帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「衝突する宇宙」

STAGEⅠ 衝突する宇宙」
『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』第1話
2010年11月26日発売
脚本 荒木憲一
監督 おかひでき

 

古代怪獣ゴモラ
身長 40m
体重 2万t
レイに招喚されてメカゴモラと戦うが苦戦を強いられる。

 

原始怪鳥リトラ(S)
身長 15m
体重 1万t
レイに招喚されてサロメ星人の基地を攻撃するが展開されていたバリアーに阻止されてメカゴモラに撃墜されてしまった。

 

ニセウルトラ兄弟(SRチーム)
ロボット超人ニセゾフィー(SR)
身長 45m
体重 4万5千t
ゾフィーを基に作られたロボットでM87光線を使用する。
各部に強化パーツのプロテクターが施されているが、それ以外は本物との違いは少ない。
スペースペンドラゴンが到着した時には既に倒されていた。
因みに(SR)は「サロメロボット」の略。

 

ロボット超人ニセウルトラマン(SR)
身長 40m
体重 3万5千t
初代マンを基に作られたロボットでスペシウム光線等を使用する。

 

ロボット超人ニセウルトラセブン(SR)
身長 40m
体重 3万5千t
セブンを基に作られたロボットでアイスラッガー等を使用する。
何故かゾフィーを差し置いてニセウルトラ兄弟の隊長を務めている。

 

ロボット超人ニセウルトラマンジャック(SR)
身長 40m
体重 3万5千t
ジャックを基に作られたロボットでウルトラブレスレットを使用する。
スペースペンドラゴンが到着した時には既に倒されていた。

 

ロボット超人ニセウルトラマンエース(SR)
身長 40m
体重 4万5千t
エースを基に作られたロボットでメタリウム光線等を使用する。

 

メカロボット怪獣メカゴモラ
身長 44m
体重 2万2千t
サロメ星人が別次元のレイモンが持っていたネオバトルナイザーのデータを基に作り上げたロボットのゴモラサロメ星人によるとオリジナルを遥かに上回る性能を持つとの事。
メガ超振動波、ナックルチェーン、メガボディーミサイル、クラッシャーメガ、メガフィンガーミサイルと多彩な武器を内蔵している。
ゴモラを追い詰めるが続くゼロとの戦いは押され気味だった。

 

侵略星人サロメ星人
身長 不明
体重 不明
惑星チェイニーでの実験の末に多次元宇宙に穴を開ける事に成功し、惑星チェイニーをどの次元にも属さない孤立した世界に変えた。
ウルトラ兄弟のロボットの他、メカゴモラを作り、ダークロプスゼロも制御下に置いていた。
科学者で指揮官のヘロディアの他、イラテとガナエスと言う助手が実験に関わっている。因みにイラテは寺井大介さん、ガナエスは末永博志さんと顔出し出演しているスーツアクターの名前から名付けられている。ヘロディアの名前の由来は『新約聖書』に登場するサロメの母「ヘロディア」かな。

 

ダークロプスゼロ
ダークロプスゼロ時 身長 45m 体重 3万5千t
テクターギアブラック時 身長 45m 体重 4万5千t
サロメ星人が制御下に置いていた存在で、メカゴモラを追い詰めるゼロを倒す為に投入された。
最初は力をセーブしたテクターギアブラックの状態で戦っていたが、やがて自らの意思でアーマーを破壊した。
ゼロと同じ技を使い、最後はゼロツインソードを破ってゼロを倒し、ディメンジョンストームでニセウルトラ兄弟もろとも次元の狭間に吹き飛ばした。

 

物語
救難信号に応えたスペースペンドラゴンは宇宙の歪みが集中している宇宙域へと引きずり込まれてしまう。
そこではゼロがウルトラ兄弟と死闘を繰り広げていた。そして、レイの前にもロボットのゴモラが姿を現す!

 

感想
銀河伝説』の後日談で『銀河帝国』の前日談に当たる話。

 

銀河伝説』ではワイヤーアクションの導入によってキャラクターが縦横無尽に動くようになったが、今回はアングルや構図が漫画やアニメのようになっていて、重力から解放されたアクションをスーツアクターの動きだけでなく画面全体を使って作り出すようになっている。

 

ゴモラとメカゴモラの対決から本作は『ゴジラ対メカゴジラ』をオマージュした部分があちこちに見られる。

 

謎の救難信号を受けたスペースペンドラゴンが向かった先には宇宙の歪みがあった。
宇宙の歪みはワームホールとも違う謎の現象で反物質を含む未知のエネルギー放射が認められ、その先にある惑星チェイニーには別次元のスペースペンドラゴンがあった。
別次元のボスの説明によると、宇宙は一つではなく、次元を隔てて同じ宇宙、同じ地球、同じ人間が並行して無数に存在しているとの事。
ウルトラシリーズにはそれこそ無数の世界が存在しているのだが、『メビウス』で『Q』から『80』までのM78星雲の世界が整理され、その後、『銀河伝説』で『USA』『G』『パワード』『ネオス』『マックス』と言ったM78星雲出身だが『メビウス』とは時間軸が繋がらないキャラクター達も関わるようになった。そして『超ウルトラ8兄弟』のパラレルワールドや大怪獣バトルシリーズのギャラクシークライシス等によってM78星雲の世界とは違う世界のキャラクターもM78星雲の世界のキャラクターと関われるようになる等、ウルトラシリーズは無数にあった世界を繋げて世界観の壁を超えた共演が可能となっていった。
この流れはさらに続いて『銀河帝国』や『新列伝』や『タイガ』等ではウルトラシリーズ以外の作品も取り上げられ、今やウルトラシリーズを超えた円谷シリーズと言う一つの大きな世界観が出来つつある。

 

ゼロとニセウルトラ兄弟の戦い。
仮面ライダースーパー戦隊と違ってウルトラシリーズでヒーロー同士の戦いが描かれるのは非常に珍しい。敵を騙す為に戦った振りをしたや闇に乗っ取られた等ではなく、侵略者が作ったロボットを使う事で本物のヒーロー同士が戦う事にならないように配慮しているのがこの頃のウルトラらしいと言える。
ゼロが「ロボットとは言えウルトラ兄弟とやり合うって言うのは結構キツいぜ」と漏らしているが、これは単純な戦闘力の話ではなく、ヒーロー同士が戦う事の苦しさを含んだ言葉だと思われる。
ロボットとは言えオリジナルのウルトラ兄弟をモデルにしているので、本作ではエースがパワータイプとかそれぞれの飛行速度とかスペックに忠実な描写がされている。
途中に挟まれる昔の児童誌で紹介されているような内部のメカ描写が懐かしくて良い。

 

惑星チェイニーはサロメ星人の実験によってどの次元にも属さない孤立した世界となった為、異物となる存在は世界に適応できず消滅する事となる。
別次元とは言えZAPクルーが全滅するのは衝撃。特別チームの全滅と言えば『レオ』「MAC全滅! 円盤は生物だった!」を思い出す。今回の話はレオが登場するのでオマージュなのかもしれない。

 

サロメ星人の秘密基地がある岩山から放たれたミサイルを防ぐ為にレイはネオバトルナイザーを掲げて「ゴモラー!」と叫んでゴモラを召還する。
この場面がウルトラマンが変身アイテムを掲げて変身する場面に見える。その後の出現したゴモラがミサイルの雨からレイ達を守る場面もウルトラマンっぽい。そう言えば、今回はメカゴモラが登場するが、そもそもロボットの偽者が出て来る事がウルトラマンっぽいと言うかヒーローっぽい。

 

ゼロがメカゴモラを抑えている間にレイはリトラを召還してサロメ星人の基地を攻撃する。
普段はお喋りなゼロだがこの時は「ヘイ!」と他のウルトラマンと同じような掛け声のみであった。ひょっとしたら、この掛け声こそがウルトラマン達の言語で、ウルトラマン達が話している地球語(と言うか日本語)は一種のテレパシーなのかもしれない。

 

自分達の科学を狂信するマッドサイエンティスト・ヘロディアインパクトが絶大。
サロメ星人は過去にもにせウルトラセブンを作ってはいるが、どちらかと言うと『セブン』の中では地味めな存在であった。それがニセウルトラ兄弟を揃え、メカゴモラを作り、ダークロプスゼロを従え、多次元宇宙のバランスを崩壊させて全ての宇宙を消滅させる危険を生み出す等、スケールが大幅にアップした。

 

テクターギアブラックの装着シーンは往年のロボット物の発進シーンを思わせるもので興奮するものに仕上がっている。こういうメカ描写は近年の仮面ライダースーパー戦隊には無いウルトラシリーズの特徴の一つなので続けてほしいところ。

 

ゼロスラッガーでメカゴモラの飛んでくる両拳を迎撃したゼロはトドメのワイドゼロショットを撃とうとするが、その時、ある気配を感じる。
この時の見上げたゼロの真上で足を肩幅に広げて仁王立ちしているテクターギアブラックがカッコ良い! デビュー戦でベリアルと言う強豪に勝利したゼロへの新たな敵として十分なインパクトであった。
「何だ……、お前は? テクターギアだと? ……フッ。力をセーブしても……俺に勝てるってわけか! 2万年早いぜ!」。
ゼロ、お前はまだ2万年も生きてはいない。
地上に宇宙空間にと激突するゼロとテクターギアブラック。互角の戦いの中、テクターギアブラックは自らアーマーを破壊し、中から一つの目のゼロがその正体を現した。
「俺の名は……ダークロプスゼロ!」。
ワイドゼロショットもゼロスラッガーも持つダークロプスゼロ。しかし、プラズマスパークのエネルギーコアのデータはさすがに無かったのか、ゼロツインソードだけは持ち出さなかった。
一方のゼロは今回はプラズマスパークのエネルギーコアが無いのにゼロツインソードを展開。ひょっとしたら、ゼロは一度使用したエネルギーや能力を記憶して体内に保存する事が出来るのかもしれない。(おそらくそれが後のストロングコロナゼロとルナミラクルゼロの誕生の一因になっていると思われる)
ゼロツインソードを持ってないダークロプスゼロだったが、二本のダークロプスゼロスラッガーを合わせて自身が回転する事でゼロのゼロツインソードに勝利する。
と言う事で今回がゼロの初敗北。前回の戦いでラスボスを倒した技が早くも敗れると言うのは驚きだが、これはインフレ激しいバトル物のお約束と言える。

 

ゼロツインソードが敗れたゼロの前にニセウルトラ兄弟が参上。さらにダークロプスゼロは超時空波動光線ディメンジョンストームを発してニセウルトラ兄弟もろともゼロを次元の狭間へと吹き飛ばしてしまう!

 

倒される場面も無く、いつの間にか倒されていたゾフィーとジャックのロボットが哀れ……。
ゾフィ、初代マン、ジャックの3人は顔が殆ど同じで区別が付き難い為、初代マンを残す代わりにゾフィーとジャックは途中退場させられたのかもしれない。

 

今回の話は助監督だったおかひできさんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。

 

 

 

 

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