帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「夢を懸けた戦い」

「夢を懸けた戦い」
ウルトラマンギンガ』第6話
2013年8月14日放送(『新列伝』第7話)
脚本 赤星政尚
監督 梶研吾

 

宇宙海人バルキー星人(SD)
身長 14cm~49m
体重 150g~2万2千t
ティガダークによって巨大化させられ、二人がかりでギンガを襲った。
ジャンナインの参戦で形勢逆転され、最後はギンガのギンガクロスシュートで倒された。
戦いの後、スパークドールズはヒカル達に回収された。

 

ティガダーク(SD)
身長 14cm~53m
体重 150g~4万4千t
ジャンキラーとの戦いを終えたギンガを急襲。バルキー星人を巨大化させて二人がかりでギンガを襲った。
ジャンナインの参戦で形勢逆転され、最後はジャンナインのジャンスターダストで倒された。
戦いの後、スパークドールズはヒカル達に回収された。

 

物語
ジャンキラーの操縦者が友也だと判明し、ヒカル達は友也を問い詰める。
自分は夢を必要としていないと語る友也に対し、ヒカルは「ギンガを倒す」と言う夢を与える。

 

感想
闇の支配者がウルトラマンのスパークドールズを手に入れていた事に驚愕するタロウ。
後に初代マンとセブンが闇化して現れ、タロウはウルトラ兄弟と戦う事になる。

 

前回のタイトルである「夢を憎むもの」と言うのはもちろん友也の事。一条寺コンツェルンの御曹司で幼い頃から何でも出来た友也は夢を持った事が無かった。
友也「悪いんですか? 夢が無いと」、
父「悪い……などと言った覚えは無い。ただ、そのような人間に後を任そうとは思わない」。
会社と言うのは大勢の人を預かるもの。その会社を動かしていく人間は多くの人の夢を背負っていると言える。夢を持たない人間が他の人間の夢を背負って会社を動かしていけるのか。答えは否であろう。
今の自分を否定される形となった友也だが表だって父親に反抗してはいないようだ。しかし、父親の自分を否定する発言への反発心はあるらしく、それが夢を持ったヒカル達への憎しみに繋がったと思われる。

 

友也の話を聞いたタロウは「偉大な父親を持つと子供は苦労するな。私もそうだ」と話を始める。
「将来は父親のようになりたい」と言ったらウルトラの父に叱られた少年時代のタロウ。叱られた理由が分からないタロウをウルトラの母が優しく諭す。
「お父さんはあなたに「お父さんみたいになってほしい」とは思っていないから叱ったんじゃないかしら? タロウ、あなたはこの宇宙でたった一人の存在です。もちろん、お父さんも。それはあなたがあなたでしかないと言う事です。あなたがお父さんみたいになる事なんて絶対に出来ません。ですが、越える事は出来ます。お父さんはあなたに「将来はお父さんを越えたい」、そう言ってほしかったのだと、お母さんは思います」。
まさか『ウルトラマン物語』のコタロウを再び目にする時が来るとは思わなかった。当時のウルトラマンで父親との話はタロウかゼロかダイナくらいにしか出来ないので、このキャスティングは納得。

 

「夢は欲望に過ぎない」と語る友也。
これまでダークダミースパークを与えられた人間を見ると、千草と健太は夢をこじらせてだったが他は夢とは無関係の欲望でダークライブしていたように見える。夢と欲望の区別が付いていない辺り、友也は夢とは何なのかちゃんと考えてこなかったと思われる。
ここで自身もダークライブした事がある千草によって夢が欲望に変わる危険性と夢と欲望には決定的な違いがある事が示される。
友也はこれまでダークライブした人間と違って自分には夢と言う欲望が無いのでダークダミースパークを手にしても平静な心を保っていられると語るが、ヒカルはそれを否定する。
「でも、それじゃ楽しくないだろう? 知らないようだから教えてやるけどさ。将来の夢を考える時って、なんかこう、ドキドキワクワクしたり、時には叶うかどうか不安で胸が苦しくなったりもするけど、それも含めて、他の何を考えている時よりも楽しんだよ」。
ヒーロー作品で「夢」をキーワードにした話と言えば『仮面ライダー555』の「夢の守り人」を思い出す。名作です。
ヒカルの話を聞いた友也はヒカル達の夢であるアイドル、カメラマン、和菓子職人、冒険家も自分なら努力せずとも叶えられるので、自分からしたら夢ではないと吐き捨てる。幼い頃から何でも出来ていたので逆にやりたい事が無くなり、一条寺コンツェルンを継ぐ事が決まっていて将来やりたい事も無くなっていた友也。そんな友也にヒカルは「なら、お前の夢、俺が決めてやる。ウルトラマンギンガを倒す事だ。この程度の事なら努力なんかしなくても簡単に叶えられるよな?」と挑発する。
ヒカルの想いに応えてギンガスパークからギンガのスパークドールズが現れてヒカルは初めてギンガに直接変身する。ヒカルが他の怪獣を経ないでいきなりギンガに変身できたのは今回が初めて。
今回は友也の完璧超人振りが語られているが、出来れば台詞のみの解説ではなく、和菓子やカメラを美鈴や健太以上に上手く扱ってその能力の高さを見せてほしかった。もっともその流れになると友也はアイドルの能力を見せる事になるのだが……。

 

友也のジャンキラーは既に何度かギンガに勝っていなかったっけ?と言う疑問が出るが、「アイドルはラゴン」では千草がダークライブしたラゴンの話で時間制限ギリギリになったところを襲い、「夢を憎むもの」ではジャンキラーの中にタロウがいてギンガの攻撃が少し止まったところを形勢逆転しているので、ハンデの無い状態でジャンキラーがギンガと戦った事はまだ無かった。
ヒカル「負けるわけにはいかないんだ! 世の中にはそう簡単に叶えられない夢があるって、だからこそ夢なんだって、俺はお前に知ってほしい!」、
友也「僕の夢はウルトラマンギンガを倒す事。そして君を超える」、
ヒカル「そう言うのはそんなに気張らずに笑顔で語るもんだ!」。
今回のギンガとジャンキラーは殴り合いと言うウルトラシリーズでも珍しい戦い。まぁ、青春作品で若い男の子が自分の主張をぶつける時は殴り合いが基本だね。
ウルトラシリーズでは「夢はいつか必ず叶う」と言うメッセージが多いが、ヒカルは「簡単に叶えられないのが夢」と言っている。実はウルトラシリーズでは珍しい主張。
ギンガはジャンキラーの顔面にパンチを当て、そのままダークダミースパークを握り潰してジャンキラーの活動を停止させる。

 

『ギンガ』において他のウルトラマンや怪獣とは違う描写がされているジャンナイン。
ティガダークの攻撃を受けた時にダメージを負ったがスパークドールズには戻らず、そのまま闇の波動を残して消滅している。又、ダークダミースパークが破壊された後もスパークドールズには戻らず、今度は闇の波動を残して消滅する事も無く、その姿のまま残っていた。この事からジャンナインはダークスパークによってスパークドールズにされてはいないと考えられる。ダークダミースパークを使ってジャンナインの意識を封じ込めていると言うところかな。
ガンパッドに関してはジャンナインのコックピットがゼロシリーズとは違うので、ゼロシリーズのジャンナインはトレースシステムで、『ギンガ』のジャンナインはガンパッドで操縦するよう作られていたと考えられる。同じジャンナインなのにどうして操縦方法が違うのかだが、ここは『VSダークロプスゼロ』に登場した別次元のレイと同じようなものだと考えられる。
ダークダミースパークが破壊された事でジャンナインは意識の封印が解け、友也の涙に応えて新たなガンパッドを与えたと言うところだろうか。

 

友也の敗北とギンガのカラータイマーが鳴ったところを見計らってティガダークが再び出現。
それを見たタロウはバルキー星人を人質にしてティガダークを退却させようとする。さすがのバルキー星人も「良いのかよ! 正義の味方がそんな事……!」とツッコんでいる。
しかし、ティガダークは逆にバルキー星人を巨大化させて戦線に加えてしまう。喋る怪人が謎の光線を浴びせられて巨大化すると言うスーパー戦隊を思わせる展開。

 

ティガダークとバルキー星人の二人を相手に苦戦を強いられるギンガ。
「僕には無理なのか。ギンガを倒してあいつを超える事は……」。
それを見ていた友也の目から涙が零れ、そこから新たなガンパッドが現れる。
「僕に戦えと言うのだな、ジャンキラー。いや、ジャンナイン!」。
ここからジャンナインが手を貸してギンガを立ち上がらせ、二人の必殺技で勝利を収める流れは定番ながらもやはり燃える。
ところでジャンスターダストでティガダークを、ギンガクロスシュートでバルキー星人を倒しているが、ここは倒す相手が逆でも良かった気がする。ギンガが同じウルトラマンであるティガの闇を消し去り、友也がバルキー星人を倒す事で闇の存在と決別すると言う感じで。
戦いが終わった後、ヒカルは助けてくれたお礼を述べるが、友也は自分以外の誰かにギンガを倒されるのが許せなかっただけで礼など必要無いと返す。何と言うライバルキャラの定番台詞をw
友也「礼など必要ありません。ギンガが僕以外の誰かに倒されるのが許せなかっただけです。君が言ったんですよ。それが僕の夢なんだって」、
ヒカル「俺も言ったよな。そう言うのはそんなに気張らずに笑顔で語るもんだって」。

 

「ジャンキラーがジャンナインになるとは、彼の想いが奇跡を起こしたようだな。だが、それを導いたのは君の想いの強さだ」。
遂に喋ったギンガ。ここ最近のウルトラマンでは珍しく喋らないタイプだったので喋る事にありがたみがある。
ギンガにとってもダークダミースパークの影響下にあったジャンキラーがジャンナインに戻るのは予想外だったらしい。
前回の健太に今回の友也とヒカルはギンガスパークの力を使わずにダークスパークの呪いを解いている。そして、この人間の強さが後にギンガを救う事になる。
因みにギンガの声は闇の支配者と同じ杉田智和さん。最初に闇の支配者として出演していたので、まさかギンガの声も担当するとは思わなかった。同じ声であるギンガとルギエル。両者の関係は『ギンガ』の時点では明らかにされなかったが……。

 

今回の話は梶監督の現時点でのウルトラシリーズ監督最終作となっている。

 

これにて『ギンガ』の前期が終了。7月から8月と言う子供達の夏休みに合わせての放送となった。この後、11月の後期開始までの間も『新列伝』内で『ギンガ』は取り上げられて、第8話の「バルキー星人の怪獣教室!」ではスパークドールズに戻されたバルキー星人がギンガとの戦いを振り返り、第12話と第13話の「復活! タイラント超分析!」ではヒカルが新たにエレキングのスパークドールズを手に入れ、新たな闇のエージェントとしてイカルス星人が登場している。その他にもタロウが闇の勢力に備える為に自分の知識をヒカルに伝え、ヒカルが色々な事を考えるようになる等、本編のドラマを補完していった。

 

 

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