帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「デスレムのたくらみ」

「デスレムのたくらみ ー策謀宇宙人デスレム登場ー
ウルトラマンメビウス』第45話
2007年2月24日放送(第45話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 村石宏實

 

ウルトラマンジャック
身長 40m
体重 3万5千t
状況によって態度を変える市民に不信感を募らせるミライの前に現れて地球と人間について語る。
その後、ウルトラVバリヤーでデスレムの火球からフェニックスネストを守り、最後はメビュームバーストに合わせてスペシウム光線を撃ってデスレムを倒した。

 

策謀宇宙人デスレム
身長 55m
体重 1万5千t
暗黒四天王の一角たる「謀将」。
月面から帰還中だったフェニックスネストを強襲してCREW GUYSを人質に取るとメビウスに完全なる敗北を迫る。
時空を歪ませて天空から地上に無数の火球を降り注がせる事が出来る。
市民がメビウスとCREW GUYSを批難するように仕向けて、メビウスと人間の絆や信頼を断ち切ろうとしたが、CREW GUYSの覚悟とジャックの出現によって形勢逆転され、最後はバーニングメビウスのメビュームバーストとジャックのスペシウム光線を続けて受けて倒された。
劇中では語られていないが、3万年前に起きたウルトラ大戦争にも参加していたらしい。

 

冷凍星人グローザム
身長 2~52m
体重 200kg~2万t
暗黒四天王の一角たる「豪将」。メフィラス星人と共にデスレムの戦いを見守る。

 

悪質宇宙人メフィラス星人
身長 60m
体重 2万t
暗黒四天王の一角たる「知将」。グローザムと共にデスレムの戦いを見守る。

 

物語
月面で時空波の発信源破壊に成功して帰還するフェニックスネストだったがデスレムの強襲を受けてしまう。
しかし、メビウスとCREW GUYSにとって真に恐ろしいのはデスレムではなかった。

 

感想
デスレムは月面での作戦から帰還中のフェニックスネストを強襲。CREW GUYSを人質に取ってメビウスに完全なる敗北を迫る。
正直言うと、ここでCREW GUYSの命を奪っていれば良かったのにと思ってしまう。暗黒四天王は人間の力を侮っては墓穴を掘っていた印象がある。

 

CREW GUYSが殺されたと思った人々は嘆き悲しみ「自分はCREW GUYSを応援していた!」と涙ながらに訴える。そしてメビウスや生き残りのCREW GUYSが苦戦しているのを見ると「仲間の仇だろう!」と無責任に焚き付ける。
その後、CREW GUYSが生きて人質になっている事を知ると「人質がいるからメビウスも生き残りのCREW GUYSも本気で戦わない」「市民が逃げ惑っているのにGUYSは仲間の命を優先している」「市民と仲間とどちらが大切か」「市民を守るべき存在が生きて人質になる事自体が間違い」「GUYSは市民に反論するのか」と詰め寄る。
今回はその場その場の感情や状況に流されて態度をコロコロ変える市民の無責任さが怖くなる話。最終的に市民はメビウスとCREW GUYSを応援する事になるが、この話を見ているとそれも一時の感情や状況に流されてのものだと思えてくる。そして実際に後の「皇帝の降臨」で再び同じような状況が起きてしまう。

 

仲間を人質に取られた事で何も出来ずに負けてしまったミライは「これなら戦ってやられる方がまだマシだ!」と悔しさを露わにする。普段は丁寧口調のミライがここまで荒れた言葉遣いをするのは珍しい。

 

大勢がその場の状況に流されて動く様は恐怖である。今回も一時は「市民を守る為に人質になったCREW GUYSを殺せ!」と言う流れになっていた。
今回はジャックの客演回であるが、かつての『帰マン』でも似た状況があった。それは「怪獣使いと少年」。「怪獣使いと少年」では街の人々は「良少年は宇宙人」「宇宙人は忌むべき存在・怖い存在」と言う流れの下、遂にメイツ星人を虐殺してしまった。

 

市民の掌の返しっぷりにミライは自分達は何の為に戦って来たのか疑問を抱いてしまう。
デスレムの目的はメビウスと人間の絆や信頼を断ち切る事であったが、この考えはヤプールに通じるものがある。ヤプールの抜け駆けに怒りながらも自分も抜け駆けをしたりとデスレムとヤプールの思考はかなり近い。デスレムがヤプールを毛嫌いしていたのも同族嫌悪みたいなものだったのかもしれない。

 

星空の下、自分の戦いに疑問を抱いたミライに向かってジョージは自分の夢がウルトラマンになる事だったと語る。
「俺の一番最初の夢はお前になる事だったんだよ。ウルトラマンになってこの地上で懸命に生きている人達のささやかな幸せを守る事が夢だった。難しいんだな、守るって事は。ぶち壊すのは一瞬なのにな」。
この台詞は「ウルトラマンの重圧」でサコミズ隊長が語った信頼関係の話に通じるものがある。

 

翌朝、今度はミライの前に郷秀樹が現れる。仲間を助けられなかったら自分だけでなく人間も許せなくなりそうな自分が怖いと訴えるミライに対し、郷秀樹は優しく答える。
「それで良いんだ、メビウス。人間を愛するには人間を知らなければならない。人間の強さも弱さも美しさも醜さも、その両方を知らなければ、お前はこの星を愛する事は出来ない。俺達兄弟は戦い続けてきた。この星は守るに値する星だと信じて。この星の未来は今、お前とこの星に生きる人間に託されている」。
おそらくここは人間・郷秀樹ではなくウルトラマン・ジャックとしての発言と考えられる。『帰マン』をはじめとする第2期ウルトラシリーズは人間の弱さや醜さを描いていたので、ここでのジャックの言葉は説得力があった。

 

時空を歪ませて天空から火球を降り注がせると言う攻撃方法がカッコ良いデスレム。
地上に落下した火球を遠隔操作してメビウスを攻撃したのが面白かった。『ドラゴンボール』のヤムチャの操気弾を思い出した。

 

フェニックスネストから送られてきた無線をきくち電器商会が受け取り、TVによって市民に向けて中継される。
CREW GUYSの覚悟を知った市民はメビウスとCREW GUYSを応援。それを聞いたメビウスは反撃開始!
デスレムはフェニックスネストを破壊しようとするが、郷秀樹が変身してウルトラVバリヤーで火球を防ぐ!

 

ジャックの変身バンクが無いのが残念。
変身シーン自体が無かったタロウと80、人間態の部分があるので昔の変身バンクを使えないセブンはともかく、ジャックはエースやレオや初代マンのように昔の変身バンクを使ってほしかった。

 

ジャックと言えばウルトラブレスレットであるが特に目立った使用をしなかったのが残念。せっかくなのでウルトラブレスレットをちゃんと使ってほしかった。

 

きくち電器商会の店長を演じているのは『帰マン』でウルトラマンスーツアクターを務めたきくち英一さん。きくちさんによる「ウルトラマンが……帰って来た」は感慨深い。
思い出の先生」で桜ヶ岡中学校の生徒、「エースの願い」で南夕子が再登場しているので『帰マン』からは次郎君が再登場してほしかったところではあるが、今回の話を「怪獣使いと少年」と重ねると、きくち電器商会はパン屋の娘さんの位置に当たるので、ここはあえて関係者でない方が良いのかもしれない。

 

戦いが終わり、CREW GUYSと再会するミライを見て郷秀樹は「GUYSと言う家があり、仲間がいる」と呟き、ジョージはその言葉を聞き取る。この台詞は「怪獣使いと少年」で郷秀樹が伊吹隊長に向かって言った言葉を踏まえたもの。

 

今回はジョージの話でもある。ジョージの必殺シュートである「流星シュート」はジャックの「流星キック」がモデルと思われるので、ジョージの憧れていたウルトラマンとはジャックだった可能性がある。
又、今回は無責任に応援したり批難したりする市民の話であったが、これはプロのサッカーリーグで活躍していたジョージは何度か体験した事だと思われる。

 

個人的には今回の話はジョージだけでなくリュウも郷秀樹と絡めてほしかったところ。「ウルトラ五つの誓い」をはじめ、セリザワ隊長繋がりで色々あったので。