帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ミライの妹」

「ミライの妹 ー土塊怪獣アングロス サイコキノ星人登場ー
ウルトラマンメビウス』第36話
2006年12月16日放送(第36話)
脚本 赤星政尚
監督・特技監督 村石宏實

 

念動宇宙人サイコキノ星人
身長 155cm
体重 44kg
自分達の超能力を使って色んな星でイタズラをしている。ミライによると「発達した超能力で自分達の星を失い、その寂しさから他の星でイタズラをしている不幸な宇宙人」との事。
時空波に呼ばれてメビウスを倒す為に地球に来た。
一人の少女はメビウスに変身する前のミライの状態だったら簡単に倒せるとして「ミライの妹」を名乗って近付き、リュウによって「カコちゃん」と言う名前を付けられる。
CREW GUYSとの触れ合いで心が揺らぎ、最後はメビウスに時空波の存在を教えて地球を去った。

 

土塊怪獣アングロス
身長 43m
体重 3万t
生体反応が無く、構成物質の大半が鉱物粒子と言う泥人形。サイコキノ星人によって操られている。
鼻先にあるドリルが武器。サイコキノ星人によってさらに凶暴化させされ、背中にも新たな角が生えた。
サイコキノ星人の超能力の援護を受けてメビウスを生き埋めにするが最後はメビュームシュートで倒された。

 

マケット怪獣ミクラス
身長 ミクロ~40m
体重 0~2万t
メビウスの援護に現れ、アングロスによって生き埋めにされたメビウスを掘り出す。

 

物語
アングロスを取り逃がしたミライは現場近くで倒れる一人の少女を発見して保護する。
少女は自分は「ミライの妹」だと名乗る。果たして彼女の目的は?

 

感想
ウルトラシリーズと言えば「ウルトラ兄弟」と言う「兄と弟」の関係が多いのだが、今回はミライ(未来)と言う名前からカコ(過去)と名付ける事になったので「弟」ではなくて「妹」の登場となった。
そう言えば、『メビウス』は第2期ウルトラシリーズをベースにしているが、次郎君やダン少年のような一般人のレギュラーはいなかった。地球の常識に疎いミライに一般人の感覚を教える意味でも一般人レギュラーがいても良かったかもしれない。

 

ミライの妹なのでカコちゃん。
相変わらず素晴らしいネーミングセンスを持つリュウさんだが、即興でミライに関係した名前で尚且つ女の子用の名前を思い付いたのはさり気に凄い。

 

トリヤマ補佐官のインタビューが掲載されている雑誌の表紙はヒッポリト星人。今回は『A』絡みの台詞があるので選ばれたと思われる。
後の「皇帝の降臨」は『A』の「全滅! ウルトラ5兄弟」「奇跡! ウルトラの父」のヒッポリト星人戦と同じように地球人が侵略者に屈してウルトラマンを追い出そうとする話であったが、その時にミライの引き渡しを拒むのがトリヤマ補佐官になるとは、この時の言動を見ているととても信じられない。(さらに言うなら「絶望の暗雲」でエンペラ星人の攻撃を受けたカコちゃんを真っ先に助けに行ったのもトリヤマ補佐官だったりする)

 

「はた迷惑な宇宙人などいなくなれば良い」と言うトリヤマ補佐官の発言にミライは怒りを覚えるが実際に手を出す事は無かった。しかし、そんなミライの気持ちを代弁してか、カコちゃんは超能力でトリヤマ補佐官にイタズラをする。
「人間には何の力も無い」と言うカコちゃんに対し、ミライは「だからと言って好き勝手やって良い理由にはならない。この星にはこの星のルールがある。この星で過ごす以上、僕達宇宙人はそのルールを守らなければならない。それが他人の星で過ごすと言う事だ」と注意する。
ここでのミライの注意に何か違和感を覚えると思ったが、実はカコちゃんは「地球で過ごしたい」とは一言も言っていない。それなのに「地球で過ごすのなら……」と説教しても、カコちゃんは「そんなつもりは元々無い」と思った事であろう。先輩達が過ごした地球を神聖視しているミライと、そう言ったものが一切無いカコちゃんとの間にある決定的な溝と言える。

 

カコちゃんが友好的な理由で地球に来ていない事は分かっているミライ。それでもミライがカコちゃんを庇うのは自分とカコちゃんが「兄妹」だから。
過去に地球に訪れた大先輩が地球の少年と兄弟になる約束を交わしたらしく、その話が伝わってから光の国では「兄弟」と言う言葉が特別な意味を持つようになった。「兄弟」と言う言葉が人間とウルトラマンの繋がりを生んだ。それが自分達にとって凄く嬉しい事だと語るミライは自分の妹を名乗るカコちゃんを信じたいと願うのだった。
ここでミライが言う大先輩とは誰の事か。「ウルトラ6番目の弟」であるダン少年と北斗星司(エース)の話に思えるが、『A』の頃には既に「ウルトラ兄弟」と言う言葉があったので時系列的に怪しい。
それなら『帰マン』の郷秀樹(ジャック)と次郎君の事だろうか。「バルタン星人Jrの復讐」では二人は兄弟にはなれないと言う話だったが最終的には兄弟のような関係になっている。次郎君の兄代わりになったのはジャックではなく郷秀樹の意識だと思うが、最終的に郷秀樹とジャックの一体化が進んだので、郷秀樹とジャックを同一視しても問題は無いと思う。
時期的にも『帰マン』の「ウルトラの星光る時」では出なかった「ウルトラ兄弟」と言う言葉が最終回の「ウルトラ5つの誓い」で出てきたのは『帰マン』第4クールでの郷秀樹(ジャック)と次郎君の関係が光の国に伝わったからと解釈する事が出来る。

 

「サイコキノ星人は自分達の星を持たない寂しさからイタズラを行っている可哀相な宇宙人」と言う話を聞いたサコミズ隊長はミライの事を「優しい」と評し、「妹の面倒は兄がしっかりと見なければいけない」として、カコちゃんがフェニックスネストに滞在できるよう手続きをする。思うにこの時点でサコミズ隊長は結末がある程度予測出来ていたのだろうな……。
自分達の星を持たない寂しさからやさぐれていくのは、親を亡くした寂しさから自暴自棄になった『A』のダン少年を思わせる。

 

トリヤマ補佐官はカコちゃんを怪しんで捕えようとするが、怒ったカコちゃんは超能力で反撃。止めようとするミライに向かって「私にこの力を使うよう仕向けたのはその人間の方じゃないか」「自分達はどこに行っても厄介者扱い」と言って逃げ出す。
そしてサイコキノ星人として本来の目的であるウルトラマン打倒を明かしたカコちゃんはアングロスを再び出現させる。カコちゃんの超能力で動きを止められたメビウスはそのままアングロスによって生き埋めにされてしまう。
メビウスは「この力を違う目的で使えば今とは違う生き方が出来る。力を正しく使えば色んな星の人達ときっと仲良くできる」と説得。さらに「CREW GUYSの皆は宇宙人とか関係無しに親身になってくれた」と言うミライの言葉にカコちゃんは昨日の歓迎パーティーや寝る時にコノミからパジャマを貰った事を思い出す。そしてカコちゃんは姿を消し、メビウスに掛けられた超能力も解かれ、メビウスは地面から脱出してアングロスを倒すのだった。
超能力を持っていても行動によって皆に受け入れられるようになったと言うのは他ならぬメビウスが実践している事。カコちゃんが宇宙人でもCREW GUYSが受け入れたのは兄であるミライの存在があった。又、個人的には「怪獣使いの遺産」の時の過ちを反省してとも思いたい。
そして今度もミライ関係の話で重要な役割を担うコノミであった。

 

「優しさを失わないでくれ。弱い者をいたわり、互いに助け合い、どこの国の人達とも友達になろうとする、その気持ちを失わないでほしい。たとえその気持ちが何百回裏切られようとも……」。
事件が終わった後、サコミズ隊長はドキュメントTACに記録されているエース最後の願いをサイコキノ星人に裏切られたミライに伝え、ミライの言葉が通じたからカコちゃんは超能力を解いたのだと慰める。
劇中のカコちゃんの言葉を聞くに、サイコキノ星人は何度か裏切られた事からあのような性格になったと思われるので、そんなサイコキノ星人にこそエース最後の願いを伝えてほしかったなとも思う。

 

時空波によって円盤生物や宇宙人が地球に襲来するようになった事が明かされる。
時空波がどの時期から発せられていたのかは不明。ひょっとしたら、ボガールも時空波によって地球に引き寄せられていたのかもしれない。
この時空波の設定だが、出来れば前回の「群青の光と影」で調査に向かったヒカリに謎を解いてほしかったところ。(ヒカリの次の登場が最終決戦の最中だったのでヒカリの調査結果は結局不明だった)

 

カコちゃんの話から時空波の存在を知ったCREW GUYSはミライに今回の話のような思いを二度とさせない為にも時空波の出所を突き止めようと誓う。時空波の存在は地球全体の危機でもあるのだが、それをミライの危機と捉えるのが『メビウス』らしい。
正体を明かしたので仕方が無いのだが、『メビウス』は物語の視点がウルトラマンに偏り過ぎているところがある。

 

今度はどの星で暇を潰そうかと話し合うサイコキノ星人。
ミステラー星とアテリア星の戦争をもっと悪化させようか、バルダック星でまた雪崩を起こそうか。
サイコキノ星人の行いは「イタズラ」と言われているが、人の命がかかるとそれはもはやイタズラでは済まなくなる。こんな事を続けていたら周りが敵だらけになって、ますます自分達の居場所が無くなってしまう。
ミライの言葉を受けてカコちゃんは「自分達の力はもっと違う事に使えるんじゃないか」と仲間達に提案する。果たして、彼女らは違う生き方を手に入れる事が出来るのだろうか……?

 

因みに『ウルトラマンメビウス アーカイブ・ドキュメント』に掲載されている『ウルトラマンメビウス外伝 守るための太刀』ではカコちゃんのその後が語られている他、ミステラー星とアテリア星の戦争の行方も明かされている。

 

そう言えば、『帰マン』の「20世紀の雪男」でバルダック星は破壊されているのだが、サイコキノ星人の話によるとバルダック星はまだあるらしい。ひょっとしたら、バルタン星人みたいに生き残りが他の星に移住して新たなバルダック星を作ったのだろうか?