帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「脅威のメビウスキラー」

「脅威のメビウスキラー ー宇宙同化獣ガディバ 異次元超人巨大ヤプール 異次元超人メビウスキラー登場ー
ウルトラマンメビウス』第43話
2007年2月10日放送(第43話)
脚本 赤星政尚
監督 小原直樹
特技監督 菊地雄一

 

異次元超人巨大ヤプール
身長 50m
体重 8万2千t
新たに暗黒四天王の「邪将」を拝命する。皇帝には忠誠を誓っているらしく、メビウスを殺して地球を皇帝に献上すると発言している。(その後に残りの暗黒四天王を超獣に改造して自分の支配下にすると言っているが)
怨念を晴らすまでいくらでも甦る執念深い性格。
封鎖されたはずの異次元ゲートを使って出現し、かつて超獣ガランと関わった怪奇漫画家・久里虫太郎に酷似した姿で街中で風船を配っていた。
時空波の発信源を使ってCREW GUYSを宇宙に誘導した隙にエースキラーメビウスと戦わせ、さらにガディバの得たデータからエースキラーメビウスキラーにカスタマイズする。

 

宇宙同化獣ガディバ
身長 不定
体重 不定
前回の戦いで採取したメビウスのデータを使ってエースキラーメビウスキラーにカスタマイズする。

 

異次元超人メビウスキラー
身長 40m
体重 4万3千t
ヤプールがガディバのデータを使ってエースキラーをカスタマイズした。
メビウスバーニングブレイブのデータを持っている為、メビュームシュートとメビュームブレードの他、メビュームバーストも使用できる。
CREW GUYS不在でバーニングブレイブに変身できないメビウスを追い詰めるが、最後はメビウスが起死回生で繰り出したメビュームダイナマイトで倒された。

 

策謀宇宙人デスレム
身長 55m
体重 1万5千t
暗黒四天王の一角たる「謀将」。ヤプールの行為を「抜け駆け」と非難する。

 

冷凍星人グローザム
身長 2m~52m
体重 200kg~2万t
暗黒四天王の一角たる「豪将」。ヤプールが暗黒四天王に加わった事に疑問を呈する。

 

悪質宇宙人メフィラス星人
身長 60m
体重 2万t
暗黒四天王の一角たる「知将」。暗黒四天王内の対立を宥めつつ、戦況を冷静に見守る。

 

物語
エンペラ軍団の暗黒四天王に加わったヤプールは狙いをメビウスに絞り、時空波の発信源を使ってCREW GUYSを宇宙へと誘い出す。
ガディバを使ってメビウスのデータを採取していたヤプールエースキラーメビウスキラーにカスタマイズしてメビウスと戦わせる。

 

感想
暗黒四天王登場!
仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズ等では定番であるが、ウルトラシリーズで敵組織の幹部が登場するのは極めて稀。過去にも『A』のヤプールや『レオ』の円盤生物や『ガイア』の根源的破滅招来体と言った敵組織はあったが、組織の描写は殆ど無くて組織が起こす各話の事件や現象が物語の中心になっていた。ここはオムニバス作品だった『Q』の流れを汲んでいると言える。『メビウス』以前に敵組織の描写があった作品と言えばヘラー軍団が登場した『ザ☆ウル』とグア軍団が登場した『メロス』ぐらいであろうか。
メビウス』もボガール、レッサーボガール、ヤプール、時空波によって様々な事件が引き起こされたが、ボガール以外は深く追及される事は無かった。しかし、『メビウス&ウルトラ兄弟』の宇宙人連合に今回の暗黒四天王と敵組織の描写に力が入れられるようになってきた。これは後のゼロシリーズへとバトル作品に方向転換していくウルトラシリーズの転換期だったとも言える。

 

『T』辺りにあった「怪獣軍団」の設定が再利用された暗黒四天王。
1話完結が基本だった昭和ウルトラシリーズと違って平成ウルトラシリーズは連続形式になっているので、こういう敵側の連携や組織の登場は必然であった。
ただ、出来れば暗黒四天王一人一人を物語前半から個々に登場させていた方が今回の全員集合は盛り上がったと思う。特に既に知名度のあるメフィラス星人ヤプールと違って今回が初登場となったデスレムとグローザムは前々から出しておいた方が良かったと思う。

 

暗黒四天王は邪将、謀将、豪将、知将の地位が与えられていて、ヤプールはそこに新たに加わったとなっている。
グローザムはヤプールが暗黒四天王に加わった事を疑問視するが、メフィラス星人は「皇帝の気まぐれ」だろうと解釈する。それに対してヤプールは「他の暗黒四天王も超獣に改造して自分の支配下にしてやる」と言い返す。
敵組織のお約束通り、やはり暗黒四天王の仲は悪かった。その中でもさすがメフィラス星人は一つ格上な雰囲気。
ザラブ星人ババルウ星人に続いてメフィラス星人も初代を担当した加藤清三さんが声を当てている。『メビウス』の声優陣は豪華すぎる!
因みにヤプールが拝命した邪将の地位は長らく空位になっていて、かつては超高次元捕食王アークボガールと呼ばれるボガールマスターがその地位に就いていたとなっている。そう言えば、序盤のボガールは異次元から出現したりとヤプールぽかったなぁ。

 

メビウス&ウルトラ兄弟』のジングウジ・アヤが再登場。前回は弟のタカトの話が中心でアヤの話は少なかったが今回の話でフォローされた感じ。
タケナカ最高総議長の孫と言う設定に驚くが、これで「さこっち」の謎は解けた。
今回はアヤとのデートと言う形でミライの世間とのズレが改めて描かれた。『メビウス』をウルトラマンと地球人の絆の物語と考えた場合、地球に関してどこかズレているミライの感覚は修正した方が良いのだが、ミライと一般人が殆ど絡まず、ミライの正体を知っているCREW GUYSはミライの世間とのズレを軽く流してしまう為、その修正の機会を逃していた。
GUYSの関係者でありながら少し離れた位置にいるジングウジ姉弟はミライと世間を繋ぐ良いパイプになると思うので、第2期ウルトラシリーズの坂田兄弟や白鳥姉弟のようにジングウジ姉弟もレギュラーにしてミライと絡ませても面白かったと思う。

 

これまでどんな手段を使っても発見できなかった時空波の発信源が日本の最南端である沖ノ島の近海で発見された。
時空波の発信源破壊にはフェニックスネストのフェニックスキャノンでのみ発射可能なメテオールカートリッジ・フェニックスフェノメノンが有効。フェニックスフェノメノンは太陽内部で発生するエネルギー放出と同じ原理で撃ち出す1億ボルトのイオンビームと言う凄まじいもの。『メビウス』の頃になると人間側の戦力も増強されてきたのが分かる。

 

時空波の発信源が逃走する事を知ったCREW GUYSは直ちに撃退準備を始めるのだが、ミライと通信が取れないのでミライを外して出撃する事になる。
通信できないのなら誰かが直接迎えに行けば良いのに……。それかフェニックスネストを動かす程の事態なのだからTVを通じて呼びかけるとか。実際、ミライはTVのニュースで緊急事態に気付いたわけだし。
次回に向けてミライとCREW GUYSを離したかったのは分かるが、あまり上手くない処理の仕方だった。

 

今回戦うのはエースキラーを対メビウス兵器にカスタマイズしたメビウスキラー。『メビウス&ウルトラ兄弟』に登場したUキラーザウルスもエースキラーをモデルにしているのでアヤ繋がりの選択とも言える。
しかし、エースキラーウルトラ兄弟の必殺技を得ていたのに対し、メビウスキラーはメビウスの必殺技のみを繰り出すので逆に弱くなったように感じてしまう。
メビウスキラーがバーニングブレイブ状態のメビウスのデータを持っていて、本物のメビウスはCREW GUYSが不在なのでバーニングブレイブに変身できないとする事で、通常のメビウスとバーニングブレイブのメビウスの強さの違いを見せたのは上手かった。

 

ミライがメビウスの正体ではないかと考えていたアヤは倒れるメビウスに向かって「ミライ君!」と呼びかける。そして自分の呼びかけにメビウスが反応したのを見てアヤはメビウスはミライだと確信する。「前に助けてもらった時、物凄い優しさに包まれた感じがした」と告げ、アヤはミライに激励を送る。
「教えてくれたよね、ミライ君。人間が好きだからウルトラマンは命懸けで戦うって……。だったら、絶対に死んじゃ駄目! 優しさのせいで死ぬなんておかしいもん! だからお願い、立ち上がって!」。
その言葉を受けたミライは立ち上がり、タロウから禁じられていた禁断のウルトラダイナマイト=メビュームダイナマイトで勝利を収める。
データで負けていても気持ちで勝つ事が出来るのは命あるものの強さと言える。

 

今回登場したヤプールの人間態を演じたのは清水紘治さん。『A』の「3億年超獣出現!」で久里虫太郎と言うヤプール編でも特に印象深いキャラクターを演じていたので納得のキャスティング。ヤプールの不気味さ、陰湿さ、その一方で持っている知的さを見事に表していた。
そのヤプール人間態=黒ずくめの男は『レオ』のブラック指令のような恰好をしていた。エンペラ軍団はヤプールを引き入れる一方で新種の円盤生物を繰り出していたが、そこと何か関係があるのだろうか?

 

ジョージ、普通に宇宙に行っている……。
因みにジョージが宇宙が苦手になった理由はスペインリーグで初の得点王に輝いた年に観光宇宙ステーションで祝賀会が開かれたのだが枕を忘れて不眠症になってしまったからとの事。どれだけ豆腐メンタルなんだ、こいつは……。
ウルトラマンメビウス超全集』によると、今回は寝床である基地ごと宇宙に行ったので不眠症の心配が無かったと説明されている。

 

 

ウルトラマンメビウス TV & OV COMPLETE DVD-BOX

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  • 発売日: 2012/12/21
  • メディア: DVD