット怪獣の試作品を評価検討して報告書をまとめなければいけないのにトリヤマ補佐官が面倒臭がっているうちにGUYS総本部から督促状が届けられてしまったと言うのが真相だったりする。
テッペイの説明によると「グドンは34年前に奥多摩で初めて確認された」となっている。これは1971年を舞台にした『帰マン』の「二大怪獣東京を襲撃」と「決戦! 怪獣対マット」の事。しかし、『メビウス』は2006年が舞台なので34年前は1972年になってしまう。
ひょっとしたら『メビウス』は2006年ではなくて2005年が舞台なのではないかと考えてみたが、「運命の出逢い」で1981年を舞台にした『80』の「あっ! キリンも象も氷になった!!」から25年振りに怪獣が現れたとなっているので、やはり2006年が舞台と言う事になる。
と言うか、「1981年の話が25年前」で「1971年の話が34年前」と言うのは明らかにおかしい。辻褄を合わせるとするなら、『メビウス』において『80』は放送された時代を舞台にしているが、第2期ウルトラシリーズは放送された次の年を舞台にしていると言ったところであろうか。どうして、こんなややこしい事になっているのだろうか?
ここからは『メビウス』で戦った怪獣達がマケット怪獣に相応しいかどうかの検討。
グドンは地底怪獣だがマケット怪獣の運用時間は1分間なので地底で時間切れになったらかなわないとして却下。
バードンは毒を吐くので環境に悪いとして却下。
ツインテールはグドンにボガールにと食べられる餌としての印象が強いので却下。
ベムスターは喰われかけたマリナが嫌がって却下。
結論として、敵としては厄介だが味方となれば意外と使えないとして殆どが却下となってしまった。話を聞いていると、使い方によっては何とかなるのではないかと思わなくもないのだが……。
その後もゼットンは初代マンを倒した忌まわしい敵なので却下。
メビウスもミライが不満を漏らし、サコミズ隊長がメビウスがビックリするから止めようと言う事で却下に。
ゼットンは使いこなせば強力だったのだろうが、使いこなせていなかったので見送られるのも仕方が無い。
メビウスに関しては、自分のコピーが使われるのはウルトラマンでも心情的に駄目だったのだろう。
プロトマケット怪獣はシミュレーション用なので実体化はしないがゲームのように対戦させる事は可能となっていた。
この「ゲームで怪獣同士を戦わせる」と言うアイデアは後の大怪獣バトルシリーズを思わせる。
マケットゼットンによってフェニックスネストのシステムが破壊されていく展開は『ガイア』の「新たなる戦い」を思い出させる。
仮想空間での戦いは『電光超人グリッドマン』のオマージュとなっている。
仮想空間で戦うには自分自身を数値化するしかなく、負けたら二度と帰って来れないとミライが決断する場面は『セブン』の「悪魔の住む花」が元ネタと思われる。
仮想空間に現れたマケットゼットンはリセットされずに破壊活動を始め、フェニックスネストのシステムに異常を起こさせる。ネットワーク内にも侵入されてGUYS始まって以来の危機到来となった。
尚、マケットゼットンが暴走した原因はトリヤマ補佐官がマケットゼットンのマケットカプセルを落としたからと言われているが、仮にもメテオールがそのくらいで壊れるとは考えにくい。今回は色々な事件の裏で糸を引いている何者かの存在が語られているので、マケットゼットンの暴走もその何者かの仕業である可能性がある。
実際、次の「コノミの宝物」に登場したノーバはマケット怪獣の仕組みを理解していたので、この時点でマケット怪獣に細工がされていても不思議ではない。
マケットゼットンの暴走を止めるにはシミュレーションの中でマケットゼットンを倒すしかない。そこで選ばれたマケット怪獣はなんとメビウス! 「メビウスの戦いをミライが見る」と言うありえない構図が面白い。
この戦いは『初代マン』の「さらばウルトラマン」を再現したものになっている。
皆が色々と口出ししたせいでマケットメビウスは負けてしまった。素直にテッペイ一人に指示を出させていれば勝てたかもしれないのに。
本物のメビウスとマケットゼットンの戦い。
皆の声援でメビウスは立ち上がるが、まぁ、とりあえず、リュウさん、ちょっと煩い!
今回のマケットゼットンは真上にバリアーを展開する事が出来ず、ジョージの声援を受けたメビウスはジャックの流星キックを放つ。
そう言えば、マケットゼットンはテレポーテーションを使用していたが、ゼットンがテレポーテーションを使用するのはかなり久し振りだったりする。
マケットメビウスは『初代マン』の「さらばウルトラマン」と同じように負けてしまったが、本物のメビウスは流星キックやマケット怪獣(カプセル怪獣)と言った『セブン』や『帰マン』の要素を使って勝利を収めている。
結局、使えるマケット怪獣はミクラスとウィンダムと言う結論になり、以後、マケット怪獣が追加される事は無かった。個人的にはここでアギラを追加してカプセル怪獣3体揃い踏みをしてほしかった。
マケットゼットンとの戦いを終えたミライは仲間達との絆の力を感じ、地球に来て良かったと思う。しかし、ウルトラの父はメビウスについてある決断を下そうとしていた。