帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「星の降る町」

「星の降る町」
ウルトラマンギンガ』第1話
2013年7月10日放送(『新列伝』第2話)
脚本 長谷川圭一
監督 アベユーイチ

 

宇宙海人バルキー星人(SD)
身長 14cm~49m
体重 150g~2万2千t
異形の手のモノにダークスパークでライブサインをリードされた事で人間大で活動できるようになった。
産廃業者の山田と木村の心の闇を使ってダークダミースパークを作り出し、そのまま二人をサンダーダランビアにダークライブさせた。
飄々とした性格で何故か英語交じりに喋る。
因みに(SD)は「スパークドールズ」の略。

 

合成獣サンダーダランビア(SD)
身長 14cm~40m
体重 150g~4万t
オダランビアの亜種で胸と背中にコイル状の発電器官を有していて放電攻撃を行う。
ダークダミースパークによって山田と木村がダークライブされていて、放電攻撃でブラックキングを苦しめるもギンガには通じず、逆にギンガサンダーボルトで倒された。
戦いの後、スパークドールズはヒカル達に回収された。
『ダイナ』の「新たなる影」のネオダランビアⅡの着ぐるみを改造している。

 

用心棒怪獣ブラックキング(SD)
身長 14cm~65m
体重 150g~6万t
降星山にスパークドールズが落ちていた。ヒカルが初めてウルトライブした怪獣。
サンダーダランビアの放電攻撃から美鈴を守った。
サーガ』DC版に登場した怪獣兵器に改造されたブラックキングの着ぐるみを再改造している。

 

物語
ロックミュージシャンの両親と一緒に世界中を旅していたヒカルは何かに呼ばれた感じがして7年振りに降星町に帰って来た。
幼馴染み達と再会した夜、ヒカルは銀河神社の社から御神体であるギンガスパークを見付ける。その時、スパークドールズとなったタロウがヒカルの前に現れる。

 

感想
『列伝』の枠で1話3分ではあるが新作TV作品『ゼロファイト』が制作された流れを受けて今度は30分の新作TV作品『ギンガ』が制作される事になった。それに合わせて『列伝』も『新列伝』へとリニューアルされ、数年間続いたゼロ中心の展開もギンガ中心へと切り替えられた。
因みにギンガは円谷プロの公式カウントによると「38番目のウルトラマン」となる。遂にここまで来たか……!と言う感じ。

 

『ギンガ』は前期6話、後期5話、劇場スペシャル2本の全13話となっている。(後に番外編が1話追加される)
遂に30分の新作TVシリーズが作られるようになったが、まだ1年通して新作を作り続けるのは無理らしく、1クール分の話を1年に割り振って、新作が無い時期は過去の作品の再放送や総集編で埋めていくと言う方法が採られた。

 

『ギンガ』第1話の放送は「ウルトラマンの日」である7月10日に合わせられた。

 

『ギンガ』最大の特徴はギンガスパークでスパークドールズのライブサインをリードする事で歴代のウルトラマンや怪獣にウルトライブする事。
この「歴代キャラクターに変身する」と言う設定は『仮面ライダーディケイド』や『海賊戦隊ゴーカイジャー』にも見られたが、『ディケイド』や『ゴーカイジャー』が主にヒーローに変身するのに対して『ギンガ』は主に怪獣に変身している。ここは仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズの怪人に比べて一体一体の認知度が高いウルトラシリーズの怪獣だからこそと言える。

 

『ギンガ』は予算と時間の都合もあって多摩市を中心にロケーションされている。
ウルトラシリーズで一つの街が舞台になるのは珍しいが、特別チームが登場しない一般の高校生達の物語なので、舞台が主人公達の住んでいる街に限定されるのは不自然ではない。

 

各回のサブタイトルは文字の中にタイトルや物語に関係する絵が隠されていて遊び心のあるものになっている。

 

ヒカルが降星町に帰って来たのは7年振り。これは『ギンガ』が『メビウス』以来7年振りに新しいウルトラマンが登場する新作TVシリーズである事から。
ヒカルの両親がロックミュージシャンなのは、この頃のウルトラ関連の楽曲を手掛けていた高見沢俊彦さんのイメージがあるのかもしれない。
ところでヒカルは銀河神社が火事で焼け落ちていた事を知らなかった。ホツマやヒカルの両親はその話をしていなかったのだろうか? 祖父の暮らしている神社が火事で全焼って、かなりの大事だと思うのだが……。

 

美鈴は銀河神社で巫女のバイトをし、一番最初にタロウのスパークドールズと出会って話を聞く等、物語において重要な位置を占めている。
ベビーカーの中にいる犬を助けようとしてピンチに陥るところが初登場だったが、犬を助けようとしてピンチに陥るのは『帰マン』の「怪獣総進撃」からのウルトラシリーズの伝統。

 

ヒカルが帰って来る一ヶ月前に隕石が落ちて銀河神社は焼け落ちてしまった。後にこれはルギエルの攻撃だと判明するが、銀河神社の御神体であるギンガスパークは無事だった。
降星小学校は春に廃校になっていたが、白井先生の厚意で小学校の音楽室に神社を置く事が出来た。この時点で既に白井先生はルギエルの支配下に置かれていたので、ギンガスパークを手元に置いておこうと言う魂胆があったのかもしれない。
ルギエルの思惑を外して白井先生の都合のみで考えた場合、音楽室を神社に貸す事で小学校の取り壊し計画を先延ばしにしようとしていたのかもしれない。

 

銀河神社の御神体が無事だった事を「八百万の神のご加護」と言うホツマ。
ホツマの名前の由来が「ホツマツタヱ」だったりと初期の『ギンガ』は日本古来を基盤とした世界観となっていた。

 

ヒカルが帰って来た事を知って健太と千草も小学校にやって来る。
「嬉しいです。ここが久し振りに賑やかになって」と喜ぶ白井先生に向かって「私も嬉しいです。白井先生の笑顔が見られて」と告げるホツマ。
最初に見た時は単なる口説き文句だと思っていたが、ひょっとしたら、この時点で既にホツマは真実にある程度気付いていたのかもしれない。

 

世界一の冒険家になるのがヒカルの夢。しかし、今はまだ両親と一緒にメジャーな街に行っているだけ。美鈴、健太、千草が色々な形で夢に向かって既に歩いているのに対しヒカルはまだ歩き出していなかったと言うのは後のヒカルとギンガの別れの際の会話に繋がる。
ヒカルの夢が冒険家なのは『T』の東光太郎のイメージがあると思われる。光太郎も『T』の最終回「さらばタロウよ! ウルトラの母よ!」で旅に出発していた。
因みにヒカルが憧れている人物として名を挙げたエドモンド・ヒラリーは人類で初めてエベレスト登頂に成功した登山家である。

 

大勢のウルトラマンと怪獣軍団の戦いは「ダークスパークウォーズ」と言われている。
どのような経緯で勃発したのかは不明。ひょっとしたら、ウルトラマンと怪獣を一ヶ所に集める為にルギエルが仕組んだのかもしれない。

 

ギンガの覚醒が近い事を察知した闇の支配者はダークスパークでバルキー星人をスパークドールズ状態から解放する。
まさかバルキー星人がルー大柴さんみたいな喋り方をするとは思わなかった。
バルキー星人は闇の支配者の姿を見て「我が偉大なる支配者……様?」と途中で少し間を開けている。この時の闇の支配者は白井先生の姿なので、自分を解放した闇の支配者が人間だった事に驚いたのかもしれない。

 

光の国の言い伝えにある二つの神秘の道具。一つは命あるものの時間を止めるダークスパーク。もう一つはそれと対を為すギンガスパーク。
闇の呪いを解く唯一の希望であるギンガスパークの大いなる力を引き出せるのは選ばれし者であるヒカルだけであった。
ヒカルの右手の甲には選ばれし者の紋章が浮かび上がり、後にホツマにも紋章がある事が判明する。選ばれし者は家系で決まっているのだろうか?
後にギンガライトスパークが現れるので、最終的にはヒカル以外の人でも闇の呪いを解けるようになる。この最初は家系でウルトラマンの変身者が決まっていたが後に他の人もウルトラマンに変身できるようになると言うのは『ティガ』の古代英雄戦士の話を思い出す。

 

遥か昔、恐るべき闇の力で全てのウルトラマンと怪獣が人形にされ、降星山に降り注いだ。
ここで目覚めたのはタロウのみ。タロウのみに自我が残っていた理由は後に明かされる。(描写を見るに他のスパークドールズも表に出ないだけで自我は残っている模様)
タロウのスパークドールズはヒカルでもウルトライブできなかったが、これはタロウの自我が表に出ていた事がライブの妨げになっていたと考えられる。
2013年は『T』の誕生40周年にも当たるので『ギンガ』ではタロウがフィーチャーされている。

 

ギンガスパークにはスパークドールズを探知する機能があり、ヒカルはブラックキングのスパークドールズを見付ける。この「スパークドールズを探して見付ける」と言う展開はもっとやってほしかったが今回と『劇場スペシャル』くらいしかなかった。

 

ウルトライブされたブラックキングがウルトラマンのポーズで登場したのには笑った。でも設定を考えるとむしろ納得の展開であった。
人間が中に入っているので今回のブラックキングは怪獣なのにえらく人間的な動きをするが、そのギャップが『ギンガ』ならではの面白さになっていた。

 

オダランビアの亜種であるサンダーダランビア登場。サンダーダランビアのコイル状の発電器官を取り付けたと言う変化はパワーアップが分かりやすくて良かった。
山田と木村が二人で一つのスパークドールズにライブするのは後の「漆黒のウルトラ兄弟」で美鈴達がジャシュラインにウルトライブするのに繋がる。美鈴達のハチャメチャな戦いを見ると今回の山田と木村はチームワークが物凄く良い。
因みに二人が行った産業廃棄物の不法投棄は立派な犯罪です。
同じ原理の道具を良き心の持ち主が使うとヒーローになり、悪しき心の持ち主が使うと怪人や怪獣になると言うのはウルトラシリーズと言うより仮面ライダーシリーズに近いかもしれない。(近い時期だと『仮面ライダーW』のガイアメモリや『仮面ライダーフォーゼ』のアストロスイッチ)

 

ギンガの着地シーンは実写とCGを組み合わせたものでかなり良い。
低予算と言われる『ギンガ』だが怪獣の巨大感や重量感はちゃんと表現できていたと思う。
ブラックキングを退けたサンダーダランビアの電撃もギンガには通じず、逆により強力な電撃ギンガサンダーボルトで倒される。
技の名前を叫んで発動させるのは『T』繋がりかな?

 

voyagerとgirl next doorと『ギンガ』の主人公メンバー達が歌う『ウルトラマンギンガの歌』は爽やかながらも盛り上がる名曲。

 

友也役の草川拓弥さんが所属しているメインダンサー&バックボーカルグループ『超特急』が『ウルトラ超特急』と言う名義でエンディング曲の『Starlight』を歌っている。
自分が平成三部作の世代と言う事もあって、やはりエンディング曲があると良いなぁと思う。

 

「俺が突然この街に来たいと思った理由。それは……運命、とか?」。

 

エンディングの後に放送されるミニコーナーの『スパークドールズ劇場』。
劇中に登場したスパークドールズを中心に『ギンガ』本編について色々と好き勝手な事を喋ると言う内容。各キャラクターに本編には無かった性格等が付けられてコントのような掛け合いをしている。
後に『ギンガ』本編が無い時でも『新列伝』内で「スパークドールズ劇団」として放送されるようになった。こちらは『列伝』でダークネスファイブがナビゲートを務めた回を継承したような形になっている。
その後も登場キャラクターを変えてYou Tubeバンダイ公式チャンネルや食玩の『ウルトラマンギンガ&ギンガS DVDコレクション』等で展開され、引き続きスパークドールズの紹介が行われた。

 

 

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