帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「皇帝の降臨」

最終三部作Ⅰ 皇帝の降臨 ー暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人 無双鉄神インペライザー登場ー
ウルトラマンメビウス』第48話
2007年3月17日放送(第48話)
脚本 長谷川圭一
監督 アベユーイチ
特技監督 菊地雄一

 

暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人
身長 56m
体重 4万9千t
自らを「宇宙に君臨する皇帝」と称する。
世界主要国の首都に13体のインペライザーを送り込み、地球人自らの手でメビウスを追放しろと命じた。

 

無双鉄神インペライザー
身長 60m
体重 6万t
GUYSスペーシーの防衛ラインを突破し、13体が世界主要国の首都に降り立った。圧倒的な火力で街を破壊していく。
1体目はバーニングブレイブに変身したメビウスのバーニングメビウスピンキックで、2体目はガンフェニックスストライカーのインビンシブルフェニックスで、3体目はバーニングブレイブに変身したメビウスのバーニングメビュームダイナマイトで倒された。
しかし、一体が倒されても空間転移で別のインペライザーがきり無く送り込まれてくる。
今回は量産型だからか以前にあった再生能力は無くなっているようだ。

 

物語
暗黒四天王を返り討ちにしたCREW GUYSであったが、ヒルカワの記事によってメビウスの正体がミライであると世間に明かされてしまう。
そして世界各地に量産型のインペライザーが襲来。
遂にエンペラ星人自らが動き出す!

 

感想
エンペラ星人の声を担当しているのは『北斗の拳』のラオウで有名な内海賢二さん。
多くの作品ではラスボスクラスのキャラクターを演じていて今回のエンペラ星人もさすがの存在感であった。

 

エースの願い」でメビウスの正体がミライだと知ったヒルカワは週刊誌を通じてその事を記事にする。以前にも書いたが、世界的な軍事組織にたった一人で喧嘩を売るのは勇敢と言うか無謀と言うか……。
ところでヒルカワはメビウスの正体を記事にして自らTVにも出演したが、一体、何をしたかったのだろうか? これまではゴシップ記者としてネタになりそうなものに食いついていたと言う感じだったが、さすがにメビウスの正体を知っているとなると他のマスコミも放っておかず、インタビューする立場だったヒルカワが逆にインタビューされる立場になってしまっている。ヒルカワ自身は気付いていなさそうだが、今まで他人を晒してきたのがいつの間にか自分自身が祭り上げられてしまっている。結局、ヒルカワ自身には何の思想も無く、ただ皮肉と批判を述べるだけであった事が判明した。
その後のサコミズ総監の演説で世間の感情はメビウス擁護に動いたが、その中でのヒルカワの今後が気になる。活動しづらくなっただろうな……。

 

インペライザーが送り込まれたのはワシントン、モスクワ、北京、パリ、ロンドン、ローマ、カイロ、ブレトリア、ニューデリーシドニーボゴタ、サンフランシスコ、東京と世界主要国の首都ばかり。(何故かサンフランシスコにも送り込まれているが……。アメリカは東西に分裂したのだろうか?)

 

メビウスがインペライザーを倒した技がタロウやレオとの関係で生まれたものだったのがメビウスの成長を示していて良い。
今回のインペライザーは再生能力を有する強力な一体で押してくるのではなく物量による持久戦で攻めてきた。ウルトラマン達には3分間の時間制限があるので、倒したと思ったら新たな一体が来たと言う今回の方が戦いにくいと思われる。
インペライザーの中で戦闘中に踊り始める一体が妙に可愛かった。

 

インペライザー量産機で自らの強さを誇示した後、エンペラ星人は地球に対して「メビウスを探し出して地球人自らの手で追放しろ」と指示。さらに「メビウスを追い出せば、あらゆる脅威から自分が地球を守る」と宣言する。
ウルトラマンを追放しろ」と言った侵略者は過去にもいたが「ウルトラマンに代わって自分が地球を守る」と宣言したのはエンペラ星人くらいである。ここに地球の守護者となったウルトラマンに対する只ならぬ思いが垣間見える。
「エンペラ星人が地球の守護者になる」と言う事は「地球がエンペラ星人の支配下になる」と言う事で、エンペラ星人に逆らった者の命は無いだろうが、外敵からの守りとしてはこれ以上頼りになるものは無いとも言える。

 

国家安全保障局のシキはCREW GUYSがメビウスの正体をミライだと知りながら事実を隠蔽して特別チームの一員に加えていた事を問題視し、「地球は我々人類自らの手で守り抜かなければならない」とキリヤマ隊長の言葉を引き合いに出して、ウルトラマンと言えども宇宙人であるとして、未知なる存在に地球防衛の一翼を任せる事に疑問を感じなかったのかと詰め寄る。
それに対してリュウは「疑問なんてありません! メビウスは、いや、ミライは俺達の仲間ですから!」と答える。シキがここで使ったキリヤマ隊長の言葉は物語序盤でリュウが何度も引き合いに出していた言葉。このやり取りを見ると、リュウの変化がよく分かる。
ところでシキは未知なる存在に地球防衛の一翼を任せた事を問題視したが、このタイミングで国家安全保障局が動いたのはエンペラ星人の出現が影響している事は明らか。これまで日本国政府ウルトラマンに地球防衛を任せていた状況を黙認していたが、それをエンペラ星人に切り替えようと決めたのだった。

 

今までの激戦が響いたか、インペライザーとの連戦を終えたミライは人間の体を維持する事すら難しくなってしまう。
ここで説明される「脈拍360、血圧400、熱が90度近くもある」は『セブン』の「史上最大の侵略 前編」のオマージュ。改めて見ると物凄い状態だ。

 

ミライの引き渡しを求めるシキの前にトリヤマ補佐官が立ち塞がる。
トリヤマ「私は知っている。ヒビノ・ミライと言う青年を……。彼は不器用だが、誰より一生懸命だ。誰より優しく、誠実だ」、
シキ「どいてください」、
トリヤマ「彼は私のかけがえのない部下だ!」。
以前から決める時は決める人だったがこの場面は『メビウス』の中でも五指に入る名場面!
運命の出逢い」でウルトラの父メビウスに「地球に行く事で「かけがえのないもの」を見付ける事が出来るはずだ」と告げているが、逆に地球人であるトリヤマ補佐官がウルトラマンであるミライの事を「かけがえのない部下」と言ったのが面白い。ウルトラマンにとって地球がかけがえのない存在であると同時に地球人にとってもウルトラマンはかけがえのない存在であった。

 

トリヤマ補佐官の一喝にも怯まず、シキは「今の言葉はトリヤマ個人の意見かGUYS JAPAN補佐官としての言葉か」と問う。ここでの対応を誤れば自分だけでなくGUYS JAPAN全体を窮地に陥れてしまう事にトリヤマ補佐官は言葉を詰まらせるが、そこにサコミズ隊長が現れて「今の言葉はGUYS JAPAN総監の意思を代弁したものだ」と語る。
前々から伏線は張られていたが、遂にサコミズがGUYS JAPAN総監だと劇中で明言された。
ところで別組織に所属しているシキが知っているのに、補佐官であるトリヤマが総監の正体を知らなかったのはやはり不自然だなぁ……。

 

どうしてサコミズは総監の立場を隠して現場指揮官として戦って来たのか。この疑問にサコミズ総監は「一緒に……いたかったからだ。私もウルトラマンと一緒に戦いたかった。君達と共に……。それだけだ」とやや決まりが悪そうに答える。
総監と言う立場で考えたら、さすがに個人的すぎる理由ではあるが、彼がこの世界では数少ない「ウルトラマンと一緒にいた思い出を持たない地球人」だと考えると理解できるところもある。

 

シキは日本国政府としてGUYS JAPANにメビウスの引き渡しとサコミズ総監の辞任を要求する。日本国政府にそこまでの権限と決断力があった事に驚く。

 

サコミズ総監は最後の仕事として人々に向けて会見を開く。
「皆さん、CREW GUYS JAPAN総監サコミズです。タイムリミットまで1時間。まず最初に伝えるべき事があります。メビウスはCREW GUYSの一員です。今、多くの人が驚き、動揺しているでしょう。ですが少しだけ、私の個人的な話を聞いてください。昔、私が亜光速で宇宙を飛んでいた時、侵略者から地球を守る為、人知れず戦っているウルトラマンを目撃しました。その時、彼は言いました。「いずれ人間が自分達と肩を並べる日が来るまで我々が侵略者の盾になる」と。彼らは人間を愛してくれた。そして人間を命懸けで守り続けてくれたのです。私達はその心に応える責任がある。「地球は我々人類自らの手で守り抜かなければならない」。ウルトラ警備隊キリヤマ隊長が残した言葉です。この言葉はウルトラマンが必要でないと言っているわけではありません。彼らの力だけに頼る事無く、私達も共に戦うべきだと伝えているのです。最後まで希望を失わず、ウルトラマンを声援する。それだけでも彼らと共に戦っていると言えるのです。彼らに力を与える事が出来るのです。お願いします。今こそ勇気を持ってください。侵略者の脅しに屈する事無く、人間としての意思を示してください。一人一人の心の声に従い、最後の答えを出してください」。
ウルトラシリーズで3分にも及ぶ会見は他に例を見ない。
ここでもキリヤマ隊長の言葉が挙げられている。
「地球は我々人類自らの手で守り抜かなければならない」と言う言葉は『初代マン』でムラマツキャップも述べているが、これは初代マンが光の国に帰還していくのを見送りながらの言葉なので、「ウルトラマンがいなくなり、これからは自分達の手で地球を守り抜く」と言う意味だったが、『セブン』ではフラフラ状態のセブンがパンドンと戦っているのを見ての言葉なので、「ウルトラマン一人に押し付けるのではなく、自分達も一緒に戦おう」と言う意味になっていた。
同じ言葉なのにシチュエーションで意味が大きく変わるのが興味深い。『メビウス』は面白いところに目を付けたと思う。

 

サコミズ総監とシキは何らかの因縁があるように見えるが特に説明は無い。
シキは演じる斉藤洋介さんによって存在感ある人物になっているが、今回のみのゲストなので描写が足りないのが実に残念。『ダイナ』のゴンドウ参謀のように準レギュラーで出続けていれば……。

 

サコミズ総監の会見を聞いた大人達は迷うが、メビウスの人形を持った子供は「ウルトラマンは負けない」と力強く叫ぶ。
これは『ティガ』から続く平成ウルトラシリーズの一つの定番。でも、最終章でいきなり子供を出すより、途中途中で何度か子供の話を入れていった方が子供の訴えに説得力を持たせられると思う。平成ウルトラシリーズは子供がゲストの話が少ないのが残念。
ここでの子供の母親役は『ネクサス』で平木隊員を演じた五藤圭子さん。ヒルカワ役が『ネクサス』で石堀隊員を演じた加藤厚成さんなので、ウルトラマンを脅かす人間を加藤さんが、ウルトラマンを救う人間を五藤さんが演じる事になり、『ネクサス』を知っている人は思わずニヤリとするキャスティングになっている。

 

サコミズ総監の会見の後、メビウスへの応援メッセージがマスコミ各社に送られ、ネットに上げられる。
そしてリュウはサコミズ総監に伝える。「どんな事があってもミライは引き渡さない。それが人間の出した答えです」。

 

インペライザーが一斉に再起動し、それを各国GUYSが迎撃に打って出る!
先の戦いでメビウスがインペライザーを3体倒しているが、この場面では世界13都市にインペライザーが配置されているとなっている。ひょっとして、インペライザーは最初の13体だけでなく、倒される度に宇宙から新たに補充されているのかもしれない。
東京のインペライザーに向けてハワイから出撃している部隊がいるとの説明がある。おそらく予定にあったが実際には撮影されずに終わったGUYSオーシャンのイサナの部隊であると思われる。

 

地球人達が自分の事を守ってくれたと知ったミライは無理を押してメビウスに変身してインペライザーに立ち向かう。
そしてガンフェニックスストライカーはインペライザーに向けてインビンシブルフェニックスを放つが、エンペラ星人の光弾によって撃墜されてしまう。
サコミズ総監が自分の正体と心情を明かし、地球人がメビウスを守る事を決め、ガンフェニックスストライカーが最強技を発射すると言う流れは普通なら敵の一体でも倒せるものなのだが、エンペラ星人の攻撃を受けたガンフェニックスストライカーはそのまま墜落してしまう。
ここからエンペラ星人はメビウスとCREW GUYSが立てた勝利フラグを次々にへし折る驚異の勝利フラグクラッシャーぶりを視聴者に見せ付ける事になる。